武田将明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ペスト流行の都市の記録
1665年の最後の大いなる厄災に襲われたロンドンにおける
公的及び私的な最も驚くべき出来事の報告あるいは覚書
その間ずっとロンドンに留まっていた一市民による未公開の著作」
↑ この長いのがフルの題名かな?
同じ著者のデフォーの「ロビンソン・クルーソー」も、正式な題名は「自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述」という長ったらしいものなんですよね。
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Posted by ブクログ
デフォーの伯父をモデルとした架空の書き手が1665年のペスト流行時のロンドンの状況を語る。
読む前は資料的な作品かと思っていたので、退屈な本だろうなと覚悟をして読み出しましたが、その臨場感あふれる語り口につられて一気に読み終わりました。
約350年前の話ですが、ニュースを見ているような臨場感。病に対する恐れと行動は現代とかわりませんが、いまと違うのは、人間にどうにもならない時に宗教に頼ることができた点でしょう。
あと、現代と変わらないといえば、1ページ目にあった「そのころは新聞みたいにさまざまな事件やうわさを広めるための印刷物がなかった。つまり、後の時代に見られるように、誰かが事実を好きなよ -
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Posted by ブクログ
1665年にロンドンを襲ったペストの被害について、H.F.という架空の人物の視点による記録。
H.F.はペストから逃れるため疎開する者も多い中、ロンドンにとどまり、混乱する市民の様子を語る。
時代は違えど、今のコロナ禍と通ずるものが多かった。
感染を恐れて田舎に逃げ出す者、周囲の目を気にして疑わしい症状を隠す者、根拠のないインチキ薬を売る者、感染を自覚しながらわざと周囲の人にうつそうとする者、絶望のあまり自ら死を選んでしまう者…
いつの時代も得体の知れない疫病を恐れる人々の心の動きは変わらないものなんだな…
このコロナ禍も収束がいつになるかはわからないけれど、『それでも私は生きている!』と -
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Posted by ブクログ
村上春樹/ルイス・キャロル/大島弓子/谷崎潤一郎/コナン・ドイル/J・R・R・トールキン/伊坂幸太郎/太宰治
どれかの名前にピンときたら読んでみてもいいかもしれない。
書評家、作家、翻訳家が10人。
ブコウスキーの訳者として知られる都甲幸治さんをホスト役にして1作家3人ずつの鼎談方式のブックガイド。
ブックガイド好きな上に本について語り合ってる人たちも好きな自分には楽しかった。
各テーマも興味深く、例えばキャロルは「あえて男三人で『不思議の国のアリス』を語る」とか太宰は「ダメ人間を描く小説の作者はダメ人間か」とか。
なるほど~と膝を打ちたくなるような考察もあって面白かった。いやあ、自分 -
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芥川賞や直木賞なんて世界の文学賞のうちに入るのだろうか?日本の作家が書いた日本語の小説しか対象になっていないのに。なんてことを思ったけれども、読んでみました。今年も話題になっているのは、もちろんノーベル文学賞。村上春樹さんがとるかどうか、メディアで騒がれました。この本を読むとわかるのですが、その根拠になっているのがカフカ賞。この賞をとった人が二人、ノーベル文学賞をダブル受賞しているんだそうで、まだ受賞してないのが村上春樹なんだそうです。カフカ賞はチェコ語の翻訳が一冊は出ていないと受賞できないそうで、村上春樹がとった2006年は『海辺のカフカ』が翻訳された年。タイトルがよかった?
そのノーベル -
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Posted by ブクログ
架空の語り手H・Fが記録した、ペストに襲われた1665年のロンドンの様子。著者自身の直接の経験ではなく事実との相違もあるようだが、その内容は2019〜2022年の新型コロナウィルス感染症のパンデミック時の日本及び世界と酷似。
感染確認初期の市民の楽観的な態度、被害が拡大し始めた頃に登場する自称“専門家”ども、真偽不明で未検証の感染や予防/治療法の情報の流布、都市住民の地方避難と地方住民による拒絶遮断、行政府による市民の保護と抑圧、一部感染者の無分別な行動による感染拡大、災厄下の人々の自省と互助、感染が小康状態になった際の緊張緩和による行動が齎す感染再拡大……。厖大な記録はいずれも実際に見ら -
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