あらすじ
祖父殺しの嫌疑をかけられた御曹司、城坂論語(しろさかろんご)。彼は事件当日、屋敷にルージュと名乗る謎の女がいたと証言するが、その痕跡はすべて消え失せていた。そして開かれたのが古(いにしえ)より京都で行われてきた私的裁判、双龍会(そうりゅうえ)。艶やかな衣装と滑らかな答弁が、論語の真の目的と彼女の正体を徐々に浮かび上がらせていく。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
祖父殺しの容疑をかけられた御曹司・城坂論語を巡る私的裁判・双龍会で繰り広げられる天才達による論理合戦が面白いリーガルミステリーで、軽妙な文体と個性豊かな登場人物、変死事件の謎、謎の女・ルージュの正体、そして二転三転する展開の末に待ち受ける驚愕の真相など面白い要素全部載せのような作品だった。また主要人物である城坂論語の恋愛要素も面白かった。
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再読。前回、星4だったが、自身の中で評価は上昇。
シリーズ全作を揃えたので再読。
1度目はくどく感じた青龍•黄龍の応酬や、事件を知らない聴衆を納得させるためなら出鱈目を展開する手法が出来事の大枠を知っている読者からすると「それでいいのか?本当に可能か?」と感じていた部分が多くありました。また、何度も繰り返されるどんでん返しがくどく感じるところも多少。
しかし、再読では伏線やそれぞれの騙し合いが大変面白かった。また、キャラが立っている分感じるラノベ感が苦手と思う方もいるだろが、また彼らと会えたという懐かしい感じが世界感へのめり込む要因となれた。重箱の隅を突くような細やかな伏線からの展開や追求も、「確かにそう言われてみれば」と思え楽しめました。
ルージュを守るため、両者が真相を隠し、別の真相へ辿り着かそうとするところが最高。双竜会終盤、ルージュへの論語の言葉が哀愁に満ち、とても良かった。キャラたちの一挙一動表情が目に浮かぶような場面描写、真相に気づいたであろうころからの応酬からが、本作の見せ場だと思います。
すぐさま、「烏丸ルヴォワール」へ。
Posted by ブクログ
ルヴォワールシリーズ1作品目。
論語とルージュの会合から始まる。
面白い個性を持ったキャラクター達。
ルージュの正体は誰か、祖父殺しの犯人は誰かという結論に達するまでの天才たちの騙し合いを楽しむストーリ。
叙述トリック満載。
真相はどうあれ、大衆が納得すればOKという世の中なので、それができる人が強いですよね。
面白かったです。
Posted by ブクログ
短編集かと思ってたけど全くそうじゃなかった。三章の双龍会から一気読みしてしまったけども。 城坂論語と朽紅のルージュの会話は心地よい。論語も一本取られて双龍会に至るわけだが。 双龍会後半では、次々と虚実が入り混じり、怒涛の展開。ルージュの正体辺りはもう一度読み直したい気もするけれど…。謎とは語る者により真実が異なる、偽ることの易いものなのだなぁ、と。 ラストの論語とルージュの会話…龍樹は心移りしない、からね。 (あとキングレオとは別の世界線なのか、と少し気になったりした)
Posted by ブクログ
2016/3/21 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2017/5/2〜5/9
ずっと気になっていたルヴォワールシリーズ、ようやく順番が回って来た。私的裁判、双龍会を舞台に繰り広げられる丁々発止の会話。登場人物も魅力的でとても気に入った。続編を早く読みたいところだか、いつになるやら。
Posted by ブクログ
逆転裁判に影響を受けた双龍会という疑似裁判が舞台。
しかし証拠を元に議論を戦わせるということはほとんどなく、インチキと変装(叙述トリック)による空中戦がメイン。
怒涛のどんでん返しが盛り上がる。
Posted by ブクログ
丸太町という聞き慣れた地名なんで読んでみた。
リーガルサスペンスになるんかな?
「双龍会」という疑似法廷みたいやけど。
何で、落花さんだけ、京都弁で他の人は、標準語?って違和感あったけど、京都でなくても、奈良の人とかやし、それなりの言葉使うはずやけど…
何か闇社会の法廷で、主役達も闇社会っぽいけど、全員、京大やん!それも、イケメン、イケジョ!
