あらすじ
『源氏物語』を書いたのは誰と聞かれたら、多くの人は迷わず「紫式部」と答えるだろう。しかし現代の我々の常識は、必ずしも過去にはそのまま当てはまらない。残された写本や文献をつぶさに観察してみると、そこにはどんな日本語の姿がよみがえるだろうか。微かな痕跡からさまざまに推理する、刺激的な一書。
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Posted by ブクログ
筆者は書物を「時間が集積した物体」と表現しており、上代日本語から中世初期、それ以降の時代について史料を用いながら辿っている。
印刷技術のない時代だからこそ、その時代のスタイルや個人の癖が透けて見える。本著のとある章にもあるが、おたまじゃくしみたいな字であったり、写し書きで書き間違えたりと、「なんだよこの字、読めねぇよ」とか「あっ間違えた。まぁいいや上から書き直すか」みたいな情景が目に浮かぶ。
また手にしているものが必ずしもオリジナルのものとは保証できず、未来にわたっては表現の良し悪しで書き換えられてしまい、著者が伝えたかった内容のニュアンスが微妙に変わったりしてしまうことは十分あり得そうだ。(そういう意味で、私はできる限り初版のものを読みたい派である。)
本著に記載はないが、ひょっとすると西洋の書物も書写するような時代には同じようなことがあったのかもしれない。
なお、個人的に”考古学”というにはやや大仰と感じてしまうところではある。
Posted by ブクログ
出だしは面白かったんですけど、後半になればなるほど、屁理屈や俺様理論に走っているように思えてしまったのは、気のせいでしょうか…。
とはいえ、日本語が文字を持つようになるまでの経緯(についての類推)や、万葉詩人の存在意義、ひらがなが統一されるまでの経緯、といったあたりは、なかなか興味深かったです