森山至貴のレビュー一覧
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ネタバレまるで朝ドラ「虎に翼」の「はて?」というセリフのタイミングを集めたような本。
当たり前だと思っていたのに「あれ?おかしいかも?」と気づく場面。
様々な立場の方の寄稿が集まってて一つ一つ短い。軽そうで、全然軽くない。
この本にはフェミニズムというテーマだが、「弱さを認めて、差別を減らして、共に生きていく社会」みたいな風潮が感じられる。弱さを見つめるために、それぞれが自分の生い立ちを話している項が多い。
以下、ネタバレ
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鴻巣麻里香「脱抑圧の三代記」
p.69
「子どもがいるんだから、そんなに無理して働くことはないんじゃないか。一度仕事のペースを落として、子育てに専念し -
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多様な職業や様々な性自認を持つ19人が「あなたのフェミはどこから(はじまりましたか)?」の問いに対して、ナラティブに応えてくれる。個人的な生育歴や経験は多様でもどこかで共通する体験が語られ、フェミニズムとの出会いや現在の活動、到達点などを綴るリレーエッセイとなっている。1948年に定められた世界人権宣言の第1条は「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と記載され、第1条のあとに「人間は、理性と良心を授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」と続く。○国ファーストと排外主義が飛び交う今日において、人権感覚を研ぎ澄まし、ジェンダー
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自身がフェミニズムに対して、ちゃんとつかまえることができていないからだと思うが、わかりやすく入ってきたのは、星野概念さんと武田砂鉄さんの文章。フェミニズムだけでなく、自分とは異なる人との対峙には、必ず客観性を忘れてはならない、という点はいつも思うことだし、そうすることで少しでも中に入り込むきっかけになるかもしれないのだと改めて思い返した。適度な距離と、想像力と、それを反芻する能力が高まることでお互いがもやもやせず、もう少し前を向いて生きていけるような雰囲気が作り出せそうな気もするが、それがなかなか難しいのだよな、と改めて思ってしまった。
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ネタバレだいすき!わたしのアナザー バイブルになった。(ひとつは、確実に、「なかよしビッチ生活」!)
下に書ききれなかった名言もたくさんあった。定期的に見返したい。
*第5章(「そんな未来はいらないし、私の不幸は私が決める 流動する身体、異性愛的ではない未来」)特にすき。
◯P258-59がすごくすき。「私の幸せも私の不幸も私が決める。」
あとクィア・テンポラリティ。これめちゃ自分と重なった。No future と思ってしまいがちなのは、やっぱり未来が異性愛規範に沿いすぎていて、そうでないものを想像し難いから。
最後のみね子の「不幸さ、不愉快さの絶対値が変わることはないですけど、かけがえのない自分の -
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たいへん勉強になりました
「新しいホモノーマティヴィティ」
=良き消費者としてふるまおうとする
「勝ち組」のセクシュアルマイノリティ それによる格差 既存の社会体制への迎合
以前読んだZINEで似たようなことが話題に上がっていたので、これを読んでさらに勉強になった
トランスジェンダーと治療の問題
じゃあ治療すれば? という言葉の残酷さ
治療と引き換えに画一的で永続的なアイデンティティを押し付けてしまう
直すべき障害でも病気でもない、という上でそのことに基づく苦痛のみを治療の対象とする
という2段階が必要
性のあり方と苦痛を切り分ける
てか渋谷区のパートナーシップ制度の登録にお金かかってた -
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クィアは本来強烈な侮蔑の言葉。
それを逆手にとって、森山先生と能町さんがクィア・スタディーズを語り合う。
かなり踏み込んでいるから、LGBTなどのベースになる知識がなかったら読み進めるのが少し難しいかも。でもとても面白く意義深い対談なのでぜひ読んでほしい。
今まで思いもしなかったLGBTQ+だけでは片付けられないクィアなことについて、なるほどと新たな発見を多々得ることができました。
LGBTなどの(それに限らず)マイノリティにある立場の人に対して、受け入れるって言葉を使うのは受け入れないという選択肢があるということでもある、それはおかしいんじゃないか、むしろマイノリティ扱いしないで当たり前にそ -
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こういうずるい言葉がある、そしてそれはこういう理由でずるい、というだけでなく、
そのような言葉に対して、どのような反応をしたらよいか、まで入っていてとても面白かったです。
しかも、理想論はXXだけれど、それだと現実的でないからXXではどうでしょう、といった形で実践できそうなところも良かった。
人にバイアスを持って接さないように、自分の言動で人を型にはめたりしないように気をつけている私ですが、そんな私でも「これこういう理由で良くないんだ」とハッとさせられるものもありました。
男性である筆者さんがこのような本を書くことについて「当事者じゃないのに」という批判も覚悟の上のことだったのかな、と思 -
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なにげなく言ったり言われたりしてる言葉に潜む差別について、具体例とともにそれがなぜ問題かを教えてくれる良書。
とくに、気になった言葉。
○そんな言い方じゃ聞き入れてもらえないよ
トーンポリシング。上司とか先生とかにはお願いをする、という当たり前と思ってたことが、これをすることで弱い立場を助長させる可能性があるということ。
○言われた本人が傷ついてないんだからいいんじゃない
本当に傷ついてないのか。否定的な仲間内のニュアンスが含まれていないか。
○いい意味でらしくない
属性を否定している。いい意味で→悪いと思ってる!
まだまだ沢山あった!これは高校生とかから読んだ方がいいかも。中学生には難しい -
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性に関する議論は、概念の分類や問題の背景、新たな課題などが入り組んでいるため、一見するととても難解な分野であるように思える。一方で、一定の理解を示すことが求められているようにも思える分野である。だからなのか、差別をしていないことを標榜するための無知な「LGBT」言説があふれている。
本書は「何が偏見なのか自分はわかっていないかもしれない」という不安を抱えた人の、「もっときちんと知りたい」という欲求にまさに答えてくれる。バトラーを読んで挫折しかけていた私にとっては、本当にありがたかった。読みやすい。
今後、巻末の読書案内にたくさん助けられると思う。
クィア・スタディーズに入門することはできない