あらすじ
「あなた、京都市民ではないですよね?」
”よそ者”にはたどり着けない世界が、京都にはあるらしい──。
閉じた田舎から出て、黒髪の乙女と出会う青春を夢見て京都の大学に進学した青年、神田祟。
なのに四回生の冬になっても、何の役も、何の縁も、何の物語も得られなかった。
そんな彼に唯一垂らされた蜘蛛の糸。
裏の仕事を斡旋する妖しげな古道具屋の女主人との出逢いにより、祟の奇妙なバイト生活が始まる。
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Posted by ブクログ
ジャケ買い+作者買いで読んでみた。
タイトルから、今流行りのモキュメンタリー作品のようなものを想像していたが、実際には作者の作風がしっかり感じ取れる物語だった。
謎解き要素も用意はされているものの、主眼は事件そのものよりも、「イメージとしての京都」に存在する怪異や不思議さを描いた点にある一作。
連作形式のため、他の地域であれば成立しなかっただろうが、京都であればぎりぎり想像できてしまう。その絶妙なラインの世界観がこの作品の肝だと思う。
歴史と共に現実と伝承、噂話の境界線を曖昧にしたまま、数多くの物語を積み重ねてきた土地だからこそ、こうした設定が成立するのだろう。
キャラクターや物語の運びはややライトノベル寄りの印象もあるが、その分読みやすさは十分。
もし自分がもっと若く、京都に住んでいない頃で、なおかつ京都に特別な憧れを持っていたなら、刺さり方は違ったかもしれない。
それでも最後まで飽きずに楽しく読めた一冊だった。