円居挽のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
再読。ラノベ臭さがあまり気にならなくなっていた。なぜだろ?わざとらしく悪趣味とも評価できる過剰さが、古都の艶やかな一面に溶け込んでしまったのか。
私的裁判が始まるまでが意外に長いことに気づいたが、そこまでを退屈させずに読ませるのがさすが。そして、私的裁判はどんでん返しに次ぐどんでん返し。ラストで一発、どんでん返しのためのどんでん返しをして満足、みたいな凡百のどんでん返し小説とは明らかに異なる。というのも、どんでん返しに物語としての必然性があるし、どこまでひっくり返されることになるのか最期の一ページまで予測ができないから。
ラノベ臭さがしんどい。論語とルージュのやりとりは中学生の夢想の中の小粋さ、斜に構えたガキの鼻持ちならないさかしらぶり。まさに中二。
落花のキャラもまたアニメ的。決め台詞がクサくて白けるし、内に秘めた使命感とひょうげた表向きのギャップも、わざとらしくて馬鹿みたい。
反面、京都のエキゾチズムは愁眉。古都のあやしげな澱んだ空気を存分に活かしきり、本当に私設裁判が行われているのではないかという気持ちにさせる。「左京区弁慶」というのは、某森見さんが左京区しか語れないことへの皮肉かな。野暮の極みだよなー左京区しか知らなくて学生ノリしか書けなくて野暮を逆にウリにする俺どうですか?という開き直り。
本作の著者は、ホテルの描写など京都のおハイソな部分も入れ込んでおり、そのぶんリアルな背景が鮮やか。
丸太町通りをタクシーでまっすぐ行くなんて、ほんとに京都の街を物語に活かしている。愛してるんだろうなー。 -
Posted by ブクログ
これ、何で読むことにしたんだっけ?入手してからかなりの期間、積読状態になってしまってたから、理由をすっかり忘れてしまったのです。少なくとも本作を知るまでは名前も知らなかった作者だし、賞レースで目立った訳でもなさそうだし、何でだろう?考えられる理由としては、どんでん返し系が読みたくて色々検索していた中で、どこかで引っかかったんだろう、ってこと。で、期待通りのどんでん返し系で、その意味では結構な満足度。ただやっぱり、謎解き中心モノは大好物って訳じゃなく、物語そのものの魅力としてはいま一歩と思えてしまいました。他のルヴォワールも是非読みたい!とまでは、ちょっと思えませんでした。
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Posted by ブクログ
正直これはラノベなのでは……という気がするが、
ミステリだから問題ないし、何より面白いから
問題なし。
京都のお金持ちの間では私的な諍いを私設裁判に
かける、かつ龍師という弁護士と検事を雇って
争わせる娯楽を楽しんでいるという設定。
……すでに京都の人が怒りそうだ。
人気の龍師には異名があったり、必殺技があったり
する。
そして今回の議題は「とある金持ちの祖父が
亡くなった犯人とされる青年の無実」
これに主人公が挑む。
面白いのが、件の青年が目を怪我した時にたまたま
祖父を殺そうと忍び込んだ殺し屋「ルージュ」の
手を掴んでしまったことから始まる。
青年はルージュを逃すまいと、ルージュは騒ぎを
起こさすに逃げたいと、知的な会話を繰り広げる。
しかし青年の頑張りは虚しく、睡眠薬により青年は
眠り、殺人は実行された。
そして祖父の死体の近くからは青年の携帯電話が
見つかり……というのがつかみになるわけだが、
この時点で相当ワクワクする。
最初にラノベかもしれないと言ったのは、
このぶっ飛んだ逆転裁判の設定が所以ではない。
登場キャラがいちいちラノベっぽいのだ。
主人公:高校時代揉め事処理をしてた変わり者、
大学入試はトップ、ガタイがでかく寡黙で頭が
切れる「もう争いからは足を洗ったんですよ」と
のたまう。麻雀好き
流:主人公の先輩、高校時代つるんでた俗にいう
飄々として顔が広く何でも出来る人。麻雀好き
絵に描いたようなハードボイルドと絵に描いたような
何でも屋が敵対するのは私設裁判のうての龍師で
美形姉と、美形弟。
必殺技は「落花落とし(証拠の捏造)」
「暗殺剣(証拠の隠蔽、破壊)」
そして、始まる私設裁判「双龍会」で暴かれる真実……
とまぁ全体はこんな感じ。
でも始まってみると見事になんでもありの
逆転裁判なわけだ。
焦点は祖父殺しの真相とルージュの正体、とても
シンプルながら展開がコロコロ変わる。
特に厳密な裁判ではないためドンドンとありえない
展開になる。それがまたグイグイと惹きこまれる。
もうこれ以上裏はないだろう……というところで
また展開がひっくり返るので、ミステリ好きとして
こんなに心地よい本はあまりない。
ミステリ好きはひねくれてるので「推理が当たる事」を
良しとしないからだ。裏切って欲しいのだ。
こんだけひっくり返ったら誰も予想つくまい、
というところまで転がるので変な話だが
「安心して推理が出来る、そして外れる」のだ。
なんか意味深な名前や単語、キャラが出てきたから
何かなーと思ったらシリーズもの、しかも四冊。
私設裁判というトンデモ設定の中に、しっかりと
ミステリが組み込まれしかも納得の出来という、
読みやすく面白い本でした。
もし文庫のミステリを読んでみようかな?
という人にはオススメかも。 -
Posted by ブクログ
作者の得意とする裁判や派手な設定を使わず日常の謎を描く五つの連作短編集。『レフトオーバーズ』はカルチャーセンターの料理教室で起きた盗難事件に関する謎のお話。連載時には謎の解決について座りの悪さを感じたが、加筆によってスッキリした読後感になっていた。『レフトオーバーズ』は千鶴、『一歩千金二歩厳禁』は桃、『維新伝心』は真紀、『幾度もリグレット』は公子、そして最終話は……と当番回ごとにメイン4人をそれぞれ掘り下げ、彼女たちの抱える悩みがカルチャーセンターの講師や他の少女の言葉をヒントにして解決していくのが爽快。探偵役をつとめる割合が多く超然としてるようにも見える公子の内側が描かれる『幾度もリグレット』が特に好き。平均的な中学生していたり子どもっぽかったり要領が良かったり大人びてたりとしていても、どこかにその印象をいい意味で裏切る面を見せて物語に奥行きが持たせる手腕がまた良い。クセの強い円居挽作品を読んできた読者には作者の新しい一面を感じさせてくるし、初めての方には可愛らしいイラストがフックになったり、自分がどうありたいか、どうなれるか、という中学生の少女たちの悩みとそれに対するアンサーが爽やかな読後感を残します。倒叙や多重解決もあるよ!
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Posted by ブクログ
探偵学校に入学した主人公 剣峰成が、謎の少女 太刀杜からんと出会い、様々な出来事に巻き込まれていく。
第1章は、ルヴォワールシリーズを思わせる学園私刑裁判もの。上級生との論理対決を制し、主人公の力があらわとなる。後になってわかるが、この章は前フリくらいの位置づけである。
第2章は、主人公の過去へとさかのぼる。主人公vs刑事という形の倒叙ものになっている。ダイイングメッセージの謎も面白い。
第3章は、密室爆弾魔との対決。危機的状況をどう打開するか、爆弾魔との読みあいは楽しく読める。最後はややあっさりと解決した印象。
このようにバラエティ豊かな3編で、特に個人的には第2章が面白かった。多くの伏線が張られているため、今後どのような話になっていくのか楽しみである。