幡大介のレビュー一覧
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裏で”八巻”を狙い続けている天満屋に、前作の因縁から英照院が加わって、坂上家との兼ね合いで舞台は江戸から甲州街道へ。
相変わらずの卯之吉に、銀八が心の中で入れるツッコミが笑える。
苦労してるなぁ…銀八。
そして、三右衛門に負けず劣らずの勘違いですっかり卯之吉に心酔してしまった三右衛門の兄弟分、鬼兵衛。
真実を知らずに、あまりに純粋に?漢として惚れ込んでるこのオジサン二人が気の毒になってくる(笑)。
正体や本質を知っていながら、惚れてる美鈴は大したもんだ。
いつか報われると良いな。
そんな今作は、安定した卯之吉ぶりと周囲(敵味方両方)の誤解ぶりが楽しいけれど、黒幕は大して動かずなのでアッサリ終わってしまった感が強い気がする。
坂上家の英照院VS権七郎もあくまで”原因”で、メインは暑苦しい浪人VS偽八巻~呑気な卯之吉と強面オヤジ達の珍道中~…みたいな。
もう少し、悪役側の粘りが欲しいと思った。 -
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大富豪同心シリーズがとても好きで、その作者の新作と言うことで購入。
結果、買って良かった。
始まりからの"俺"の心の声等も面白く、いい感じだなと思っていた矢先のメタ展開。
ここで私はちょっとガッカリしたのだが、読み進めると慣れてしまった(笑)。
国許の奥村のターンではわらべ歌に悶絶。
通勤電車内で読んでいた時だったので、笑いをこらえるのが大変だった。
マスクしてて良かった…。
やけに衆道の気をプッシュしているのが気になっていたけど、最後の最後で成る程&微笑ましい結末でニンマリしてしまった。
最後のネタを知った後に、改めて最初から読み直したい…そんな作品。
館シリーズや読者への挑戦状のパロディ…色々とクスリとさせられる。
元ネタを知らなくても、ちょっとフザケた感じが大丈夫なら充分愉しい、読みやすい作品だと思う。
同一主人公での続編は難しいかもしれないが、登場人物や藩が被ってるような、同じようなタイプの作品でシリーズ化して欲しいなぁ。 -
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南長岡町で八百屋を営みながら貧乏長屋の大家をやっている太吉という男が殺された。家賃が払えなくても住んでもらわなくては困るというのだ。曰くありげな長屋である。この太吉の死体に出くわしたのが、吉原での遊蕩帰りの南町奉行所見習い同心八巻卯之吉である。
卯之吉は江戸一番の札差であり、両替商であり、大名や高級旗本相手の高利貸しも行っている三国屋の若旦那だったのだが、祖父の意向で金の力で同心になってしまったという御仁である。若旦那姿に戻っての遊蕩が続いている。
一方、南町奉行所には5年前に取り逃がしてしまった夜霧ノ治郎兵衛が江戸に戻ってきたとの報が入る。太吉殺しの探索に携わっていた筆頭与力村田銕三郎は「手前ェ程度で十分だ」卯之吉に大家殺しの一件を任せてしまう。売れない幇間の銀八を連れて長屋に出かけていくが、銀八は相変わらずの間の悪い発言をするわ、聞き込みに失敗するわで、探索は前途多難を思わせる。
江戸へ戻ってきた夜霧ノ治郎兵衛は、早速、吉原に出かけるが、そこで三国屋の若旦那の豪遊ぶりを見せつけられてしまう。次に深川に出かけた時もである。思惑をじゃまされた治郎兵衛は若旦那を目の敵にする。 同心の八巻卯之吉と三国屋の若旦那、卯之吉本人さえ「本当の自分はどっちだったのか、なにがなにやら本人自身でもよく分からない生活」の中で、卯之吉側だけでなく治郎兵衛側の勝手な思い込みや誤解が積み重なり、事件解決への大団円へと話が進んでいくのは、このシリーズの決まり事になっている。
テンポのいい展開、同心八巻卯之吉に対する誤解と思いこみの滑稽さ、三国屋徳右衛門が同心八巻卯之吉に手柄を立てさせるために考え出す奇想天外な策と、エンタテイメント性がこれでもかというくらいに詰まった娯楽作品である。 1巻目では名前ももらえず、2巻目ではちょい役でしかなかった、売れない若衆方の役者由利之丞がこの『一万両の長屋』では重要な出番が与えられている。この巻での由利之丞の役割が次巻以降も登場し、話の展開の一翼を担うことになっていくので、シリーズを読み続ける上では、読み落とせない巻である。 -
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盗賊霞ノ小源太一味の探索と召し捕りに追われている中、南町奉行所に因幡町にある白滝屋の跡取り息子七之助の神隠し騒動の話が持ち込まれた。「余計な事件に人手を割ける状態ではない」ので「仕事らしい仕事は任せられない見習いの、さらに、何を考えているのかさっぱりわからぬ唐変木」と筆頭同心から評価されている八巻卯之吉が担当を命じられる。
