人気絶頂のアイドルグループのセンターを見事勝ち取ったるるの顔と体に突然現れた黒いシミ。シミによってアイドル生命を断たれたるるは、とある霊能者を紹介された。しかし、紹介された霊能者は変人霊能者コンビで……!?
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久しぶりの最東対地さんの本。今まで読んできた本の中で一番コミカルなタッチの話だった。アイドルグループのセンターに上り詰めたるるという少女が、原因不明の黒いシミに悩まされ、アイドル業を続けることが絶望的になってしまった。
方方に救いを求めたどり着いた男から、大阪にいるとある霊能者たちを紹介される。藁にもすがる思いで、一路大阪へ出向いたるるであったが、そこで出会った霊能者はイケメンだがなんともクセの強い霊能者コンビであった。うさん臭い彼らであるが自分のアイドルへの道を再び開いてくれるはずの二人に必死で食らいついていく。しかし、その思いとは裏腹に彼らは一向に彼女のシミを解決しようとしてくれない。もどかしい思いをしながら彼らと付き合っていく中で、彼らが名乗る「厄裁師」としての役割と仕事を知り、るるは希望と絶望を行き来する。
コミカルでテンションの高いシーンと、陰鬱で絶望的なシーンとの落差が凄まじい話だった。るると変人霊能者コンビであるアビーとゲイルの日常会話と、その日常を重ねるにつれてわかり始める二人が生業としている「厄裁師」の真実との差が本当にすごい。ホラー小説の霊能者は大体が、主人公や、作中に出てくる人物の霊的な悩みを解決してくれる強い味方!といった印象だが、アビーとゲイルはちょっとニュアンスが違う。確かに助けるが、それが読者や主人公のるるが望む結末を迎えるかどうかは別の話。
この部分がかなりこの物語の絶望的なシーンをより一層そうたらしめていて読んでいてしんどい。彼らが負わされている業もしんどい。るるが彼らに期待していたことを私も期待していたので、真実を彼らの口からきいたときはなかなか理解できなかった。そんなひどいことがあるのかよ、というのが率直な感想。もっと何とかならないのかと思うが、どうにもならない。ただ、迎える結末に納得ができないながら、何とか自分の中で感情の折り合いをつけながら読み進めていき、るるが迎えた結末はよかった。
この結末にを読み終えて、ここに至るまでの絶望と恐怖が全部報われた。終わり良ければ総て良しというのは少々強引だが、終わりだけでも救いがあってよかった。 いつもの最東対地さんのねちっこさはほどほどなのでサクサク読めた。だが、唐突に表れる陰鬱な展開にはご注意をという一冊でした。