今野真二のレビュー一覧

  • うつりゆく日本語をよむ ことばが壊れる前に

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    日本語の形態を「書きことば」、「話しことば」と「打ちことば」に分けて楽しめる議論が縦横に展開する著作だ.「打ちことば」はインターネット空間でやりとりされる言葉と定義している.さらに、「書きことば」の「話しことば」への接近が見られることへの懸念も表明している.ハードな「書きことば」を体験する機会が少なくなっていることへの警鐘も随所に見られた.唯一の体験は大学での卒業論文の作成だと指摘しているが、その通りだと思うし、それが実際に対象者にとって糧となっているかは、やや疑問な部分もあると感じている.論文博士号を持っている小生としては、博士論文は究極のハードな書きことばの試練だと回想している.

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    2022年09月02日
  • 百年前の日本語 書きことばが揺れた時代

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    【書き方の選択肢が幾つも存在した時代】
    について当時の辞書や文学作品をもとに考察されている。

    この時代を「豊か」と捉えるのか「乱れている」と捉えるのかは読者に任すと書かれている。
    私は「揺れ(書き方の幅)」を面白いと感じた。

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    2014年02月06日
  • 日本語の考古学

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    筆者は書物を「時間が集積した物体」と表現しており、上代日本語から中世初期、それ以降の時代について史料を用いながら辿っている。

    印刷技術のない時代だからこそ、その時代のスタイルや個人の癖が透けて見える。本著のとある章にもあるが、おたまじゃくしみたいな字であったり、写し書きで書き間違えたりと、「なんだよこの字、読めねぇよ」とか「あっ間違えた。まぁいいや上から書き直すか」みたいな情景が目に浮かぶ。

    また手にしているものが必ずしもオリジナルのものとは保証できず、未来にわたっては表現の良し悪しで書き換えられてしまい、著者が伝えたかった内容のニュアンスが微妙に変わったりしてしまうことは十分あり得そうだ

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    2025年12月10日
  • 乱歩の日本語

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    日本ミステリーの祖(厳密にいえば黒岩涙香辺りだけど)とも言われる江戸川乱歩の文章の歴史。松本清張が言うように全盛期は大正時代末期の短編集かもしれないが、本人が読み易いように後年まで手を加えている事もこの作家の不滅性を示している。発表当時の文章も古めかしく案外好きだけど、現代に残るバージョンの方が抜群に読みやすい。そう言う点を教えてくれる本。
    本人が単に凝り性なのかもしれないけど読者の事を考えていることがよく分かる。

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    2025年07月26日
  • 図解で学ぶ めくるめく日本語史の世界

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    全体的にちょっと圧縮しすぎ感がありました。本文以外の文字は小さいわりに説明不足な印象で、見た目より難しく感じてしまいました。

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    2025年04月13日
  • 教科書では教えてくれないゆかいな語彙力入門

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    「語彙力はどうすれば鍛えられるのですか?」と聞いてみて、この本のような回答をしてくれる人はどれほどいるだろう。知識の豊かな人が、それほど豊かでない人(わたしだ)に向けて膝を折って説明してくれる親身で温かい本。

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    2024年12月06日
  • 日本語と漢字 正書法がないことばの歴史

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    タイトルにあるように、日本語と漢字の関係(歴史)を丁寧に考察した本だと思います。

    古代の日本語の書き言葉としては『万葉集』を軸に、中世の日本語の書き言葉としては『平家物語』を軸に、近代の日本語の書き言葉としては、江戸時代を中心に作られた辞書(今でいうところの漢和辞典)を軸に語った内容であり、表意文字としての漢字、表音文字としての漢字(平仮名や片仮名に通ずる)、中国と日本語との関係を知るうえで、有用な本だと思います。

    個人的に面白いと思ったのは、書体に関する記述。
    明朝体の前には、宋朝体もあったのですね。
    明朝体ができた時代は、ちょうど、印刷技術が普及する時代であり、その結果、漢字(文字)は

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    2024年09月08日
  • 日本語と漢字 正書法がないことばの歴史

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    言葉と思考は表裏一体。大陸との交流のなかで、重層的に変化してきた日本語の表現を漢字を軸として考える本だ。

