つげ義春のレビュー一覧
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東京人2024年6月号のつげ義春特集を読んで、久しぶりにつげさんの漫画を読みたくなって、書棚から引っ張り出し再読。
貸本時代の作品を中心に17作を掲載。有名な「おばけ煙突」は陰鬱でラストも救いようがないが、人物たちの背景や表情が丁寧に描かれ、素晴らしい。
本書に掲載されている貸本時代の作品は、そういう感じの陰鬱系が多くを占める。読んでいて、気持ちが暗くなる。
「懐かしいひと」以降の4作は後期のものだが、一転して温かみがあってやさしい。特に印象に残るのは、「枯野の宿」。主人公が布団に入ったまま小舟に乗っている場面は、幻想的で素晴らしい。
佳作揃いの本書だが、上記のように割と暗めの作品が多い。ある -
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日々鬱陶しく息苦しく、そんな日常や現世から、人知れずそっと蒸発してみたい――やむにやまれぬ漂泊の思いを胸に、鄙びた温泉宿をめぐり、人影途絶えた街道で、夕闇よぎる風音を聞く。窓辺の洗濯物や場末のストリップ小屋に郷愁を感じ、俯きかげんの女や寂しげな男の背に共感を覚える……。
主に昭和40年代から50年代を、眺め、佇み、感じながら旅した、つげ式紀行エッセイ決定版。
タイトルと内容が全然違うじゃん!どこが貧困なんだよ、詐欺じゃん!と投げ出してやろうかと思ったけど、あっと言う間に魅力にハマった。昔の日本とか、旅がどうだとか、そんなのどうでもいい。つげ義春という人物に酔えるエッセイ本。会ったことのないフ -
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つげ義春 日記 昭和50年(38才)〜昭和55年(43才)
常に不安で心細く頼りない自分、辛うじて生きてきた自分を赤裸々に綴っている日記〜癌への不安や不安神経症に悩まされる日々、奥さんへの愚痴 が多め
著者は 自身と同じ境遇、気質を持つ人を慰め、勇気づけるために この本を出したように思う。これだけ 陰鬱性や死への不安に悩まされながらも 生き続けた著者の日記は 自死した文学者の言葉より、ずっと信頼できる
仕事も順調で、小さい子供もいて、幸せのはずなのに、死の不安 や 他人の幸せを羨む気質に起因する病気が全てを台無しにしている。精神病は恐ろしい病気である
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責苦 ブロバリンを発作的に飲むが死に切れず 滂沱の涙を零す 自己憐憫 ゆうずうむげ融通無碍に往還する 苔生した石仏を感慨深げに眺めたり 火の見櫓ひのみやぐら けれど李さんの説では蟹は下水道を通ってしばしば思わぬ所に現れるのは珍しいことではないという 京成の市川だから 錦糸町に越してくればよかったのに 立石 青砥あおと 湯河原温泉 坂口安吾 左ぎっちょ てこう手甲 この時ばかりは終電のない環状線がありがたかった 貸本 徹底的に作り込んだことによる外連味けれんみ 義父による折檻の種 大島への密航を企てる 自ら仕込んだ通俗を笑い飛ばす大人の理知が無ければ 悲惨な状況のなかで、回数にこだわってしまう滑
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つげ氏の文章は初めて読みましたけれども…なんというか、内向的な方なんでしょうね、きっと…だからこそ、漫画であのような独自の世界を創られるのかと…想像する次第なんですけれどもまあ、この本に書かれた当時の田舎町と今現在の田舎町とじゃ大分差があるかと思います…。
ヽ(・ω・)/ズコー
今では当時よりもさらに「つまらない町」が増えているかと思いますので…あらゆるお店のチェーン店化とかもね、その一因を担っていることでせう…!
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、人間が利便性みたいなのを追及していくとやはりね、いろいろな場所の特色みたいなのが薄まっていくんですよね…そして、どこへ行っても同じような街並 -
Posted by ブクログ
どの作品も主人公が漫画家でして、そうなるとどうしてもつげ氏本人の自伝的内容?? と思ってしまいがちですけれども、解説を読むとそう思ってしまう読者っつーのはアレなんですな、純情ということなんですなぁ… ←え?? 社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
でもまあ、つげ氏の作品ってあまりフィクションめいた終わり方…たとえば明快なオチをつけるとかそういうことがあんまりないのでやっぱりこれはつげ氏本人に大分近い作品群なんじゃないか…と思ってしまうんですけれどもまあ、それはどうでもよいことで、今回の作品集もやはり傑作なんだと思いました…!
繰り返し読むことで当作品の価値が分かってくるのかもしれません…