あらすじ
古代の中国から伝わった漢字は,日本語の内部に深く入りこんだ.はなしことばを視覚化することを超え,漢字は日本語そのものに影響を与えつづけてきた.『万葉集』から近代まで,漢字に光をあてて歴史をたどろう.漢字がつくるさまざまなかたちを楽しみながら,文字化の選択肢が複数ある,魅力的なことばを再発見する.
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Posted by ブクログ
タイトルにあるように、日本語と漢字の関係(歴史)を丁寧に考察した本だと思います。
古代の日本語の書き言葉としては『万葉集』を軸に、中世の日本語の書き言葉としては『平家物語』を軸に、近代の日本語の書き言葉としては、江戸時代を中心に作られた辞書(今でいうところの漢和辞典)を軸に語った内容であり、表意文字としての漢字、表音文字としての漢字(平仮名や片仮名に通ずる)、中国と日本語との関係を知るうえで、有用な本だと思います。
個人的に面白いと思ったのは、書体に関する記述。
明朝体の前には、宋朝体もあったのですね。
明朝体ができた時代は、ちょうど、印刷技術が普及する時代であり、その結果、漢字(文字)は、書くための文字、というだけでなく、印刷するための文字という役割を持つようになり、それゆえ、それ以降は書体が固定し、明朝体が、現在でも書体の完成形のような状態にある、という話は、なかなか興味深い話だと思いました。
Posted by ブクログ
お茶の水大学で日本語学特殊講義Iの集中講義の記録を本にしたものである。したがって、ある程度日本語学について学習している学生を対象にしていると考えられる。したがって、教員養成系大学の学生にとっては、国語専攻であれば理解ができるが、それ以外の学生にとっては難しいかもしれない。辞書といえば、スマホ全盛期の現在、広辞苑か解明国語辞典ぐらいしか使っていないということで、なかなか理解が及ばないかもしれない。また、萬葉集でも万葉仮名での本文は教科書にも掲載されていないし、平家物語でも最初の部分のみの掲載である。