つげ義春のレビュー一覧
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「この本、すっごく面白いですよ…」
とマスター云われて読んでいたのが左の書籍。図らずもつげ義春さんの本のレビューを続けることになってしまった。行きつけの居酒屋のマスターはつげ義春のファンであり、店内の書棚には何冊かつげさんの本が陳列されている。先日はその中から「貧困旅行記」(晶文社刊)なる一冊をお借りして読み終わったところである。
確かに面白い。「蒸発旅日記」という第1章の書き出しでは、九州に旅行したときのことを記しているのだが、一面識も無かった九州の女性と結婚して九州に住み着くつもりであるということが書かれていて、緩くだが驚かされる。嘘か冗談かと思いつつも、つげさんの旅日記の記述には気負 -
Posted by ブクログ
古い写真を見ると、古い時代に出会いたくなる。
古いことは好い事だ、と、ぼくは今を否定したくなる。
非日常であること、それが快楽だった。
つげ義春の、そのどうしようもない放浪癖。
漫画で見せる特有の世界感は、ダメ男の世界に
いやおうなしに、ぼくを引きずり込んで行く。
ダラダラと、鄙びた物憂げな風景を、意味もでたらめに
カメラ片手いつまでも歩いてゆきたい、と。
彼は鉱泉宿を求める。陰鬱な空気に辟易しながらも
やがて快楽と妄想の世界に飲まれて行く。
振り返れば、それは喜びだった。
そうして彼の作品は作られて行く。
本当の、そして最高のサブカル的リアリズム。
貧困旅行・・・いいなぁ。 -
Posted by ブクログ
大学の授業で取り上げられ、興味を持って読んでみた。わくわくして第一話を読むと「なんと退屈な!」と肩透かしを食らったようだった。現代漫画に浸かった人間からすれば、違和感がするのも無理ない。それでも少し我慢して読み進むにつれ、じわじわとつげの世界にハマっていった…。
1960年代の日本、それも地方田舎の風景、人間…すべてが泥臭く、洗練されず、未完成である。現代なら、全国どこへ行っても同じような風景がコピーされているが、この漫画には、かように便利で整理整頓された風景など、ない。つげが恐らく自分で旅をして出会ったであろう風景は、生々しくも、大変風通しがいい。「著者の主張やテーマ」云々が押し付けられ