まぁ、優秀でないと事件解決できんのやろうし、怪しさは美形がええのか…
疑似法廷やからか、真実というより、如何に言葉を使って納得させる(騙す)かに掛かってる。
なので、どんでん返しだらけになるのは、仕方ないかもしれんけど、もう分からん!^^;ってなる。
中性的な名前にも…
最後は、分かるんやけど。
私は落花さんの京言葉の虜になりました〜♡
この作家さんも、京大のミステリー研の人みたい。京大出身の人って、そのまま、京都を舞台にした作品作る人多ない?
でも、知ってるとこ出て来るから嬉しい。(また、藤井大丸出とった。分かるんかな?)
Posted by ブクログ
〇 総合評価 ★★★★☆
〇 サプライズ ★★★☆☆
〇 熱中度 ★★★☆☆
〇 インパクト ★★★☆☆
〇 キャラクター★★★★★
〇 読後感 ★★★★☆
〇 希少価値 ★☆☆☆☆
「双龍会」という私的な裁判を舞台とした法廷モノ。更に城坂論語のルージュへの思いを描いたボーイミーツガールものという側面がある。大きな特徴は叙述トリック。以下のような叙述トリックがある。
○ 第1章で、「城坂論語」が女性ではないかとルージュが疑う。城坂論語は男性だが、後の方で女性を男性と誤信させる叙述トリックを使っているが、それを見抜きにくくするためのダミーの叙述トリックといえる。
○ 瓶賀流は男性のように描かれているが、実際は女性である。
○ 龍樹大和が龍樹落花の弟のように描かれているが、実際は龍樹落花の妹である龍樹撫子が紛争に関わっている姿。
特に瓶賀流が女性だったところは、「ルージュ」になり得る人物として双龍会で証言をするという場面で明らかになっており、結構驚いた。といっても驚愕というほどではなく、「ん、ああ、こいつ女性か。叙述トリックか」という感じだった。龍樹大和が実は龍樹撫子の扮装であることが分かるのは最終章。これはかなり驚ける。双龍会の途中の「撫子」と「大和」の書き分けに十分な差異が感じられない部分がある。とはいえ、城坂論語が「ルージュ」の手に触れたときにそうだと分かったという部分につながっており、いい仕掛けだと思う。
城坂論語による「ルージュ」の正体探しという視点から見ると、姫野葵(あおさん)がルージュという真相が最も面白い。これをダミーの真相にして、真相は龍樹撫子=ルージュというものに落ち着く。登場人物が少なく、龍樹撫子=ルージュという真相にそこまで驚きがなかったのは残念。メインの叙述トリックではないが、龍樹大和が実は龍樹撫子であるという叙述トリックが最も驚きだった。
この作品の問題は、双龍会の位置付けがいまいちはっきりしない点。いったいどうなれば勝ちなのかが分かりにくい。青龍側は最初、裁判官(火帝)の孫である香為がルージュだった可能性を示し、城坂論語が犯人ではない可能性を示すことで双龍会の勝ちを狙ったようだが、そのような勝ち方もあるのか。そもそも、黄龍側にとって、城坂論語が殺人をした可能性を示すだけでなく立証ができたのか?最終的には偽証を明らかにして龍師を退廷させ、龍師がいないということで勝ちとなるような展開になるが、おそらくこれは例外的な勝ち。どういう形になればどちらの勝ちなのかがはっきり示されていないため、双龍会を舞台とした知的ゲームという視点ではあまり面白く読めない。
龍樹落花が、なぜ城坂論語を助けようとしていたのかが腑に落ちない。結果的に、青龍師サイドの勝ちとなるが、これは龍樹落花が望んでいた結末であるかのような描写がある。しかし、なぜ龍樹側がこれを望んでいたのか。落花=ルージュで、落花が論語を愛していたというのなら分かるが、それでも龍樹家を大切にしている落花がそんなことを望むか。撫子が論語を愛しているから論語を守るためにこのような展開を望んでいたということか。龍樹家のことを心から大切にしている落花の性格から見て、そこまで腑に落ちない。
