ジャンプの新連載「あかね噺」。落語という新ジャンルでジャンプの激戦を勝ち抜いて行けるのか。
真打に昇進できなかった父親の無念を晴らすべく、主人公である娘のあかねが落語界をのし上がってゆく、といった物語になるはず。ここは王道と言えるのではないでしょうか。あかねの行動原理がわかりやすくていいです。
...続きを読む今後どうなってゆくのかなんですよ。個人的には、主人公であるヒーローやヒロインって、何かしらの狂気を秘めているものだと思っていて、それが心の裡に収めておけないほどの熱量となって爆発する様が好きなんですよ。
その瞬間がいつ訪れるのか。そして、落語というお客さんありきの物語の舞台で、どうあかねが表現できるのか、です。
自分自身の狂気だけだと兄弟子の享二がいったような「身勝手」になってしまうのが辛いところかな、と感じています。
演者の狂気が、観客にも伝播していく様が魅力だったのが「アクタージュ」だと思うのですが、あれは残念な形で終わってしまいました。しっかり罪を償ってください。
演じる人の狂気を感じて怖かった、けど読むのが止まらないという作品は恩田陸の「チョコレートコスモス」でしたね。狂気の先にある世界へいく手前の描写。あれは主人公でなく、ライバルの心理でしたけど。
引き込まれてゆく感覚が、恐怖からくる拒否感と、その先を見たいという欲望が同時に存在してたまらなかったのです。二つの感情が対立するのでなく共存していたのが、魅了されているなぁ、と感じたまりませんでした。
「あかね噺」でも、その瞬間が来ると期待したい。