矢野徹のレビュー一覧

  • 宇宙の戦士

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    軍国主義への風刺がかなり効いた洋画「スターシップトゥルーパーズ」の原作。
    こちらは風刺を効かせた作風ではないが、映画が好きなら読んでも損にはならない。

    他惑星の生物バグによる侵略から故郷を守るために、軍に志願した若者の話。
    バグの描写や戦闘が、臨場感溢れており、恐怖できる。
    戦艦や訓練、装備なども密に書かれていて、SF好きには堪らない。

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    2010年11月08日
  • 宇宙の戦士

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    「ガンダム」の発想の元となった小説として名高いが、パワードスーツがどうのこうのというより、終始「愛国心」について説教され続けているといった印象。

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    2010年07月19日
  • 宇宙の戦士

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    非常に古典的な作品です。
    ボードゲームや映画にもなった機動歩兵兵器対宇宙生物の典型的なエピソードが満載。
    特に、敵が穴の中にいると言う状況は、うまく制限された視野内での小説としてはうまくできている。

    各兵器にも味付けがうまくできていて、ガンダム等の作品に影響を与えたのは確かでしょう。

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    2010年07月10日
  • 宇宙の戦士

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    ネタバレ

    TVアニメ『機動戦士ガンダム』のイメージ・ソースになったとの評判と、
    スタジオ・ぬえの挿絵のおかげで、ハインラインの作品中、
    日本で一番読まれたのがこの作品ではなかろうか?
    作中の地球対エイリアンの対決構図は、
    冷戦下のアメリカ対ソ連の構図そのものなのだろうが、
    マッカーシズム(いわゆる赤狩り)吹き荒れた時代に著された作品でもあるので、
    作中に語られた、危険なまでに先鋭化した思想は、
    マッカーシズムの結果、極端に右傾化した米国の行き着いた先を
    表しているようにも思う。

    それにしても、地中に潜り、機動歩兵の火炎放射器に焼かれる
    エイリアンのモデルはきっと、太平洋戦争中の日本軍兵士か
    朝鮮戦争時の〇朝鮮兵なのだろうなあ。
    そう思うと、あまり良い気持ちはしない。

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    2017年04月15日
  • 宇宙の戦士

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    素直に面白かったし読みやすかった…

    映画「スターシップトゥルーパース」が日本でだけやたら受けたせいでその原作として有名ですが、せめて翻案くらいにしといたほうが多分両ファンにとって幸せ。

    これをネタに困った富野御大に高千穂さんが紹介したら勝手に「ガンダム」が出来上がったので、高千穂さんがマジギレしたのは有名な話。
    が、両作品には「機動歩兵用外装骨格が活躍する」くらいしか共通点はないです。
    でもスタジオぬえの描くパワードスーツはどうみてもザク。

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    2010年06月21日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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     同名の曲が好きという理由で手に取った本。
     AIの発達、月移住計画、ロシアとウクライナ、中国と台湾そして、ホルムズ海峡をめぐるアメリカとイラン、令和の米騒動、匿流犯罪が起こる現代だからこそ読むべき本かも…。
     法、政治、慣習はその社会の維持に必要であり、他の社会のものを適用することは征服に近いことなのだと気付かされた。
     矢野徹大先生の翻訳であるが、自分の読解力、物理の知識のなさゆえに描かれている世界が上手くイメージできず、さらには何度も読みながら寝落ちしてしまい、完読にひと月かかってしまった。
     教授の月独立のための思考、行動の緻密さが凄い。そして、役割を終えたAIのマイクが普通のコンピュータに戻ってしまうのが印象深い。

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    2026年08月27日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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    ネタバレ

    ボリュームのあるSF作品でありながらユーモアに溢れ、スラスラと読める作品だった。
     月が地球から独立する話である。月はオーストラリアのように犯罪者の流刑地であった。だから地球から見れば月は野蛮で下に見られる場所であった。しかし月に住む住民にとっては居心地が良く、逆に地球を下に見る、そんな関係だった。地球が敵である点、革命を起こす点がガンダムの話の元になっているのかな?と思った。
     この作品は革命の本質を教えてくれる作品だとも感じた。組織作りの難しさ、その後の政治の動かし方など読んでいてリアリティがあり感銘を受けた。
    地球に行き、地球政府と話し合うシーンはとてもワクワクして面白かった。戦争下の情報規制などは現代でもあるので考えさせるものがあった。ただ面白かったが長く途中ダレてしまった。