登場人物はいずれも魅力的。ひと昔前の漫画のようなキャラクターで、非常に愛着がわく。キャラクターの魅力と作品全体の雰囲気は良いが、知的ゲームとしてはそこまで面白みがない。作者のサービス精神が旺盛であると感じるが、やや盛り込み過ぎだとも思う。叙述トリックの連続。最終章で撫子が落花のふりをしていた点は、キャラクター小説としては面白い終わり方なのだが、ミステリとしては「また?」と感じてしまった。
キャラクターが非常に好みで、作品全体の雰囲気が好きなのでやや甘めの評価で★4。
● 第1章 朱雀の人よ
ルージュという女性が、城坂論語が寝ている部屋に忍び込む。城坂が起きてルージュの手を握り、城坂とルージュの間で丁々発止のやり取りがされる。そのやり取りが描かれる。城坂が女性ではないかという疑惑が出るがすぐに解消。これはこの後の筋書きのミスディレクションになっている。城坂がこの時点では目が見えない状態であったことが隠されている。最後の最後で、侵入者は最初から城坂の目が見えなかったことを知っていた人物であることが分かる。最後はルージュが睡眠薬で城坂を眠らせる。その後、城坂論語の祖父である城坂慈恩が殺害される。城坂は、携帯電話で慈恩のペースメーカーを狂わせる方法で殺人をした疑いが掛かるが、結局、事件は病死として処理される。
なお、物語の位置付けとしては、この第1章そのものが、双龍会に向けて黄龍師(龍樹)側が盗聴して作成した逐語録という位置付け。
● 第2章 その絆に用がある
「双龍会」の前日譚。御堂達也による捜査の様子が描かれる。城坂論語は医学部に進学しないという条件で、城坂慈恩は自然死として処理されていたが、城坂論語が医学部に進学したことから、城坂論語を御贖(被告人)とする私的な裁判、双龍会が開かれる。主要な登場人物が紹介される。
● 第3章 さらば甘き眠り
双龍会。大和による全体の流れの説明の後、近藤雅己の尋問。証拠は甲として携帯電話、乙として固定電話、丙として通信記録が提出される。青龍側と黄龍側の応酬。苦戦の青龍側は、X嬢という人物が屋敷にいたと主張。湯島茂の尋問。芳野由乃の尋問。それから城坂論語が隠し持っていた湯呑を証拠として提出される。火帝である荻島時代は荻島香為がX嬢である可能性を恐れる。龍樹大和の「X嬢がどのようにしてマグカップに睡眠薬を入れたのか」という質問に、瓶賀流は明確な答えを言えない。さらに、龍樹大和は湯呑のすり替えまで行い、青龍師サイドは湯呑を証拠から撤回する。休廷後、青龍師側は証拠を偽造。口紅がついたハンカチを証拠として提出する。これに対し、黄龍師サイドは龍樹落花を証人とし、X嬢が龍樹落花であると主張する。落花はルージュと龍樹(りゅうじゅ)の語呂、「ブラン」というあだ名の存在などからルージュ=落花を認めさせる。そして、恵心を証人とし、龍樹落花のアリバイを認めさせる。証拠の偽造がバレそうになる直前に、御堂達也は瓶賀流がルージュであるとして証人に立たせる。ここで、読者に瓶賀流が女性であることが明かされる。瓶賀流と龍樹落花のどちらがルージュか。城坂論語の質問などにより龍樹落花がルージュだと信じられそうになる。そのとき、御堂達也は黄龍師側が盗聴をしていたと主張。瞬間記憶能力を使い、由乃の姓が旧姓の有村ではなく芳野となっていたことなどから、盗聴されていた事実を証明する。共犯者は黛。盗聴されていた文言の中に嘘があった。部屋の前の床板は歪んでいなかった。このことでルージュが龍樹落花ではなかったことを暴く。これにより龍樹側は退廷。黄龍師がいなくなる。青龍師側が勝ち…となるところで、城坂論語が、黄龍師になろうと言い出す。論語はポットに睡眠薬が入っていたと推理し、ルージュはあおさんだったと主張する。落花は姫名葵から受け取っていたという手紙を出す。双龍会はルージュ=姫名葵。姫名葵が城坂慈恩殺しの犯人だという結論で物語が終わる。
