つげ義春のレビュー一覧

  • ねじ式 1

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    ネタバレ

     アックスの特集でコメントを書くように20年ぶりくらいで読み返した。『ねじ式』は改めてとても変でめちゃくちゃなのだが、めちゃくちゃなりに筋が通っていて、凄みがあり、何より絵にも凄みがみなぎっている。蒸気機関車の見開きがすごい。黒で描いた後にホワイトでヒッチングをしていて面倒な車輪のシャフトまで丁寧に書き込まれている。暗闇を走っているようだが、明暗が変で昼か夜かも分らない。どんな気合でこの絵を描いたのだろう。最後のモーターボートに乗って腕をかざしている堂々たる感じもかっこいい。そのコマの海原の波の書き込みもすごい。わずか22ページで世界をひっくり返してやろうとしているかのようだった。

     他の漫

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    2017年09月30日
  • 新版 貧困旅行記

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    「失踪」に憧れ、
    全国を広範囲でうろうろしているはずなのに、
    何故か
    『日常』から逃れられないつげさん。

    彼が描く異世界に何故か既視感を覚えてしまうのは
    そういうとこが原因か??

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    2015年09月02日
  • 無能の人・日の戯れ

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    いましめとして。

    つげさんの作品は読む人それぞれの解釈があって、
    独特の表現がすごく好き。

    毒々とした皮肉をスマートに語る人だなぁと思います。

    息子の顔がブラックジョーク(ひどいか)

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    2015年09月04日
  • ねじ式 1

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    初めて読んだときは、ねじ式の世界に何か意味があるのだろうと思って何度も読み返した。単に不安で不快にさせるための描写だとは思えなかった。そして、不自然に出てくる多くの看板や海に浮かぶ軍艦など意味を求めて細部を読み返した。
    でも、ようやく最近になってそれらには特に意味がないのだろうと気が付いた。男はメメクラゲに触れて、血管をやられ、医者を探して(眼医者ばかりで)手術してもらって、ボートで帰る。ねじ式の世界ではこのストーリーは合理的に完結しているようだが、読者にとっては何一つ理解の点で解決していない。
    そして、今の自分がねじ式を通して抱く感情は日常における異世界の近さだ。日常におけるボタンの掛け違え

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    2014年09月18日
  • 義男の青春・別離

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    名前だけは昔から知っているものの、なんとなく敬遠していたが、もっと早く読めばよかった。なんとも言えない画風で、一見すると下手なんだけどそこがまた魅力的。物語も切なくて、どこかエロくて、人の思い出をこっそりと覗いているような感覚。太宰が漫画を描いたらもしかしてこんな感じだろうか。

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    2014年08月16日
  • ねじ式 1

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    不思議な絵の質感と物語・言葉のセンス。そのちぐはぐささえも作品の中にストンと収まっていて奇妙なバランス感にとらわれる。珠玉の短篇集!

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    2014年08月15日
  • 無能の人・日の戯れ

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    久々に読み反してみた。
    今、様々なコトが上手くいっていないのかな?少しだけ、現実と距離を置きたい時期なのかな?
    たぶん、「ユトリ世代」が読んでも、特に何も感じないのでは(?)と思う。
    行きつけの喫茶店でコーヒーのツケが出来たり、近所の米屋の支払いが滞っても何とかなった時代の話。
    やらなきゃならないコト、やるべきコトは解っているのに、他人、特に奥さんや、知人といった、近親者に言われると天の邪鬼になってしまう。
    学生時代、テスト前に
    「勉強しなくてイイの?」
    「今しようと思ったんだよ」
    しかし、机に向かって、漫画を読む。
    結果、テストの成績は……。
    コレと同じコト。
    つげ義春作品は「芸術漫画」など

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    2014年07月25日
  • 新版 貧困旅行記

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    ファンレターを頼りに、会ったこともない女性と結婚するため九州に旅立つという蒸発シーンからスタート。
    相変わらずのショボくれ感と、厭世的な貧しさがジワジワと滲み出る文章がたまらなく心地よい。

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    2013年07月24日
  • ヨシボーの犯罪

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    ねじ式のイメージしか持たないで読むとまったく画風の異なる作品があってびっくり。「女忍」なんて白土三平じゃん。いきなりカムイ外伝でも始まったのかと驚きましたよ。「蟻地獄」や「ある無名作家」の絶望的なラストが怖い。「ある無名作家」は知人の家庭はともかく、語り手の家庭は平穏で貧しいながら幸せを掴んでいるのに、急激に虚しさを抱いてしまう……。生きてるって侘しいと思う。どれも前向きな気持ちになれない作品なんですけどね。でも読みたくなるんですよ。

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    2013年04月12日
  • 新版 つげ義春とぼく