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    2026年06月13日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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    1970年代に書かれたとは思えないほど現実味のあるSF作品だった。
    月で生活する人類がいて、地球とは良い関係とは言えなくて、不満が募り陰では反乱が計画されている。
    作品の大半はSFというより戦記物でも読んでいる気分だった。その描写も良かったのだが少し長く感じた。
    ガンダムシリーズの原点はここにあるのかもしれないと考えながら読んでいた。
    時代を考えると賞賛に値する作品だと思うが、現代で優先的に読むべき作品かと言われると少し違うかもしれないと感じる。

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    2026年04月17日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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    翻訳がやばかった。
    それはもう、とてつもなさでやばくてやばかったよ、マン。
    おれの顔色は灰色に変わった。

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    2025年12月28日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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    ネタバレ

    月の世界に何かを描き出すにあたって、『アルテミス』は観光地にしていたが、本作は流刑地という初期設定。ここからの独立戦争に巻き込まれる主人公…政治思想的なものが散りばめられていて、それ故のリアリティはあるもののファンタジー世界的なのめり込みは少なかった。

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    2025年12月13日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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    マイクは魅力的。登場人物が多く誰が何を言ってるのかが把握できず字面を追ってるだけになってしまっていて難しく感じることが多かった。

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    2025年11月22日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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    ページ数が多くて、文章が難しい部分もあって読み進めるのに少し苦労した。それでも、月社会の独自の価値観やマイクとの関係性には引き込まれた。

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    2025年11月22日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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    元々、想像していた内容と違っていた。旧ドラえもんの映画でいうところの『雲の王国』に近いような気がする。それまでの作品から趣向を変えてきたというべきか。著者の作品はこれが初めてだが、持った印象はおんなじ。

    面白いかどうかでいうと、第3章はまあ面白いかなと思えたが、それも4分の3を読み終えてやっとというところだったので、着火剤がなかなか見当たらなかった。劇的なものは少ない。今までだったら挫折してただろう。耐久力は上がったようだ。

    ガンダムの『宇宙世紀』がこれを参考にしていたと聞いていたので、勢い込んで読み始めたが、勢いだけで読める頁数ではなかった。コロニー落としのモデルといえば、そうかな。

    しかし野次馬根性というか、わざわざ予告してるのに落下地点に見物に来るというのは、今の時代でも通ずるところ。トレンドに命をかける。身の安全よりもバズり。承認欲求。

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    2025年08月17日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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    ・革命の起こし方
    ・理想を実現するための組織と哲学

    この本が伝えたかったことはその2つだと思った。
    それらを、流刑地となった月の住民が地球植民地からの自由を得るための革命というストーリーで伝えている。

    この本は人工知能との協働という視点と、革命という非常時の視点から、SFはおもしろいと思わせてくれる!

    心に残った一節
    ・解けないことがあれば、解けることから始めて、また全体を考えろ
    ・敵を騙すにはまず仲間から
    ・3人が最も意思決定に適している。六人以上いれば何も決まらない。
    ・永続する政府組織とは十分な時間をかけ歴史から学びながら熟考せよ。
    ・伝統を疑え。明らかなことに反抗せよ。
    ・考えろ。考えることを放棄するな。


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    2025年07月18日
  • 動乱2100 未来史3

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    [もしこのまま続けば If This Goes On...]★★★
     SFっぽい話ではないけど、ハインラインが書いたと思えばいかにもって感じ。インチキ予言者による独裁体制になってしまったアメリカと、それに対して革命をもくろむカバラ党という大枠はいいとしても、話が長いせいか焦点が定まってない感じで話が展開する。
     主人公が反体制側に寝返るきっかけとなった女性が、逃亡先であっさりと別の男に乗り換えるのもそうだけど、かといって主人公がそれを発奮材料に革命に没頭していくというわけでもない。中途半端な逃避行もあんまり意味がないような気がするし、長いだけの話?
     最後の戦闘であっさりと人が死んでいくあたりに、作者の考え方が出ている気はするけど。右翼、左翼関係なく、自分の信じる者のためには死を恐れずに戦えというところか。結局ハインラインの話は、強いアメリカを信じている、アメリカの代表的なインテリ親父の意見なのかも。家族を守りながらも、国を守るために息子が戦争で死ぬことは良しとするような。そういう意味では恐い人ではある。