● 終章 昏くなるまで待って
真相。城坂慈恩が死んだのは病死。自然死だった。姫名葵がルージュという真相は、双龍会をつつがなく終わらせるための嘘。龍樹落花が思い描いていたシナリオを城坂論語がうまく利用した。
龍樹大和が龍樹撫子の姿であったことが読者に明かされる。ルージュの正体は龍樹撫子だったことが分かる。
最後は、龍樹落花のふりをした龍樹撫子と城坂論語の二人がタクシーに乗る。城坂論語は龍樹撫子に改めて告白。「貴女のことを愛しているんです。」
● 双龍会
問題の中心となった人物を御贖(被告人)として立て、青龍師(検事)と黄龍師(弁護人)が御贖を挟んで戦い火帝(裁判官)の裁配を仰ぐという私的な裁判。
● 登場人物
● 城坂論語
祖父である城坂慈恩殺しの容疑で、双龍会の御贖(被告人)となる。全ては初恋の人物である「ルージュ」に出会うため。
● 御堂達也
越天学園の懲罰室に入り、探偵集団、群生累集の中心人物だった。師匠である瓶賀流が、城坂論語を御贖(被告人)とする双龍会の青龍師(弁護人)になることから、そのための捜査を行う。瞬間記憶能力の持ち主。
● 瓶賀流
城坂論語を御贖(被告人)とする双龍会の青龍師(弁護人)となる。女性だが男性だと誤認させるような叙述トリックが仕込まれている。
● 龍樹落花
号を紅龍弁天という特級龍師。瓶賀流とは京都大学の同じゼミだった。落ちた花を元踊りに戻すような見事なイカサマ=落下戻しを使う。
● 龍樹大和
暗殺剣という技を持つ龍師。暗殺剣は双龍会の中で論拠を潰す技。実は、龍樹落花がプロデュースした撫子の龍師としての姿。
● 龍樹撫子
龍樹落花の妹。龍樹大和の姿で双龍会に挑む。ルージュの正体。
● 龍樹八俣
龍樹落花の弟。シスコン。大和が弟だと読者に誤信させるために「ヤマちゃん」と呼ばれる。
● 城坂慈恩
城坂論語の祖父。城坂論語の死が病死か殺人か。殺人の場合は犯人が城坂論語なのか。その疑惑を裁くために双龍会が開かれる。
● 城坂影彰
城坂慈恩の子ども(兄)で、城坂論語の父。
● 城坂純紀
城坂慈恩の子ども(弟)。
● 楠木
城坂慈恩殺害に使ったと思われる携帯電話を発見した城坂家の使用人。双龍会の当日には福祉の研究のために北欧に出張
● 湯島茂
城坂家の秘書
● 芳野由乃(旧姓有村)
城坂家のお手伝い。目の見えない城坂論語の世話をしていた。
● 姫名葵(あおさん)
城坂家のお手伝い、70を過ぎた老人
● 黛
速記から英会話までこなせるという理由で引き抜かれ城坂家で雇われている人物。龍樹サイドの盗聴に協力する。
● 恵心祐次
双龍神社の宮司。瞬間記憶能力の持ち主。龍樹落花のアリバイを立証する。
● 荻島時代
京都の保守派の議員だった人物。龍樹家のパトロン。御贖の双龍会で火帝(裁判官)を務める。
● 荻島香為
荻島時代の孫娘。城坂論語の元許嫁。声優。双龍会で青龍側は荻島香為をルージュにしたてあげようとする。
● 近藤雅己
京都大学の医学部教授。心肺停止の状態で病院に運び込まれた城坂慈恩を病死と診察した。
● 細かい仕掛け
● 「双龍会追ってたり?」のアナグラム(アナグラムを穴熊というヒントを使って伝える。)
souryuuue ottetari → toutyou sareteiru(盗聴されている)
● 龍樹落花が弟を「ヤマちゃん」と呼び掛ける。
Posted by ブクログ
