矢野徹のレビュー一覧
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ネタバレTVアニメ『機動戦士ガンダム』のイメージ・ソースになったとの評判と、
スタジオ・ぬえの挿絵のおかげで、ハインラインの作品中、
日本で一番読まれたのがこの作品ではなかろうか?
作中の地球対エイリアンの対決構図は、
冷戦下のアメリカ対ソ連の構図そのものなのだろうが、
マッカーシズム(いわゆる赤狩り)吹き荒れた時代に著された作品でもあるので、
作中に語られた、危険なまでに先鋭化した思想は、
マッカーシズムの結果、極端に右傾化した米国の行き着いた先を
表しているようにも思う。
それにしても、地中に潜り、機動歩兵の火炎放射器に焼かれる
エイリアンのモデルはきっと、太平洋戦争中の日本軍兵士か
朝鮮戦争時 -
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Posted by ブクログ
元々、想像していた内容と違っていた。旧ドラえもんの映画でいうところの『雲の王国』に近いような気がする。それまでの作品から趣向を変えてきたというべきか。著者の作品はこれが初めてだが、持った印象はおんなじ。
面白いかどうかでいうと、第3章はまあ面白いかなと思えたが、それも4分の3を読み終えてやっとというところだったので、着火剤がなかなか見当たらなかった。劇的なものは少ない。今までだったら挫折してただろう。耐久力は上がったようだ。
ガンダムの『宇宙世紀』がこれを参考にしていたと聞いていたので、勢い込んで読み始めたが、勢いだけで読める頁数ではなかった。コロニー落としのモデルといえば、そうかな。
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Posted by ブクログ
・革命の起こし方
・理想を実現するための組織と哲学
この本が伝えたかったことはその2つだと思った。
それらを、流刑地となった月の住民が地球植民地からの自由を得るための革命というストーリーで伝えている。
この本は人工知能との協働という視点と、革命という非常時の視点から、SFはおもしろいと思わせてくれる!
心に残った一節
・解けないことがあれば、解けることから始めて、また全体を考えろ
・敵を騙すにはまず仲間から
・3人が最も意思決定に適している。六人以上いれば何も決まらない。
・永続する政府組織とは十分な時間をかけ歴史から学びながら熟考せよ。
・伝統を疑え。明らかなことに反抗せよ。
・考えろ -
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[もしこのまま続けば If This Goes On...]★★★
SFっぽい話ではないけど、ハインラインが書いたと思えばいかにもって感じ。インチキ予言者による独裁体制になってしまったアメリカと、それに対して革命をもくろむカバラ党という大枠はいいとしても、話が長いせいか焦点が定まってない感じで話が展開する。
主人公が反体制側に寝返るきっかけとなった女性が、逃亡先であっさりと別の男に乗り換えるのもそうだけど、かといって主人公がそれを発奮材料に革命に没頭していくというわけでもない。中途半端な逃避行もあんまり意味がないような気がするし、長いだけの話?
最後の戦闘であっさりと人が死んでいくあたり -
Posted by ブクログ
[宇宙操縦士 Space Jockey]
ストーリーとしては今読んでもちょっとローテクな宇宙船のパイロットの話。なんで月への直通ロケットがなくて、地球と月の軌道上で2回も乗り換える必要があるのかというのを経済面から説明しているところなんて、いかにもって感じ。やっぱアメリカだよ。ペプシで宇宙に行けるはずだわ。
バカ息子のせいで軌道が狂っちゃうところも、いつものハインライン。必ずこういう権力をかさに着た大バカ野郎がでてくるんだよな。ハインラインは寛容なんだけど、俺の精神衛生上はこういう奴らはもっとボコボコにしてすっきりさせて欲しかった。
[鎮魂曲 Requiem]
これが「月を売った男」で -
Posted by ブクログ
[生命線 Life-Line]
人の寿命を測定する機械って最初聞いたときには、ウソくせえなあと思ったけど、時空存在の物質的連続性を電気的に測定するという説明には、それなりの説得性があるかも。
それにしても、ハインラインは話作りがうまい。判事が保険会社の弁護士をやりこめるところなんて、気持ちいいもんなあ。ストーリーテラーというのは本当だ。クーンツも見習えよ。
これがハインラインの初めて書いた小説らしいけど、頭の悪いインテリが出てくるところとか、背景が育ちのいいアメリカ人社会のリアリティで構築されているところとか、特徴はこの頃から変わってない。なにより最初からこの完成度はすごい。
[道路を -
Posted by ブクログ
内容はSFとしてとても面白かったが、物語の中盤にかけて少し中だるみを感じた。
この物語は、月を舞台にした自由と革命の物語。地球によって植民地化され、搾取される側である月の人々が、独自の文化や倫理観を育てながら、自由を求めて立ち上がる。主人公たちは、人工知能やハッカー、元犯罪者など一筋縄ではいかないメンバーで構成されており、それぞれが「自由とは何か?」という問いに向き合いながら行動していく。
物語を読み進める中で、「人間とは?」「国家とは?」「自由とは?」といった哲学的な問いを自然と考えさせられる構造になっており、単なる宇宙冒険活劇にはとどまらない深みがある。
ただその分、情報量が多く、思想 -
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Posted by ブクログ
同著者の『宇宙の戦士』と共に、ガンダムの元ネタとして取り沙汰される本作は、結論から言うとかなり退屈な小説と言わざるを得ない。ただ、アメリカ人には、独立記念日の7月4日というワードの受けがいいのか、人気作らしいです。
内容は、どのように革命を起こし、どのように独立と自由を勝ち取るかという過程が、組織の作り方や政治のあり方などを交えて延々と語られており、責任回避のための回りくどい会話も相まって、ひたすら疲れたというより他なかったです。
それでも、1965年当時にコンピュータやAIの未来を予見するような内容には興味深いものもありました。例えば、AIに問題を説明するだけで、プログラムをあっという間