卯之吉は同心の家に生まれ育ったのではなく、江戸一番の札差・両替商で、大名相手の高利貸しも行っている三国屋の若旦那だった。主人徳右衛門は孫の行く末を案じ、金の力で同心株を手に入れ、八巻家の養子として卯之吉を押し込んだのである(第一巻『八巻卯之吉放蕩記』)。根っからの放蕩息子の若旦那なので、世間の常識から見れば考えられないような言動をしてしまう。そして、回りが勝手に誤解し、思いこみから動いてしまうことが、卯之吉が事件の真相に辿り着く道筋になっていく。
この勝手な誤解ぶりがおかしく、あれよあれよという間に、脈絡がないような動きが絡み合っていく。
馴染みの花魁としっぽりとぬれるよりも喧嘩騒ぎの方が好きだったり、傷を縫い合わす医工としての腕が見事だったりと、卯之吉の人間味と知識や人脈の幅の広さが、第一巻の卯之吉像よりも深まってきている。
第2巻なのでレギュラーとして登場してくる顔ぶれが揃い始めている。侠客の親分で口入屋を表家業としている荒海ノ三右衛門が押し掛け子分として活躍する様は、おかしみがあり笑ってしまう。内与力の沢田彦太郎の嫌らしさと野暮さも面白おかしさが増幅されている。第1巻では「若衆」とだけで名前がなかった陰間茶屋の売れない若衆方の役者も、今回は由利之丞として登場し、相変わらずのお金への執着ぶりをみせている。レビューを書いている今日時点で最新巻の『卯之吉子守歌』まで読んでいるので、人物像がこれから先の伏線になっていくのも楽しい。
『天狗小僧』だけではなく、シリーズとしての第2巻という見方で★4つの評価とした。 -
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父娘でファンになってしまった大富豪同心の8作目。
待ちに待っていた父に先に貸してから、通勤電車内で毎朝読もうと2日間はちょびちょび読んでいたが、その2日目の夜に気になって最後まで読んでしまった。
相変わらずの周囲の誤解っぷりが面白い。
しかし今回はその誤解も、主人公の卯之吉よりも身代わりの由利之丞の方でされることが多く、卯之吉は出番自体少なかったような…。
そして今回の目玉?である刺客三人とその他悪人達の粘りが弱く、簡単に解決してしまった気がしてもの足りなかったのと、肝心の天敵(と思ってるのは片方だけだけど)のお峰はいつ動くのかと思っていたら、最後は肩透かしを食ってしまった。
悪人とは言え、佐吉がなんだか気の毒だった…。
新たな黒幕っぽい人物も登場し、次に続く感じだったので早く次巻が出ないかなぁ…と楽しみではあるが、どうしてもパターン化しやすい設定かと思うので、今後の捻りを期待したい。
あと美鈴に頑張って欲しい。 -
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大富豪同心、シリーズ6巻。このころになると、八巻の剣客ぶりは諸大名にまで知れ渡り、とある大名が、自分の領内で起こった不可思議な出来事を吉原の花魁である菊野太夫に話し、吉原同心として活躍した八巻に、謎解きをさせるところから始まります。
八巻と卯之吉が同一人物と知らない太夫は、しかし八巻と卯之吉が、じっこんの仲であると誤解しているため、この話を卯之吉にし、すらすらと謎解きをしてしまいます。
その話を聞いた殿は八巻氏を城に招き、すぐに仲良しになるが、その後、その城で起こる数々の奇怪な出来事まで解決してくれと言われ、幽霊さわぎまで解決しなければいけなくなった卯之吉。
実は怖いもの知らずの卯之吉だったが、たった一つ、怖いものが『怨霊や幽霊』のたぐい。ぷるぷる震える足で幽霊屋敷の城に向かうが、そこで殺人の濡れ衣を着せられたから、さあ~大変。今回は自分の身に降りかかった濡れ衣を見事晴らすことができるのでしょうか?! -
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この巻では、卯之吉のホームグランド(?)の吉原が舞台となります。八巻の上司である沢田さまが吉原で罠にはめられ、冤罪を押しつけられそうになったため、捜査に指名されたのが、卯之吉こと、八巻同心。
同心であり、かつ、吉原に広く顔が利く、というのが指名を受けた理由だが、卯之吉は同心であることは吉原には内緒にしておかなくてはならないため、ひねった安が影武者を起用することだった。
その影武者に指名されたのが、顔は一流の顔だが、芝居は二流の由利之丞と、彼の恋人、水谷弥五郎。この巻では、泣く子も黙るいかつい剣士、弥五郎が、最愛の由利之丞の前で焼きもち焼いたり、ふにゃふにゃのこんにゃくになるさまが見もの。 -
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卯之助が活躍(?)する大富豪同心シリーズ第2段。
神隠しにあったと噂された大店の一人息子が無事帰ってきて、天狗小僧と噂され、捜査に指名された八巻同心。いろいろと調べていくうちに、2つの事件が、やがて1つにつながっていく・・。
一番印象に残ったのが、事件解決後、医者仲間が言った『悪のための悪なら、まだ良いが、正義のための悪をのさばらせておくと、やがて世の中は悪だらけになってほろんでしまう』といった言葉。
この医師は、このことについて病気に例え、見た目には大したことないと思われる病気が、やがてその人の命を奪う大病になってしまうんだと、とっても説得力のある言葉で説明されていました。