とにかく一番感じたのは、厨二病という言葉そのままの小説。
キャラクターや場面設定といい、私設裁判といい、言葉づかいから何から何まで、現実を自分の理想に都合よく上塗りしたい厨二連中のたわごとワールド。しかも結末に至っては…。
それでいて、謎解き部分は脆弱極まりなく、ミステリー音痴の俺でさえ「は?これアリなん?」みたいな伏線回収が散見されて、バカミスとしてなら合格だろうけど、これを本格ミステリーとするのはどうかと思う。
と、ここまで貶しておいて悪いんだが、なんだか妙に引きこまれてしまったのは事実。呑み過ぎて深夜に帰宅した部屋で、水呑みがてらふと付けたテレビに映った深夜アニメについつい見入ってしまった…みたいなハマり方。人に語れる魅力はないが、惰性でダラける時のお供にベストマッチ。これはこれで褒め言葉なのである。
Posted by ブクログ
「ぼくの初恋にまつわる話をしましょうか」。冒頭の一文とタイトルに惹かれて、この著者初読み。
初恋を語るのは、容姿端麗、ものすごい知力を兼ね備え、さらには金まで持っている美少年御曹司、その名も「論語」。祖父殺害の濡れ衣を着せられた彼が法廷へ。といっても、世間的には祖父は自然死したものとされていて、真相を追及する場となるのは、京都で開かれる私的裁判「双龍会(そうりゅうえ)」。
実在の地名だらけだから、私も含めて京都贔屓の人にとってはたぶんとても楽しい。登場人物の容貌や話し方はアニメにしたらさぞかし映えそうで、オタクな雰囲気。「論語」という名前を「ごんべんくさい」と評したり、相当なダジャレというべき言葉遊びがあったり、好き嫌いが激しく分かれそう。ちなみに私はかなり好きです。ちゃんとミステリーなところも○。
論語をはじめとする本作の登場人物たちと、西尾維新の戯言使いと、森見登美彦のオッパイ大好き少年と、言の葉対決をしたらさぞかし盛り上がるのでは。想像するだけでワクワクします。
Posted by ブクログ
再読。ラノベ臭さがあまり気にならなくなっていた。なぜだろ?わざとらしく悪趣味とも評価できる過剰さが、古都の艶やかな一面に溶け込んでしまったのか。
私的裁判が始まるまでが意外に長いことに気づいたが、そこまでを退屈させずに読ませるのがさすが。そして、私的裁判はどんでん返しに次ぐどんでん返し。ラストで一発、どんでん返しのためのどんでん返しをして満足、みたいな凡百のどんでん返し小説とは明らかに異なる。というのも、どんでん返しに物語としての必然性があるし、どこまでひっくり返されることになるのか最期の一ページまで予測ができないから。
ラノベ臭さがしんどい。論語とルージュのやりとりは中学生の夢想の中の小粋さ、斜に構えたガキの鼻持ちならないさかしらぶり。まさに中二。
落花のキャラもまたアニメ的。決め台詞がクサくて白けるし、内に秘めた使命感とひょうげた表向きのギャップも、わざとらしくて馬鹿みたい。
反面、京都のエキゾチズムは愁眉。古都のあやしげな澱んだ空気を存分に活かしきり、本当に私設裁判が行われているのではないかという気持ちにさせる。「左京区弁慶」というのは、某森見さんが左京区しか語れないことへの皮肉かな。野暮の極みだよなー左京区しか知らなくて学生ノリしか書けなくて野暮を逆にウリにする俺どうですか?という開き直り。
本作の著者は、ホテルの描写など京都のおハイソな部分も入れ込んでおり、そのぶんリアルな背景が鮮やか。
丸太町通りをタクシーでまっすぐ行くなんて、ほんとに京都の街を物語に活かしている。愛してるんだろうなー。
Posted by ブクログ
西尾維新的な言葉遊びとか、叙述トリックなどが楽しい。私的裁判という法廷ものなのですが、論理と化かし合いはちょっとしたバトルものの雰囲気です
