円居挽のレビュー一覧
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シリーズものというと、1作目→2作目→3作目…と回を重ねるごとに勢いが衰えていく方が多数かとは思うが、この作品群に関してはどんどんパワーが増しているというか、端的に言って面白くなっているような気がする。
あるいは、今シリーズが持つ独特かつ独善的な訴求性に、読み手の私が完全に慣れてきたということか?
最近では珍しく、ページをめくる手が止まらない、他にやることがあってもつい手を伸ばしてしまう、そんな一冊だった。
相変わらず純粋な推理物、フーダニットとして読めるミステリーではないが、一見暴力的とすら思われる、著者が構築したルールを理解し、この世界の楽しみ方さえ身につければ、これほど面白い小説もなか -
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鷹司高校という全寮制のエリート校の新入生である剣峰成(つるみね なる)。
彼は図書室でのちょっとしたトラブルから、同級生の太刀杜からんという少女と親しくなり、同時に三年生で生徒会長の大神五条と知り合います。
そして、新入生の歓迎の意味も込めた、この学校ならではの行事「星覧仕合」にて、成とからんはタッグを組み、五条に推理ゲームを挑みます。
(第1章 学園裁判と名探偵)
次に、第1章で少しだけ垣間見えた成の鷹司高校入学前の生い立ち、過去に関わることになった事件が語られます。
(第2章 暗号と名探偵)
そして、時代はまた現代!?に戻り、休日のある日に成とからんが巻き込まれる事件が描かれます。
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「オ・ルヴォワール」というフランスの別れの挨拶は、〝別離〟と〝再会〟という反対の意味を一語のうちに孕んでいる。いっぽう、ふたつの通りが交差する点によってあらわされる京都の地名もまた、そこに〝別離〟と〝再会〟とを孕んでいる。「ルヴォワール」シリーズ第3弾の舞台は、大怨寺という怪しげな寺院のある「河原町今出川」。当然、そこは積年の〝別離〟と〝出会い〟の交差点となる。
メインが、私的裁判「双龍会」におけるディベート以上に「権々会」における「鳳」と呼ばれるカードゲームに変わるとはいえ、その息を呑むような壮絶な騙し合いの連続は相変らずだ。そして最後、登場人物らの人間ドラマにも大きな変転が……
文庫化 -
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天才肌の登場人物たちの中で、唯一〝人間臭い〟キャラクター流(みつる)。このシリーズは論語、達也、撫子らそれぞれがみな主役の青春群像劇でもあるのだが、個人的にはこれから先「流」がどのように成長してゆくのかが楽しみでならない。おそらく読み手の多くも、(とりわけ双龍会の場面では)「流」のいかにも〝人間臭い〟視点からドラマを眺めているのではないだろうか。その意味で、重要な狂言回しの役割を担っているのがこの「流」なのである。
シリーズ第二弾であるこの『烏丸ルヴォワール』では、「流」がその人間臭さゆえ敵方の陰謀に翻弄されることになる。伝説の龍師「ささめきの山月」、「流」同様コンプレックスを抱えたまま姿を -
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ネタバレささめきの山月や有栖、烏有さんや繰子といった新キャラが多く出てくる中、相変わらず論語のキャラの立ちっぷりはすごい。トリックスターのよう!
次のページをめくるとひっくり返されている状況は相変わらずで、前の『丸太町ルヴォワール』ともども楽しめました。
とにかくタイトル通りの結末に辿りつきますが、その初めての出会いやらなんやらが悔しいくらい上手く隠されていて何度でも読み返したくなります。
そして流さんの格好よさときたら!!
落花さんや他のみんなも素敵なんですが、やっぱり有栖が憧れるのも無理はないですね。
続きも講談社ボックスで買って読んでしまいそうです。
文庫で800円、なかなかの金額ですが -
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原作ゲーム終了後の喪失感が強かったが、あの終わり方だと続きは望み薄だと思っていたのでこういうかたちで関連作品が世に出てくれることはすごく喜ばしい。
それぞれのストーリーももちろんおもしろかったんですが、話数構成というか話の順番が少し原作から離れた私を改めてこの世界観に沼らせるために構成されたもののようで、展開に戸惑うことなく読み進めることができた。
原作ゲームをやった人は解体シーンを読むためだけにこの本買ってもいいと思います。
センター長から電話がくるときとか自然と頭の中でBGMが流れますよ。
非常に残念なのはこの本を読み終わったことによってさらに喪失感が大きくなったことだろうか。
この -
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ネタバレどの作品もそれぞれの個性があり面白かった。
ジャスミン視点の3作は、頭の中で原作ゲームのBGMが思わず流れてしまうような臨場感があった。あざみさんとジャスミンのわちゃわちゃもとても良い。ジャスミンからあざみさんに向けられた感情が3作どれも噛むほど味がする。
特にセンター時代の記憶を振り返りながらのジャスミンの解体が良すぎる。見たかったやつだ〜!と大歓喜してしまった。
どの作品のジャスミンも大好き。
山田ときのこの大学生時代の話は、山田という男をめちゃくちゃ深堀りしている感じで、推してる人なら涎出ちゃうかもしれない。山田もきのこと出会わなければ、あんな風にならなかったんだろうかとも考えてしまうけ -
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事実は不透明。
都市伝説とは、出どころ不明な噂話が、他人に影響を与えるまでに力を増した存在である。実際に存在するかは重要ではない。火のないところに煙は立たぬという言葉があるが、煙こそが重要なのだ。火は過程でしかなく、煙が目的であり結果だ。煙が人為的なものであれば、そこに必ず意図がある。助けを求める意思なのか、獣避けなのか、はたまた悪意なのか。都市伝説という結果を解体し、悪意を取り出す。それこそが都市伝説解体センターである。
本作は所謂スピンオフというものだ。原作はゲームであり、ジャンルはミステリーアドベンチャーである。怪異を特定し、都市伝説を解体する都市伝説解体センター。そこで働く職員が