上田早夕里のレビュー一覧
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妖怪がほとんどを占める街。
そこの一角で『探偵』をしている人の
助手を務めている主人公。
連続短編になっているので読みやすいですが
これの前身は別の本に入ってる模様。
読んでいなくても十分読めますが、所々にある説明が
その話が暗いような救いがないような…?
主人公は人間ですが、周囲は当然妖怪だらけ。
思考回路の切り替えが早すぎて見事ですが
妖怪だから、でこちらの切り替えも終了。
知っている習性を持っていることから、読んでいて
相手の素性はなんとなく把握できます。
有名どころが出ている、とか?w
しかし主人公は無気力です。
そして事件は妖怪にとっての無事解決であり
人間にとっては解決した? -
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妖怪が跳梁跋扈するようになった元医療特区の実験都市〈真朱の街〉、オカルトとサイエンステクノロジーが雑じり合う都市を舞台にした連作短編集。同著者の短編集「魚舟・獣舟」収録の「真朱の街」に連なる作品となっている。作中で言及はあるものの「真朱の街」が収録されていないのは残念。
相反する要素が混然となっている舞台設定が一番の特徴だと思うのだが全編にわたってそれを前面に押し出しているわけではないようだ。ハードボイルドと銘打っているようだがメインの探偵役たちには残念ながらその雰囲気は感じられなかった。拝み屋など気にいった登場人物もいるので、今後舞台設定をより活かした特異な話が紡がれていくことを期待したい。 -
Posted by ブクログ
『獣船・魚船』に収録された短編「真朱の街」のその後を描いた連作短編。
続編ものとなっていますが、邦夫がなぜこの街にやってきて百目の助手を務めるようになったかは、これだけ読んでも分かるように書かれています。
妖怪が多数登場する作品で、SF作品の多い上田さんの作品群の中ではちょっと異色な感じもありますが、作品から浮かんでくる問いかけ、というものは共通しているものも多いと思います。
序盤の短編は近未来の設定なのに、SF要素が少なくてちょっと寂しかったのですが、四話目の「炎風」は妖怪、人間、ヒューマノイドが登場しこの世界観でしか描けないような物語になっていて面白かったです。
そして本の -
Posted by ブクログ
4作収録の短編+中編集。
「リリエンタールの末裔」
爽快な飛行SF。「華竜の宮」というより「魚舟・獣舟」と同世界の物語。背中に生えた第二の腕だとか、出稼ぎの民族だとかのガジェットもあるが、何はなくとも空を飛ぶこと、飛行の爽快さが身をもって伝わってくる。何もかもはなまる満点とはいかないけれども、若さゆえの未来への展望を感じる物語だった。
「マグネフィオ」
これもよかった。三角関係と事故による脳の損傷がテーマ。美しいだとか一途だとか、そういう清廉潔白さはないけれど、ないからこそ心に訴えるものがある。
「ナイト・ブルーの記録」
これもいい。「音を肌で聴き、肌で海の味を知るような感覚」こそセンス -
Posted by ブクログ
ネタバレ六編で構成される短編集。
どれもが終わりや喪失といったテーマに含んでいる。そのテーマゆえに、作品全体に幻想的な雰囲気がある。
後ろ髪を引かれるような独特の悲哀は、読んでいて「悲しい」というより「淡く儚い」という印象を受けた。
SF的なギミックは随所に見られますが、それらはあくまでもアクセント。ストーリーが主軸にあってそれらを彩るためにSFが存在している的な。
説教臭くもなく、SF初心者でも気兼ねなく読めそう。どの話も収束に向けた流れが綺麗でストレスなく読める。
個人的に一番面白いと思ったのは「真朱の街」。
妖怪が人類に関わるようになったくだりの設定を読むとクラーク三法則の第三法則を思いだす