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    つげ義春が鄙びた温泉街を巡る。相変わらずのショボくれ感と、イラストの場末感がたまらなく胸にグッと迫る。
    無性に流離いたくなる。。

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    2012年12月26日
  • 紅い花 1

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    色が思い出せない。

    夕べみた<夢>みたいに、全てが曖昧で、
    でも、
    曖昧じゃない、ってどういう事なのか。

    それすら良くわからなくなってくる。

    モノトーン色の濃いつげさんの作品は、
    このじっとりと絡んで来る世界感がたまらない。
    影の中に身を潜めて、
    読み終わったら、また夢を見る為だけに眠りたい。そんな感じ。

    『紅い花』の収録作品は、

    古い写真に写っている子供の、『今はおじいさんだけど』
    正体はとりあえず、わかる作品が多い。

    (こんな表現も曖昧すぎではありますが…。)

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    2012年12月06日
  • ねじ式 1

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    ずれをつくる。

    完結させないで相手の心に残りつづけるものをつくる。

    張りつめながら、ゆるくはなく、つっこみどころがある。

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    2012年11月22日
  • 無能の人・日の戯れ

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    ダメ人間の心の安定剤です。自分もまさかこの主人公と同じ人生を過ごすことになろうとは。
    ダメな人ほど癒されます。

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    2012年10月10日
  • ねじ式 1

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    決して現実にあって欲しくはない、シュールでグロエロな話たち。
    しかし、どういうわけだかその先が見たくてたまらなくなる。
    自分の歪みを思い知るなぁ…。
    非現実的であっても人間臭さは秘めていると思う。
    だから一度読み終えても、また引っ張り出したりしてしまう。

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    2012年05月19日
  • 新版 貧困旅行記

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    全編、何ともまったりとした侘びしさ。いや、でも暗くはないのだ。
    それは著者が、自分で自分を面白がってしまうようなユーモア性を隠し持ち、淡々としながらもどこか魅力的な文章を書くせいなのかもしれない。
    知る人ぞ知る山奥の鉱泉で出会う不便で粗末な作りの宿屋や、陰々滅々として絶望的な景色の中にこそ、著者は心の底から幸福感を得るようだ。
    大自然を目の前にして、自分自身がケシつぶのようなちっぽけな存在であることを実感する旅。自由とは自分からの自由にほかならない。
    つげ義春の旅は、まさに”自分なくしの旅”なのだろう。

    また奥さんや子供と一緒に、所謂名所や観光地などにも出かけている。(鎌倉随歩)
    中でも、鎌

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    2012年05月19日
  • 紅い花 1

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    短編集。いい。最高。

    物語に絶妙に紛れ込ませてある嘘に柔いところをこっそり切られているようだ。

    「じめじめ」「うじうじ」ではなく「こそこそ」「ひっそり」しているのがつげ義春の良いところだなあと思う。どの話も内省的で秘密に満ちみちていて強烈に惹きつけられる。これから何が起きるのか本当に楽しみになる。

    旅シリーズも好きだが、ガロ的な空気が濃密な『海辺の叙景』や『やなぎや主人』などが特に気に入った。『やなぎや主人』の始まり方なんてもう最高じゃないか。

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    2012年04月27日
  • 新版 つげ義春とぼく

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    なぜか夢の中でまで購入したつげ氏のエッセイ。回顧と夢日記が主であるが、影に特徴のある風景イラストも素敵。PC-98「ねじ式」中の札所の婆さんの原画や、後ほどマンガになったヨシボーの元ネタ、「するめ固め」の元元ネタなど掲載されていて興味深い。断片的な文も程よく読みやすく、つげファンなら必携の1冊。

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    2012年02月05日
  • ねじ式 1

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    イシャはどこだ!

    のコマで完全にやられました。

    完全なキ○ガイよりも、
    一見マトモそうな人がマトモじゃない、
    話が通じてるようで通じてない、
    という不条理の方が断然恐ろしい。

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    2012年03月04日
  • ねじ式 1

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    ねじ式は夢をそのまままんがにしたみたいですごい。夢の中のどろっとしててでも怖いというより不思議な、心地いい感じがリアル。好き。

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    2012年01月01日
  • ねじ式 1

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    未確認生物。人体構造。

    結論に至らぬ議論。

    死への不安。

    機械による破壊。


    だいじょうぶ?(恐れは未知の中にあり。)


    時々、彷徨っている目的も

    忘れるほどに困惑する時はないだろうか?


    ねじさえしめれば


    『日常』と言う不確かな秩序を保ち続ける事が

    出来るのだが。


    それこそが目的の『平穏』


    しかし、『平穏』はちょっとした事で

    ぶつり、と切れる細い血管の様…

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    2015年06月30日