後半のどんでん返しの連続についていくのは大変ですが、最後はハッピーエンドの「ボーイ・ミーツ・ガール」なので読後感は悪くないですね
ミステリとしては好みが分かれるかなあ
Posted by ブクログ
これ、何で読むことにしたんだっけ?入手してからかなりの期間、積読状態になってしまってたから、理由をすっかり忘れてしまったのです。少なくとも本作を知るまでは名前も知らなかった作者だし、賞レースで目立った訳でもなさそうだし、何でだろう?考えられる理由としては、どんでん返し系が読みたくて色々検索していた中で、どこかで引っかかったんだろう、ってこと。で、期待通りのどんでん返し系で、その意味では結構な満足度。ただやっぱり、謎解き中心モノは大好物って訳じゃなく、物語そのものの魅力としてはいま一歩と思えてしまいました。他のルヴォワールも是非読みたい!とまでは、ちょっと思えませんでした。
Posted by ブクログ
正直これはラノベなのでは……という気がするが、
ミステリだから問題ないし、何より面白いから
問題なし。
京都のお金持ちの間では私的な諍いを私設裁判に
かける、かつ龍師という弁護士と検事を雇って
争わせる娯楽を楽しんでいるという設定。
……すでに京都の人が怒りそうだ。
人気の龍師には異名があったり、必殺技があったり
する。
そして今回の議題は「とある金持ちの祖父が
亡くなった犯人とされる青年の無実」
これに主人公が挑む。
面白いのが、件の青年が目を怪我した時にたまたま
祖父を殺そうと忍び込んだ殺し屋「ルージュ」の
手を掴んでしまったことから始まる。
青年はルージュを逃すまいと、ルージュは騒ぎを
起こさすに逃げたいと、知的な会話を繰り広げる。
しかし青年の頑張りは虚しく、睡眠薬により青年は
眠り、殺人は実行された。
そして祖父の死体の近くからは青年の携帯電話が
見つかり……というのがつかみになるわけだが、
この時点で相当ワクワクする。
最初にラノベかもしれないと言ったのは、
このぶっ飛んだ逆転裁判の設定が所以ではない。
登場キャラがいちいちラノベっぽいのだ。
主人公:高校時代揉め事処理をしてた変わり者、
大学入試はトップ、ガタイがでかく寡黙で頭が
切れる「もう争いからは足を洗ったんですよ」と
のたまう。麻雀好き
流:主人公の先輩、高校時代つるんでた俗にいう
飄々として顔が広く何でも出来る人。麻雀好き
絵に描いたようなハードボイルドと絵に描いたような
何でも屋が敵対するのは私設裁判のうての龍師で
美形姉と、美形弟。
必殺技は「落花落とし(証拠の捏造)」
「暗殺剣(証拠の隠蔽、破壊)」
そして、始まる私設裁判「双龍会」で暴かれる真実……
とまぁ全体はこんな感じ。
でも始まってみると見事になんでもありの
逆転裁判なわけだ。
焦点は祖父殺しの真相とルージュの正体、とても
シンプルながら展開がコロコロ変わる。
特に厳密な裁判ではないためドンドンとありえない
展開になる。それがまたグイグイと惹きこまれる。
もうこれ以上裏はないだろう……というところで
また展開がひっくり返るので、ミステリ好きとして
こんなに心地よい本はあまりない。
ミステリ好きはひねくれてるので「推理が当たる事」を
良しとしないからだ。裏切って欲しいのだ。
こんだけひっくり返ったら誰も予想つくまい、
というところまで転がるので変な話だが
「安心して推理が出来る、そして外れる」のだ。
なんか意味深な名前や単語、キャラが出てきたから
何かなーと思ったらシリーズもの、しかも四冊。
私設裁判というトンデモ設定の中に、しっかりと
ミステリが組み込まれしかも納得の出来という、
読みやすく面白い本でした。
もし文庫のミステリを読んでみようかな?
