Posted by ブクログ
2017年10月14日
最後にはちゃんとうまいところに落ち着くと予想できるので、
最初から安心して読めました。
主人公の卯之吉は江戸一の豪商三国屋の末っ子。
生まれたときから、生涯部屋住みの宿命です。
そのためか、風を受け流す柳さながらひょうひょうとした性格でした。
それよりも卯之吉を取り巻く登場人物たちがすごかった。
...続きを読む卯之吉本人は特に他意はないのに、
勝手に良い方に解釈してくれて動いてくれます。
結果として、卯之吉はすごいという誤解が蔓延することに。
特にすごかったのは、三国屋の主。
徳右衛門という70間近の爺さまですが、
やたら元気でいつまでも若旦那に家督を譲らない。
この若旦那が卯之吉の父親なので、卯之吉なんか出る幕無し。
子や孫の代にしてみれば、えらいとばっちりですが、
この爺さまが、エネルギッシュなあまり、
先行きのない孫を同心にしようと思い立っちゃって、さあ大変。
動くわ、動くわ。
倉でうなるお金を存分に使って、まんまと叶えてしまいます。
その他にもいろんな人たちが・・・、
何というんでしょうか、卯之吉を盛り立てて(?)くれています。
事件自体は結構残忍ですが、
何しろ卯之吉の周りのドタバタがコメディで面白かったです。
でも一番の感想は、
「やっぱりお金の力ってすごいよね。」でした。