    [疎外地 Coventry]★★☆
     不適格者は心理矯正してしまう社会の、停滞した平和が気にくわないはみ出し者が、外の世界に行ったら、もっと独裁的な社会だったという話。これまたある種の逃避行的な話だけど、前の話以上にあんまり面白くない。最終的に主人公が自分を外へ放り出した社会のために犠牲になろうとすることで、社会に適応できたというオチが着くんだけど、まあ驚くような話ではない。
     ハインラインの作品には科学技術よりも人間の生み出した社会的な体制についての話が結構あるんだけど、これもそのひとつ。

    [不適格 Misfit]★★★☆
     いかにもSFらしい作品で、そのせいでこの短編集の中では逆に浮いてる感じ。
     ミスター計算機リビイの大活躍の話だけど、軌道計算の難しさをわかった上で言えば、まあ素朴な話だよな。この後の展開があるのかどうかわからないけど、あとがきを読んでいる限りではなんかありそう。未来史の短編はこれで終わりのハズだから、そうなると長編の方に出てくるのかな。

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    2025年05月14日
  • 地球の緑の丘 未来史2

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    [宇宙操縦士 Space Jockey]
     ストーリーとしては今読んでもちょっとローテクな宇宙船のパイロットの話。なんで月への直通ロケットがなくて、地球と月の軌道上で2回も乗り換える必要があるのかというのを経済面から説明しているところなんて、いかにもって感じ。やっぱアメリカだよ。ペプシで宇宙に行けるはずだわ。
     バカ息子のせいで軌道が狂っちゃうところも、いつものハインライン。必ずこういう権力をかさに着た大バカ野郎がでてくるんだよな。ハインラインは寛容なんだけど、俺の精神衛生上はこういう奴らはもっとボコボコにしてすっきりさせて欲しかった。

    [鎮魂曲 Requiem]
     これが「月を売った男」であれだけパワフルだったハリマンかと思うと、なんか寂しいものがある。結構ハインラインって泣きの作家なのかな?まあ「夏への扉」書いてるくらいだから、今さら何言ってんだってことかもしれないけど。
     この前のやつがえらくパワフルな話だっただけにちょっと地味だけど、しみじみといい話。あのときは共同経営者とか会社関係者とかに邪魔されて、月へ行くことは出来なかったハリマンだけど、今回も遺産ねらいの親族が邪魔してむかつく。殴ったろか、ボケ!って、俺が熱くなってどうする。やっと月にたどり着いたときには既に...、っていうのも悲しいね。

    [果てしない監視 The Long Watch]
     月基地の司令官が、月の核兵器を使って独裁者になろうとする。それを知った一人の中尉が核爆弾を分解している途中で被爆してしまう。今となっては珍しくもないプロットだけど、すいません、最後のページ読んでるときに、地下鉄の中で泣きそうになったっす。今だと「夏への扉」とか読んでも泣いちゃいそうだな、やばいなあ。
     ハインラインの核物理の説明はわかりやすくていい。プルトニウムとか触れそうなほどリアル。

    [坐っていてくれ、諸君 Gentlemen, Be Seated]
     空気漏れの穴は尻で塞ぎますか。月面の地震の脅威に関する考察はなかなか鋭い。ハインラインもちゃんとしたSF作家だったんだなあって感心したりして。

    [月の黒い穴 The Black Pits of Luna]
     ハインラインお得意のジュブナイル。月面の観光旅行で遭難した弟を救出するっていうそれだけの話だけど、ヴァーリイの短編なんかに共通する居心地の良さがある。当然ヴァーリイの方が影響を受けたんだろうけどさ。
     主人公の父親も母親も間抜けなのがちょっといつものハインラインらしくないような気がするけど気のせいか?

    [帰郷 It's Great to Be Back!]
     ジョゼフィーンがちょっとバカっぽい。月で生活したものはまた月へ帰っていくというストーリーからすると、ハインラインは宇宙開発に対して無邪気なぐらい楽観していたのかな。まあ、この時代はみんなこんなふうに宇宙に単純に夢を託せたのかもしれないけど。
     地球の無理解な<土豚>たちには、確かに人間の意地悪さを見ることができるけど、アランたちが月へ帰っていった理由には、逆の意味で選民思想があるような気がする。

    [犬の散歩も引き受けます ...We Also Walk Dogs]
     ここまででは、この短編集の中で一番好き。ちょっと他の短編とは雰囲気違うけど。ハインラインの小説らしいパワフルな奴らが出てきて、アメリカ人やなあって感じ。金、金って言いすぎだなところもなんかそれっぽい。やっぱアメリカ人って大阪人と一緒やわ。
     火星人や木星人を地球上の会議に呼ぶためだけに重力シールドを造っちゃうんだから、相当凄腕の何でも屋には違いない。特許権を守るために会社を造るところとか、最後にオニールをなだめるうまさとか、アメリカ人の企業家魂・交渉のうまさを見た。

