清水克行のレビュー一覧
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まずは、2人の知識の膨大さ、引き出しの多さに驚き。
あまり歴史に詳しくないため、下の解説を読みつつ、引用される人や書籍が多かったので、次に読んでみたい本も増えました。
最後の方で、今の日本に住んでいた良かったと思ってしまうのは思考が停止しているとの指摘があり、はっとさせられた。
確かに、世界は広く、住んでるところだけが世界ではない。過去の日本や世界に目を向けて多様性や今の日本を客観視する目は必要だと思った。
◾️村社会の所以。応仁の乱前後からの日本人の同調圧力が強い理由は、年貢を納めるのは村単位だから、個人が納められないと村で負担していた。生命の共同体であった→ミャンマーでは、税は個人単位だ -
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いやあ面白かったなあと本篇を読み終え、笑う用意をしながら高野さんによるあとがきを読み出したのだが、まったくこのあとがきは素晴らしかった。感動的ですらあった。教養とは何か、なぜ教養は必要なのか、ということを、これほどわかりやすい言葉で実感をもって語っている文章を他に知らない。
「教養とは、自分がいる『今ここ』を時間と空間のなかに位置づける羅針盤であり、人生の終わりまで必要なもの」
胸にしみ通るような言葉だ。
以前出たお二人の対談本「世界の辺境とハードボイルド室町時代」がとても良かったので、第二弾を期待していたのだが、これは少し趣向を変えた読書会的内容となっている。まあ当然かもしれないが、選書が -
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辺境滞在に裏打ちされた経験と日本史歴史学者の最新の知識が次々に披露され しかもなんだかリンクしている驚異の対談
ふたりの対談終盤 現代日本が特殊でアジアやアフリカの辺境や室町時代の日本の方が 世界的に普遍性をもった社会なんじゃないか
今生きている社会がすべてとは思わないでほしい
との結論に至る
なんとも憑き物が落ちるような感覚を受ける本
知識としてもっとも意外性があったのは アフリカで日本の中古車が売れる理由
日本の車がすごいということでなく クルマの持ち主が代わった瞬間に、価格が6割に下落する国は日本しかない 中古車輸出ビジネスは日本しか成り立たない それがケガレ意識と関係している
って -
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争いごとを好まない日本人は、「喧嘩をすれば、喧嘩に勝とうが負けようが、両者ともに罰せられる」のが必定で、そもそも喧嘩をすることがいけない、とする知恵があると考えるのが普通であろうか。著者清水氏はそのような考え方、法制度がどのようにして生起したのかを主として室町時代のもめ事、争いごとの顛末を仔細に解説しながら説明してくれる。喧嘩をしたものは両者とも死罪という厳しい裁決がなされるようになったのは著者によれば、どちらかに軍配をあげると片一方の不公平感が収まらないので、苦し紛れに両者を罰することになったらしい。確かに争いの詳細を調べることなく、一方的に死罪に処するというのは荒っぽい処分と言わざるを得な
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タイトルは、村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』に掛けている、そうだとはどこにも書いていないけれど。遠く離れたソマリランドと遠い過去の室町時代が並行世界のようであるということなのだろうか。ソマリアの内戦と応仁の乱って似てますよね、というところから始まった辺境作家の高野さんと日本中世史の家清水さんの意外な組み合わせの対談は、意外にもとても噛み合ったやりとりになっている。
「応仁の乱もソマリアの内戦も、同じようにわけがわかんないんですけど、共通しているのは戦争の中心が都だったことでしょう。ふつうはある場所が戦場になっても、そこが戦いによって荒廃すれば、他の場所に戦場が移るけれ -
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辺境ライターと日本中世史研究家のハナシが合いすぎる。
高野秀行は、「ソマリ人の復讐の方法って徹底してるよね?」と言えば「そうそう、あれはすごいよね」と返してくれる話し相手がいなくて淋しいのだという。
そうか、辺境ライターには、そういう悩みがあったか。
そんな高野が、中世史研究家の清水克行に出会い、「ソマリアの内戦は応仁の乱に似てるって思うんですけどどうですか」などとと質問すると「それはですね」と真正面からの答えが返ってくる。最初の出会いで5時間も語り合った(素面→居酒屋)というのだから、どれだけ嬉しかったかが伝わってくる。
実に面白い。世界の辺境でおきていることと、日本の中世の歴史が縦横無尽に -
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[迷裁き、いや、名裁き]日本においては一般名詞化されるほど定着しているにもかかわらず、世界において類似の法を見つけることが極めて困難な「喧嘩両成敗」。改めて考えてみれば不思議に満ちたこの法は、どのような社会や考え方を背景として成り立ったものなのか......。異色の歴史読本です。著者は、NHKの歴史番組『タイムスクープハンター』の時代考証も務めた歴史学者、清水克行。
これは名著。喧嘩両成敗というパンチのあるテーマから、日本人の精神史、中世の社会状況、そして法概念の変化までを視野に入れた意欲作となっています。とにかく読んでいて抜群に面白い一冊でもありますので、タイトルに「おっ」と感じた方はそ -
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戦国大名が分国法を定める。
法で国を治めるなんて、とても先進的で素晴らしいと、思っていたのだけれど、読み終わってみたならば、分国法が残っている大名は、みな滅んでしまっていた。自らの支配に法を持ち込んでいるほうが、色々と治めやすく、混乱も少なく、商業も農業も発展していくのではなかいかと、現代を生きる私は安直に思っていたのだけれど、『戦国時代』は決してそうではなかったらしい。
裁判でどっちが正しいかを決めるより、暴力(物理)で相手を黙らせた方が速いし、自らの正当性を訴えて根回しし、小さな土地の所有権を認めてもらうよりも、戦で攻め入って新たな土地を奪ってしまったほうが早くて実入りも良い。
自身