という人にはオススメかも。
Posted by ブクログ
ひたすら理屈をこねくり回すダイアローグが延々と続く第1章の途中で、正直ちょっと疲れを覚えたが、第2章以降、舞台が転換し物語が展開し始めると、俄然引き込まれていった。
登場人物や世界観の設定、そしてプロットの運びに至るまで、とにかく荒唐無稽でマンガ的な味付けがなされているのだが、そのナンセンスぶりに呆れたり飽きたりすることなく、期待を抱きながら読み進めることができるのは、作者の筆力によるものだろう。
また、森見登美彦氏や万城目学氏の著作同様、自分と同じ大学を卒業した若い作者が京都を舞台に描いている、というアドヴァンテージがあるので、若干の贔屓目もあるかもしれない。
両著者の作品と同種の匂いも実際に本作からは立ち上っているし。
空飛ぶ叡山電車なんて発想はそうそうかぶらんはずや。
本格として典型的なスタイルに落とし込むことなく、充分にチャレンジングな構成を立てながらも、その骨格はしっかりミステリーである、と感じられる完成度ではあるが、特に終盤、ちょっと小手先に走り過ぎ、要らぬ叙述トリックを多用している、という印象もなくはない。
敢えて“軽さ”をアピールする、というのもひょっとしたら円居挽氏の狙いの1つなのかもしれないが、もう少し落ち着いたクライマックス以降にした方が、あるいはより腰が据わった作品になったのでは、という感想もある。
いずれにせよ、続編が既に3冊出ているようなので、ぜひとも買って読まねば。
Posted by ブクログ
なんだか読んでて恥ずかしい!
色々とやりすぎ感がある。装飾部分だけを見れば中学生の好みそうな…西尾維新さん、奈須きのこさん辺りも恥ずかしくて読めないけど、完全に同じ匂いだ
辛うじてミステリー調なのが救い
終盤のどんでん返しの連続には素直に感心したし面白かった
裁判の設定や開催中の論駁にもワクワクした
読後感も爽やかで良い、評価は高めにできる
通して個人的好みに合わなかったのが残念
Posted by ブクログ
平安時代から続く仮想裁判という非現実的な設定に、癖のある、タイプの違う美形のキャラがゴロゴロ。まあ、読んでいて楽しかったです。最後の方の、畳み掛けるように次々と真相が明らかになる場面は、最早、推理しながら読むという感じではなく、一エキストラとしてその場面を眺めているような感覚でした。ミステリー、、、なのかなあ。文章もなんとなく癖があり、ちょっと、情景が目に浮かぶようで浮かばないというか、すっと入ってこなくて、ん?と読むのを止めて、想像してみないと進めないというか、少々読みづらい文章でありました。キャラ達のこの先が気になるお話ではあります。
Posted by ブクログ
バトル法廷遊戯the論破合戦
キャラクターの味付けが濃くて最初ウッ!となりましたが試合シーンは実に楽しめました
もう少し読んでいる側が入れる隙間あればすごく気に入ってたかもしれない
Posted by ブクログ
法廷ミステリとして名高いシリーズ。私的裁判「双龍会(そうりょうえ)」は相手を黙らせれば勝ち。黄龍師(検事)と青龍師(弁護士)による言葉の応酬と、その熱量に圧倒されます。正直これらの趣向はあまり刺さりませんでしたが、初恋の女性を巡るラブストーリーとしての側面も併せ持ち、話としては収まりが良かったです。
Posted by ブクログ
あのあたりに住んでたこともあって、京都が舞台で、京大系となると手を出してしまう。京都のミステリらしいといえばらしいけど、この歳ではちょっと辛かった。とは言え、シリーズの残りも買ってしまってるので、読んでいく予定。もう少しこねくり回さない展開の話だといいな…
Posted by ブクログ
双竜会という擬似裁判をしながら3年前の事件の真相を紐解いていくストーリー。
正直少し読みにくい感じはありましたが、叙述トリックがふんだんに盛り込まれていて中盤から終盤にかけて、え?そうだったの?て事が何回かあります。
さらに真相も二転三転しますが、なぜか衝撃はそれほど受けませんでした。何故かはわかりません笑
やられた!騙された!というよりそうだっんだーって感じが強いです笑
だからといってつまらないわけではないですよ。