    [サーチライト Searchlight]
     短編っていうよりは、一発ネタのショートショートって感じ。遭難した盲目の少女を捜索するために走査ビームでピアノの音を鳴らすというアイディアは、斬新と言うほどではないにしても、結構いい。実用新案ってところかな。

    [宇宙での試練 Ordeal in Space]
     回転して人工重力を発生させている宇宙船にとっては外向きの方向がすべて下になるっていうのは、頭ではわかっていても実際に自分の足元に無限の宇宙空間が広がっていると怖いだろうなあ。「スペースキャンプ」に同じような場面があって印象に残ってる。無重力の空間で、命綱がほんの1センチ自分の届く範囲から離れているせいでそれをつかむことができないっていう状況も拷問みたいでやだよなあ。
     ただ、そういう状況で高所恐怖症になった宇宙飛行士が、高層ビルで猫を助けただけで治るとはとても思えないんだけどなあ。
     遠心力じゃなくて角加速度ですか。勉強になりました。

    [地球の緑の丘 The Green Hills of Earth]
     この短編集3つめの泣きのSF。宇宙船の事故で失明してしまった元機関士の詩人ライスリング。事故の後も彼はアコーディオンを片手に詩を口づさみながら宇宙を旅していた。彼の最も有名な<緑の丘>は、彼が地球へ帰るために搭乗した宇宙船で起きた事故のとき、宇宙船を救ったかわりに放射能に焼かれながら詠んだものだった。
     オールタイムベストでも上位にくるような有名な短編らしいけど、俺はそれほどでもなかったな。もっとも俺は詩とか全然わからないけどさ。

    [帝国の論理 Logic of Empire]
     金星の開発に雇われている労働者が、奴隷のように扱われているかどうかを確かめるために、実際に会社と契約してしまう。酒を飲んでたとはいえ、ちょっと無理のある設定だな。相棒は正気だったわけだしね。「エリア88」の場合は神崎にシンを陥れようという明確な意図があったから成り立ってたけど。
     金星の極地に限定されているとはいえ、金星の大気を呼吸し、金星で栽培した食べ物を食べるというのもかなり無理がある。アフリカだって裸足で川の中なんか入ったら、一体どういう目にあうかわからないのに、金星だぜ。予防注射ぐらいじゃ話にならんのじゃないかね。まあ、この時代の他の惑星に対する理解っていうのはこの程度だったのかもしれないけど。本物の金星人も出てくるし。
     残酷な奴隷監督に対する反抗なんて南北戦争以前のアメリカ映画みたいだけど、ハインラインはまさしくそれと宇宙時代の開拓とを重ね合わせてるんだろうな。作者の意図がもうひとつはっきりしないんだけど、そのままだとしたらかなりやばい。小説の中で、ドックに奴隷制度があるのは人間が愚かであるせいだと言わせてはいるけど、植民地での奴隷制度を正当化しているとも取られかねないから、「宇宙の戦士」よりもある意味問題作じゃないのか。黒人の反応ってどうだったんだろう。

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    2025年05月14日
  • デリラと宇宙野郎たち 未来史1

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    [生命線 Life-Line]
     人の寿命を測定する機械って最初聞いたときには、ウソくせえなあと思ったけど、時空存在の物質的連続性を電気的に測定するという説明には、それなりの説得性があるかも。
     それにしても、ハインラインは話作りがうまい。判事が保険会社の弁護士をやりこめるところなんて、気持ちいいもんなあ。ストーリーテラーというのは本当だ。クーンツも見習えよ。
     これがハインラインの初めて書いた小説らしいけど、頭の悪いインテリが出てくるところとか、背景が育ちのいいアメリカ人社会のリアリティで構築されているところとか、特徴はこの頃から変わってない。なにより最初からこの完成度はすごい。

    [道路をとめるな The Roads Must Roll]
     なんかアイディア的には草上仁が書いててもおかしくないけど、アクション小説としてのストーリー展開とか、「宇宙の戦士」なんかにも通じる軍隊的な階級社会の書き方とかはいかにもハインライン。
     ちょっと視線が偏っている感じはするけど。でもハインラインは「異星の客」とかも書いてるんだよなあ。あれはヒッピーのバイブルだっていうし。