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    2024年08月08日
  • 消された漱石 明治の日本語の探し方

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     「誤植」は言語観察の妨げになることもあるが、その一方で人間の(言語)認知に関わる知見を与えてくれる契機になることもある。実は何が「誤植」で何が「誤植」ではないかの判断も難しいことがある。したがって「誤植」のようなものにも慎重に対応していく必要があることになる。(終章『それから』百年 pp.409-410)

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    2023年01月06日
  • うつりゆく日本語をよむ ことばが壊れる前に

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    ことばの乱れが指摘されて久しい。
    この本でも言葉についての危機感を露わにする言論が多く、気が滅入りそうになる。

    これまで読んだ本では話し言葉の乱れが多かったが、この本では新聞記事の文章について指摘している点が興味深い。
    「ザックリ」「心が折れる」「降臨」などのよく見る表現…私も気づきませんでした。
    読みつつ自身のことばもかなりいい加減になっていると思い、反省するしかなかった。

    近頃の言葉は、「気持ち」をどれほど面白おかしく、印象的に述べられるかが重視されているのだろうか。

    言葉は思考を表面化していること、
    書き言葉、話し言葉、打ち言葉の繋がり、
    話し言葉の「ブレーキ」となりうる「書き言葉

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    2022年12月29日
  • うつりゆく日本語をよむ ことばが壊れる前に

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    「はじめに」より

    「言語はそれを使う人の集団によって『共有』されている。(中略)多くの人に共有されている日本語も、限定された集団に共有されている日本語も、どちらも日本語だ。」

    その他

    「言葉は自然習得できる、というが、そういう場合の『言語』は『話しことば』のことだ。」

    「『情報』を目的に合わせて『圧縮』して『構造化』して提示するのが『書きことば』だと思えばよいだろう」

    「新聞などで使われていた標準的な『書きことば』も『話しことば』化し、その結果、日常的な言語生活で標準的な『書きことば』に接する機会がなくなってきた」

    など、なるほど、と思える文が多かったです。

    「壊れた日本語」につ

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    2022年12月24日
  • 百年前の日本語 書きことばが揺れた時代

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    ネタバレ

     今から約100年前の日本語は、現代の日本語と比べどのような相違点があり、現代に至るまでにどのような変化を遂げてきたかを、明治期の日本語をもとに述べられている。また、副題にある「揺れ」というのは「豊富な選択肢があった」ことを意味しており、この時代の日本語はこのように称される通り、手書きによる一つの文章の中で書体が混在したり(夏目漱石『それから』の自筆原稿が具体例として挙げられる)、外来語に対する表記の仕方に対しても様々な選択肢(漢字をあてて書くか、仮名で書くかなど)があった。しかし現代においてそれらの「揺れ」は見られず、むしろ様々な選択肢を内包していた表記体系は排除され、一定の規定(平成3年に

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    2022年02月16日
  • うつりゆく日本語をよむ ことばが壊れる前に

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     正直、このオビは頂けない。こんな雑なオビを巻くような
    ものではない。
     〈気分〉で右往左往しているような書き言葉について、丁寧に観察した一冊。

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    2022年01月11日
  • 乱歩の日本語

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    江戸川乱歩作品の表記や用語、バリアント間の異同を詳細に検証することで、乱歩の用いる言葉、ひいては乱歩が活動した大正から昭和にかけて持ちられた当時の日本語との関係について探る本。乱歩は人気作家で同じ作品が何度も書籍化されているが、その文章は乱歩自身、あるいは編者、出版社、時代の変遷による日本語の変化により、意図的な改変からルビの表記や送り仮名など様々な異同があり、それを一つひとつ丹念に検証していくという労作。乱歩の場合、足穂のように延々とリライトを繰り返す作家ではないぶん、その異同の大半は用語の異同で地味なもの多く、考えただけでも気が遠くなる。

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    2020年06月16日
  • 盗作の言語学 表現のオリジナリティーを考える