Posted by ブクログ
架空の私的法廷・双龍会を舞台にした法廷ミステリ。詭弁、捏造、騙し合い、その合間に伏線とロジック。解決を楽しみにするのではなく、それらが織りなす丁々発止の舞台を、傍聴席から眺めるのが醍醐味です。ただ、ラノベ文法に慣れてないと読み通すのは少々骨かも。
Posted by ブクログ
「ルヴォワール」シリーズ第1弾。
三年前に起こった一つの事件をめぐって、京都でひそかに開催された私的裁判「双龍会」での論戦と駆け引きを中心とする物語です。
城坂論語(しろさか・ろんご)という少年に、祖父の城坂慈恩(しろさか・じおん)を殺害したのではないかという嫌疑がかけられます。その日、論語は屋敷に侵入した「ルージュ」と名乗る女性と会話を交わしていましたが、彼は睡眠薬で眠らされ、目覚めたときには彼女が存在していた証拠はすべて消失していました。
大学に入学した御堂達也(みどう・たつや)は、中学時代の先輩である瓶賀流(みかが・みつる)に呼び出され、彼が双龍会で論語を弁護する「青龍師」の役を引き受けたことを知ります。一方、論語を告発する「黄龍師」には、流にとって頭の上がらない龍樹落花(たつき・らっか)の一族が立つことになります。こうして達也は、流とともに双龍会に出席し、論語を弁護しながら事件の謎に迫っていくことになります。
法廷モノ特有の張りつめた空気に、思わず引き込まれていきます。また、キャラクター造形がライトノベル的なので、バトルもののようなカッコよさもあって、エンターテインメント作品としての魅力を十分に堪能できる内容だと感じました。
Posted by ブクログ
デビュー作だからか、そこはかとない野心と作者の若々しさを感じる。
ちょっと面妖なファンタジーっぽい邂逅シーンに始まって(この部分はとても好きだった)、厨二臭漂う古典部的ノリになり、そのうち逆転裁判が始まったと思ったら、どんでん返しの応酬、なんなんだよまだどんでん返るのかよ!って突っ込み入れてたら、結局ラブストーリーだった、みたいな話。
読む前にあらすじを確認した時に、京都の伝統「双龍会」に関わるって時点で何故か厳かでシリアスなストーリーを想像してしまい、ギャップに苦しんだ。
群生累集とかちょっと痛かった。古典部ほど拒否反応は出なかったけど。
解くべきネタは2つ、慈恩の死の真相と、ルージュの正体。
慈恩の死は至極真っ当な結論で納得できたけど、二転三転したルージュの正体の方は、まさかの葵説が真実ならどうしようかと思った。老女の肌質は流石に触れば分かるだろ…。
全体としては推理合戦モノってことでいいんだろう。論理的なら真偽は問わないってところが『その可能性はすでに考えた』みたいだった(本作品の方が成立が早いけど)。
厨二っぽいのに本歌取りに溢れてて頭でっかちな感じなのは、京大推理研出身者の一傾向と言っていいのだろうか。
伏線の張り方があまり達者でないので、回収時の「そうだったのか!」って衝撃がやや力不足だった。
特に、流の女子カミングアウトは、あまり効果的でなかったような。
登場人物が天才ばかりで、流の凡人的感情に激しく同意。
京大生って世界をこんな風に見てるのかな…
でも、読む側だって天才ばかりではないから、もう少し親切に説明した方がいいと思う。
Posted by ブクログ
円居作品では「シャーロック・ノート」と同じ傾向の作品.
裁判をエンタテインメントとしてみる切り口や,登場人物プロファイルの現実感がない味付け,終盤でのどんでん返しなどなんとなく某裁判ゲームを思い出す.
面白く読めてはいるのだけど,個人的には超人的なプロファイルを持つキャラクターが活躍する漫画やゲームのような作風より,もう少し現実的なほうが好きなので☆3.
Posted by ブクログ
「真相が欲しいのではない、驚きが欲しいのだ」という、読者の身も蓋もない無意識の欲望をつまびらかにする。麻耶雄嵩が解説を書くのもよくわかる。7.75
時間の無駄
こんなひどい小説は久しぶり。
全く内容の無いトリックを登場人物のくだらないやりとりで膨らませた、が評価でしょう。
また、この登場人物が揃いも揃って気持ち悪い、、
自分かっこいいの中学生みたい。
大人向きではないですね。