幡大介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『猫間地獄のわらべ歌』が面白かったので、同じ著者のこれを読んでみた。
豪商三国屋が孫の卯之吉の将来を心配して、同心株を買って彼を定町廻同心にしてやった。今まで色々やっても続かなかった卯之吉は、これも面白い遊びかもと流されるようにお役についてみるが、剣の腕はからきしでのんきな性格なのに、放蕩時代の人脈と知識、金の力で事件の核心にせまっていく…
タイトルからしてコメディだろうと思ったらやはりそんな感じ。『富豪刑事』とちがって、少なくとも今作では事件解決のために途方もない大金を使う計画を立てるようなことはなかったが。
孫を溺愛する祖父が先輩同心に虐められたり危険な目にあったりしないように色々手を回していることもあるし、本人の性格や偶然もあって周囲に謎めいた凄腕の同心と勘違いされてしまうのが笑いどころ。
『猫間〜』とちがってミステリ的にぶっ飛んだ仕掛けはない。それにもちろん正当派時代小説からも外れているのだろうが、ゆるい笑いの中にシリアスなところもあって、個人的にはけっこうツボだった。シリーズなので続けて読んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
傑作か迷作か、それが問題だ。
「このミス」で話題をさらったので興味本位で古本入手。結果、300円の価値は十分にありました(笑)。でも作者の遊びゴコロが許せない人は、途中で怒って本を放り投げるかも?
ひと言でいうと軽いノリの時代小説×本格っぽいミステリ。メタフィクション云々・・・はまあ軽い座興程度。
なんちゃって密室殺人、わらべ歌に乗せた見立て連続殺人、顔のない死体、被害者のすり替え、鉄壁アリバイの館モノ?殺人と、ミステリの常套手段を駆使した縦横無尽の展開。最後にあっと驚く?どんでん返しまで待っていて、これはたしかにてんこ盛りの賑やかさ。ある意味、ツウ向けです。
バカバカしいと思っているとちゃんと推理小説として成立していて、二度読みすると伏線の緻密さに気づかされる。最後のびっくりは歴史、時代小説好きなら予想できるはず!・・・なのがますます悔しい(笑)。
あなどっていると思わぬ落とし穴にはまり、真剣に読むと途中でアホらしさにげっそりする。相性の合わない読み手にはツライかもしれませんが、イマドキの時代劇テイストのライト・エンタメだと思えば腹も立たない。
わらべ歌がタイトルにするほど効いていないことや、江戸とお国許で起こる事件の繋ぎなど、あと一歩足りないと思うところもありますが、これはこれで面白い。冗談のわかる大人に、読んでほしいと思います。 -
Posted by ブクログ
今回は帯の勝利です。「お江戸で密室」「館ものに見たて殺人」って、何それ…買うしかないじゃん…。
時代小説は正直、食指が全く動かないジャンルの一つなんですが、「ミステリ時代小説」というエンタメ感丸出しの今作はさくさく読めました(*^^*)意外と取っ付きやすいなと思ったけど、普通の時代小説はこうはいかないのかしら…。
何と言っても、物語の随所に差し挟まれるメタ展開が面白い(笑)。「左様か」とか「しからば」とかしかつめらしい顔で話してたちょんまげ侍達が、「密室とか言っちゃっていいんすか?」「こーゆーメタ展開、読者はうるさくないすか?」っていきなりメタ談議始めるのが面白い(笑)。ミステリファンには好みが分かれるお馴染みの仕掛けですが、時代小説ファンには「突然何やってんのこいつら?」な戸惑いを与えること間違いありません(笑)。
キャラ達がふざけたり歌ったりしながら物語の真相に徐々に肉薄していくのですが、ここまで「見たて殺人」と「首切断」がピッタリ嵌るミステリはなかなか無いのではないでしょうか。斬首や切腹が刑罰として残る時代の中で発見される首なし死体は、薄気味悪くも違和感なく探偵役達の前に現れます。そして、そこでも繰り返されるメタ談義!(笑)うーん、楽しい(笑)。
「お偉い皆様を集めてさてと言い」をする前に挟まれる読者への挑戦状も、作者の茶目っ気たっぷりで、終始面白おかしく書いてるなこいつ…と思わせておいて、最後にし掛けられた思わぬトリックに、ミステリファンは「ぎゃふん」と言わされることと思います。
あと、時代小説ファンの皆さん。今作に仕掛けられた最大のトリックを、皆さんなら冒頭から見抜いてしまわれるかもしれません(そうでなくとも違和感は感じられるのかも)。
藩主の妾が住む屋敷の蔵で、藩士が腹を切って自死した。誰がどう見ても「自殺」にしか見えない密室という状況下だったが、スキャンダルを恐れた妾によって「他殺でっち上げ」を依頼された俺は、頼りない目付の男と「真相捏造」に乗り出すが…。
一方、国元では不気味なわらべ歌になぞらえて次々と殺人事件が発生していた。