    [爆発のとき Blowups Happen]
     テーマである増殖炉での作業者の心理的な問題とか、核分裂についてのわかりやすい説明を読んだときは、ハインラインらしいなあと思ったけど、いきなり月の文明が原子力の暴走で滅んだとかいうのが出てきて、実はトンデモ本系。
     ハリントンがデストゥリィの微小力学の方程式をもとに結論を導き出すところは、どうやって理系の雰囲気を出すかということに対する一つの見本のような気がする。
     ただ、ラストに関しては、これで問題が全て片づいたとは思えない。核燃料を地球に持って帰るときに事故があったら核汚染は起きちゃうけど。核爆発でなければ人類滅亡とかにはならないからってことなのかな。
     「生命線」なんかもそうだけど、ハインラインの短編って、結構とんでもないアイディアが出てきて愛すべきかもしんない。

    [月を売った男 The Man Who Sold the Moon]
     この短編集中最長だけど、それに見合うだけの内容はある。ここまでくるとSFだという感じはあんまりしないけどね。それにしても、「道路をとめるな」と「爆発のとき」がこういう風に関係してくるとは思わなかった。
     ここに書かれていたことって、ハインラインの人生観みたいなものなのかな。今までに読んでた長編にはこういう感じはなかったような気がするけど。結構意外。ダイヤとか切手の話とか、目的のためには手段を選ばないところが、無邪気なアメリカ人、って感じはするけど、ハリマンに反対する人物もいるから、必ずしもこれが一般的なアメリカの経営者を描いたものというわけではないのかな。ハリマンが徹底的に合理主義者なんだけど、根本のところでロマンチストなのがなんか微笑ましい。それと、ロマンチストかどうかはともかく、主人公の強引さとパワフルさからビル・ゲイツを連想しちゃったんだけど、違うかなあ。
     しかし、今まではアメリカ人てバカだなと思ってる部分があったけど、ちょっと考え直さないといけないかも。あの国の弁護士全員が、大学でこういう考え方をする訓練を受けた奴らだとしたら、日本は絶対勝てんな。月に到着する前から、月が上空を通過する土地の権利をあらかじめ全部買い取ってしまっておいて所有権を主張する、なんて絶対日本人には考えつかない(多分あとからあわてるだけ)。そんでもって、自分たちの手で世界を間違いから救うことができると(少なくともハインラインは)本気で考えてるらしいところが、バカというか無邪気というか。まあこういう雰囲気がベトナム戦争以前のインテリアメリカ人の考え方だったんだろうなという気はする。
     1940年というとアポロが月へいく以前だと思うけど、その時代にこの短編を書いたハインラインは、いろんな意味でやっぱすごい。

    [デリラと宇宙野郎たち Delilah and the Space-Rigger]
     この短編集の中では、ちょっと毛色が変わっているというか普通というか。宇宙ステーションに女が来ただけ、って本当にそれだけ。ヴァーリィとかの短編読んだあとだと、何でこんなものがって感じすらする。女性がこういうところで働くことなんて考えられないとか、そういう時代だったんだろうか。

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    2025年05月18日
  • 月は無慈悲な夜の女王

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    内容はSFとしてとても面白かったが、物語の中盤にかけて少し中だるみを感じた。

    この物語は、月を舞台にした自由と革命の物語。地球によって植民地化され、搾取される側である月の人々が、独自の文化や倫理観を育てながら、自由を求めて立ち上がる。主人公たちは、人工知能やハッカー、元犯罪者など一筋縄ではいかないメンバーで構成されており、それぞれが「自由とは何か?」という問いに向き合いながら行動していく。

    物語を読み進める中で、「人間とは?」「国家とは?」「自由とは?」といった哲学的な問いを自然と考えさせられる構造になっており、単なる宇宙冒険活劇にはとどまらない深みがある。
    ただその分、情報量が多く、思想的なパートが続く場面では集中力が途切れやすく、読み進めるのにエネルギーを使う作品だった。

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    2025年05月11日
  • The Vagabond 流浪者たちの肖像#1 カムイの剣

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    懐かしの矢野徹。子供の頃理解出来なかったことが、こういうことだったかと感じた。キッドは唐突に思え、また話の回収が急ぎあしか。

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    2024年03月16日
  • The Vagabond 流浪者たちの肖像#1 カムイの剣

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    前半の主人公に降りかかる不幸が読んでいて辛い。
    キャプテンキッドの隠した秘宝が割とあっさり見つかって拍子抜けしたが、道徳的思考を供えた若者が日本の未来を憂い・考える事が本著の主題なのかと思う。
    これが正統派のジュブナイル小説と言うものなのだろう。

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    2022年10月27日