幡大介のレビュー一覧
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南長岡町で八百屋を営みながら貧乏長屋の大家をやっている太吉という男が殺された。家賃が払えなくても住んでもらわなくては困るというのだ。曰くありげな長屋である。この太吉の死体に出くわしたのが、吉原での遊蕩帰りの南町奉行所見習い同心八巻卯之吉である。
卯之吉は江戸一番の札差であり、両替商であり、大名や高級旗本相手の高利貸しも行っている三国屋の若旦那だったのだが、祖父の意向で金の力で同心になってしまったという御仁である。若旦那姿に戻っての遊蕩が続いている。
一方、南町奉行所には5年前に取り逃がしてしまった夜霧ノ治郎兵衛が江戸に戻ってきたとの報が入る。太吉殺しの探索に携わっていた筆頭与力村田銕三郎 -
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盗賊霞ノ小源太一味の探索と召し捕りに追われている中、南町奉行所に因幡町にある白滝屋の跡取り息子七之助の神隠し騒動の話が持ち込まれた。「余計な事件に人手を割ける状態ではない」ので「仕事らしい仕事は任せられない見習いの、さらに、何を考えているのかさっぱりわからぬ唐変木」と筆頭同心から評価されている八巻卯之吉が担当を命じられる。
卯之吉は同心の家に生まれ育ったのではなく、江戸一番の札差・両替商で、大名相手の高利貸しも行っている三国屋の若旦那だった。主人徳右衛門は孫の行く末を案じ、金の力で同心株を手に入れ、八巻家の養子として卯之吉を押し込んだのである(第一巻『八巻卯之吉放蕩記』)。根っからの放蕩息 -
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父娘でファンになってしまった大富豪同心の8作目。
待ちに待っていた父に先に貸してから、通勤電車内で毎朝読もうと2日間はちょびちょび読んでいたが、その2日目の夜に気になって最後まで読んでしまった。
相変わらずの周囲の誤解っぷりが面白い。
しかし今回はその誤解も、主人公の卯之吉よりも身代わりの由利之丞の方でされることが多く、卯之吉は出番自体少なかったような…。
そして今回の目玉?である刺客三人とその他悪人達の粘りが弱く、簡単に解決してしまった気がしてもの足りなかったのと、肝心の天敵(と思ってるのは片方だけだけど)のお峰はいつ動くのかと思っていたら、最後は肩透かしを食ってしまった。
悪人とは言え -
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大富豪同心、シリーズ6巻。このころになると、八巻の剣客ぶりは諸大名にまで知れ渡り、とある大名が、自分の領内で起こった不可思議な出来事を吉原の花魁である菊野太夫に話し、吉原同心として活躍した八巻に、謎解きをさせるところから始まります。
八巻と卯之吉が同一人物と知らない太夫は、しかし八巻と卯之吉が、じっこんの仲であると誤解しているため、この話を卯之吉にし、すらすらと謎解きをしてしまいます。
その話を聞いた殿は八巻氏を城に招き、すぐに仲良しになるが、その後、その城で起こる数々の奇怪な出来事まで解決してくれと言われ、幽霊さわぎまで解決しなければいけなくなった卯之吉。
実は怖いもの知らずの卯之吉だ -
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この巻では、卯之吉のホームグランド(?)の吉原が舞台となります。八巻の上司である沢田さまが吉原で罠にはめられ、冤罪を押しつけられそうになったため、捜査に指名されたのが、卯之吉こと、八巻同心。
同心であり、かつ、吉原に広く顔が利く、というのが指名を受けた理由だが、卯之吉は同心であることは吉原には内緒にしておかなくてはならないため、ひねった安が影武者を起用することだった。
その影武者に指名されたのが、顔は一流の顔だが、芝居は二流の由利之丞と、彼の恋人、水谷弥五郎。この巻では、泣く子も黙るいかつい剣士、弥五郎が、最愛の由利之丞の前で焼きもち焼いたり、ふにゃふにゃのこんにゃくになるさまが見もの。 -
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卯之助が活躍(?)する大富豪同心シリーズ第2段。
神隠しにあったと噂された大店の一人息子が無事帰ってきて、天狗小僧と噂され、捜査に指名された八巻同心。いろいろと調べていくうちに、2つの事件が、やがて1つにつながっていく・・。
一番印象に残ったのが、事件解決後、医者仲間が言った『悪のための悪なら、まだ良いが、正義のための悪をのさばらせておくと、やがて世の中は悪だらけになってほろんでしまう』といった言葉。
この医師は、このことについて病気に例え、見た目には大したことないと思われる病気が、やがてその人の命を奪う大病になってしまうんだと、とっても説得力のある言葉で説明されていました。 -
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シリーズ第31弾。
常陸国に漂着した海軍提督の娘・アレイサを無事にトマス提督の元に護送すべく奮闘する荒海一家&弥五さん&源之丞達(船大工の半左も)。
ですが、薩摩藩に雇われた異国の賊たちに襲われて困難な道中に。
一方、「御側御用取次役」として将軍側近の立場になってしまっている卯之吉は、伊豆沖に現れた艦隊に赴き幕府代表として提督と面会することになって・・。
外交を丸投げされたのを良い事に、米国の方々と深川でどんちゃん騒ぎの宴を楽しんでしまうところが、我らが卯之さん。
で、例によってトマス提督にも“大物”と誤解されちゃうところもお約束。
ただ、卯之吉が“神から愛された者のみが持つ人徳”があると -
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山田長政について興味を持っていて調べたいと思っていたらタイムラインに流れてきた本。タイムリーと思ったが単行本は2021年出版で、さらに過去にも何度か小説になってたというか、遠藤周作も書いてたほどポピュラーな人物だった。きちんと調べないといけない。
本作については、山田長政の大河的人生を一通り辿れたことはよかったし、まあまあおもしろくは読めた。
が、小説としては上手いとは思えず、加齢臭のする中高年向けラノベ、という感じだった。方言も取ってつけたような感じだし、ガキインッとかいうチャンバラの擬音もなんというか。
山田長政の造形も「馬鹿正直だが忠義に厚く不器用に走り回る大男」という昭和的ステレオ -
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シリーズ第30弾。
日本の金(小判)を狙って、大量の鉄砲を売りつけようと画策するアメリカと、その鉄砲を購入し、徳川家を倒そうと目論む薩摩・島津家。
両者が不穏な動きをする中、江戸城では卯之吉が将軍に見込まれて、「御側御用取次役」という重職に就くことになり・・。
ここ数巻は専らTVドラマの原作として刊行されている当シリーズ。
本書も次巻の『大統領の密書 』とセットで、ドラマ用ノベライズストーリーのようです。
シリーズ初期の頃は、卯之吉が何もしなくても、周りの人々が勝手に勘違いして色々動き回った挙句に、いつの間にか事件が解決・・といったパターンでしたが、ここ最近では(特にドラマが絡んできてか