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    盗作とはなんぞや? を言語学的に分析したもの。盗作? のような作業をすることでどうなるかそれはどういう違いがあるのかが書かれてある。本歌取りやパロディについても。想像していたより盗作めいたことというのはかなり露骨に行なわれているというのが衝撃で、偶然の一致を回避したいとか思っているレベルではなかなかない感じが実際にはあるのだなという感じ。で、その上で、そういったことがテキストとして結果どうなのかを冷静に論じることで、冷静に良し悪しを考える感じを提供してくれていると思います。

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    2017年12月18日
  • 百年前の日本語 書きことばが揺れた時代

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    P.82
    明治期とは、「和語・漢語・雅語・俗語」が書きことば内に一挙に持ち込まれ、渾然一体となった日本語の語彙体系が形成された「和漢雅俗の世紀」であった。

    100年前の日本語」というより「表記、語種が統一されていない明治時代の新聞」という感じになるのかなー。旧字新字「憺」「舊」や、変体仮名「志」「ハ」といった表記の話が多かった。
    夏目漱石の直筆原稿や、明治時代の新聞、辞書などの写真が多用されていて、これからこういう情報が読み取れるのか、当時の「感覚」が伝わるし、参考になりました。明治時代の新聞の、振り仮名の活用されぶりがすごい。

    一般人向けにわかりやすい、かもしれないけれど言葉遣いや語が論

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    2017年03月17日
  • 百年前の日本語 書きことばが揺れた時代

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    ネタバレ

    祖父母の家で本を漁ると、
    出版社謹製の栞やら広告やらが、頁の間にはさまっていた。

    そこにイロハ番付なんかが書かれていて、
    たしかそこに「し」が「志」として記されていた。
    これは一体なんとよむ字なの?
    なぜひらがなではないの?なんて、聞いたことがあったのを、
    些細な思い出で忘れていたのだけれど、なんとなくふっと思い出した。

    著者は云う、
    何かを得て何かを失っているわけではない、
    どちらが良く、どちらが悪いなどということはない、
    そうなんだろう。時間の経過、時代の変化に罪はない。

    しかし、使わない文字や言葉など、
    記憶とともに忘れられ消えていくことは、
    自然なこととはいえ、なんだか色々な知識

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    2016年09月14日
  • 日本語のミッシング・リンク―江戸と明治の連続・不連続―

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    江戸時代の日本語が明治になって、どのように変化してきたかを克明に記した好著だ.文書の事例が多く掲載されており、楽しめた.英和辞典に見られる日本語の縦書や横書きは時代の流れを感じる.漢字の左側にその意味を書き、右側に読み方を記する方式は面白い様式だと感じた.漢語を使わなくなった若者用に採用してみたらどうだろうか.

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    2014年10月27日
  • 百年前の日本語 書きことばが揺れた時代

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    明治時代の日本語はどのようなものだったのか。現代の日本語との差異を明らかにし、当時の日本語に対する感覚を明らかにする一冊。

    江戸以前の近世に叙述・印刷された日本語は現代に生きる私達にとってとかく読みにくい代物である。行書や草書といった慣れ親しみのない書体や変体仮名といった現在は消滅してしまった仮名。さらに語彙も現代とは大きく異なる。なぜこのような日本語の断絶が起こってしまったのか。近世から近代に移行するに従って文字や言語を取り巻く環境に大きな変化があったことを、著者は明治時代に出版された印刷物や手書きの草稿などを元に明らかにする。
    本書では日本語の変化の原因としてまず「不特定多数の人間が読む

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    2013年04月26日
  • 百年前の日本語 書きことばが揺れた時代

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    ・今野真二「百年前の日本語-書きことばが 揺れた時代」(岩波新書)の「あとがき」に、「過去の日本語と現代の日本語が異なるということの指摘だけでは、歴史を語ったことにはならないのであり、その『違い』を『日本語の歴史』の中 で、どのように評価し、位置づけるか、ということが重要になる。」(193頁)とある。補足すれば、これは例へばかういふことである。漱石や鷗外の新字新かなに直してない、つまり漱石や鷗外の表記をきちんと反映したテキストを読めばすぐに分かることだが、仮名遣ひと字体以外にもかなりの違ひがあり、しかもその違ひは同じ語であつても必ずしも一通りだけではない。これは読んでいけばすぐに気づく。私もも

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    2012年12月16日