清水克行のレビュー一覧

  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    面白い。ノンフィクション作家の高野氏が世間に発見されかけている?

    世界の辺境に赴き、現代日本とは異なる感覚で生きている彼らを紹介してきた高野氏と、室町時代の学者が話す事で生まれるケミストリーが凄い。
    高野氏には前々から目をつけて、いつかもっと良い仕事をしてくれると思っていた。高野氏の性格なのだろう、本書でも語っているように難しく、固く文章を書かないのだ。しかしその文章やおふざけの中に深い洞察や見識も感じられており、いつか日の目を見るはずだと思って応援してきた。系譜としては近年ではその名は地に落ちたが本田勝一氏のような作家だと思っている。

    室町時代を想像する際に現代の日本人から彼らの生活を

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    2021年08月06日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    『「ここではない何処か」を時間(歴史)と空間(旅もしくは辺境)という二つの軸で追及していくことは「ここが今どこなのか」を把握するために最も有力な手段なのだ。その体系的な知識と方法論を人は教養と呼ぶのではないだろうか』

    教養とは経験や知識で積み上げたものの【解像度を上げる】こと。素晴らしい知的バトル。これを高校、いやせめて大学生時代にこんな授業を聴いていたら。これこそ一般教養で学ぶべきことなのだ。

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    2021年01月24日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    読んでないのに読んだような気になれるズルくてありがたい本。教養と知識で殴られ続ける感じで面白かった。

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    2020年06月09日
  • 喧嘩両成敗の誕生

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    室町人の常識が分からないと読み物の登場人物の行動が理解できないな(それほど狂ったヤツら)
    中世社会の衡平感覚と相殺主義が心情にあるからこそ、法理に基づいた判断が複雑(あるいは一筋縄でいかない)な時は「喧嘩両成敗」こそ苦渋の選択として定着した
    日本人の知恵ですね(´・ω・`)

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    2020年05月10日
  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    辺境作家と日本中世史学者とが奇跡的な噛み合いっぷりを見せる対談本。いろいろ「へえ」が多すぎていちいちメモできない。

    ハードボイルド室町時代から一転して、今の日本の原型が江戸時代に作られたとありますが、そのあたりは渡辺京二の『近世日本の起源』を読むとハラ落ちしますよ。

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    2019年08月05日
  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    室町時代って、ホント歴史の中では掴みづらい時代だなって思ってた。お二人の異業種無差別格闘技みたいな、がっぷり四つに組むみたいな?議論が面白かった。分からない事はとことん調べる、ちゃんと知るって楽しい!という事を、実に楽しそうに伝えてくれる内容です。お二人とも今後もじゃんじゃか開拓して、私たちに色々伝えてほしい。

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    2019年07月27日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    ノンフィクション作家(高野氏)と日本中世史を専門にする歴史家(清水氏)が、課題図書をテーマに好き放題に対談、そのやり取りを本にするという、不思議な趣向の本。課題図書になっているのは、どれも普通に本屋の本棚を眺めていたら辿り着けないようなものばかり。どう考えたって、一冊で5,000円を超える翻訳ものとか、全8巻(しかも一冊あたり3,000円ぐらいする)の大旅行記なんぞ手に取ろうということにはならんだろう。

    課題図書は流石に畑違いの科学や医療、国際政治とかにはいかないものの、文明論や歴史、民俗史、言語と人文系の主だったトピックが網羅されていて、文系のどこかにいた人なら楽しめる場所がいくつかあるハ

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    2019年06月27日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    こんなにものすごく本を読んでいる人たちがいるんだなぁ、と感心する。将門記とか、大旅行記(いわゆる三大陸周遊記)とか、読みたくなったもの。とりあげられている本を実際に読んでみて、同じかそれ以上の楽しさを味わえるかどうかはわからない。これはやっぱり読書合戦として、著者ふたりの掛け合いが面白いというのも、大きくあるだろうしね。楽しかった。

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    2019年03月24日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    クレイジージャーニーにも出ていた、アヘンなどちょっとヤバ目のノンフィクションの多い作家、高野秀行さんと歴史家の清水克行さんが、オススメの本を紹介し合いながら語り合うという内容の本。
    紹介されている本は専門的であったり、かなりの長編であったりしてなかなか読む機会はなさそうだが、お二人の対談を読むことでなんとなく概要がつかめるのでありがたい。

    はじめに出てくる「ゾミア」という本では文明から離れ、辺境に住んでいる人たちが、文明から取り残されているのではなく、文明から意図的に離れたといった説を話されているが、なんか納得できる。
    現代でも多数派であるサラリーマンなどの管理される生き方を嫌い、いろいろな

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    2019年03月06日
  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    賠償なんかの法慣習とか神判の有効性とかアト・サキの概念とか古米の扱いとか犬食とかヒゲの意味とか物の怪に対するスタンスとか…話題はもう、多岐にわたる。
    夫々が「ああ、xx時代では…」「ソレは何処其処で…」と速攻で返してくるのが、本当に小気味良い〜

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    2019年01月06日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    ネタバレ

    日本中世の歴史家と辺境を旅するライター。
    セレクトはいかにも〜。政府とか国家とかじゃない歴史、民衆とか民族とか伝承とかの文化人類学寄りなヤツら。
    だけど、対話は期待したより、ずっとずっと面白い!飽く迄も課題本自体は話のキッカケ。両人の守備範囲が惜しげも無く披露されてる。しかしまあ、世の中には知らないことって一杯あるなあ。

    ナウマンゾウはナウマン博士が発見したから…って、知ってます?お雇いドイツ人だったそう。あと、伊達家の「三濁点」とか。

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    2018年12月11日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    辺境作家の高野さんと、日本中世史研究者の清水さんによる、読書会対談。二人の対談はとても面白く、紹介されている本はどれも読んでみたくなります。対談中の用語の多くに脚注が付いているのですが、個人的にはところどころ脚注がツボにはまった。例えば「ピンポンダッシュ」に脚注が付いていたり。高野さんが「おわりに」に書いているのですが、辺境と歴史っていうのは、空間軸・時間軸として自分の立ち位置から離れたところを知ることで、逆に自分が今どこにいるのかを知るために重要な知識なんだということが分かった。それこそが教養。我々は何処から来て何処へ向かうのか、それを考えるために必要なことが教養なんだな。

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    2018年11月30日
  • 戦国大名と分国法

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     戦国時代の大名の中には、六角氏式目とか甲州法度之次第とか自国内の法律を作っているところがある。この法律を分国法と呼ぶが、本書では5つの即ち5家の分国法を詳しく読むことで、各家が当時おかれていた状況や課題、当主の悩みや統制上の問題点などを平易に解説してくれる。
     条文とはいえ、単なる愚痴だったり何を言いたいのかわからず法律の体を成していない箇所も少なくないが、かえって当主がさまざまな雑事のような小問題にも悩まされていたことが判り、読んでいて殿様もいろいろたいへんだなあと思ってしまう。
     今から見るとこの時代の分国法は稚拙ではあるが、慣習をも含んで成文化したわけだから歴史的に重要なステップである

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    2018年09月15日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    本書はノンフィクション作家の高野秀行氏と中世史家の清水克行氏の読書対談第2弾。高野氏は以前に「間違う力」を手に取って以来、気になる作家ではあったが、まさかこれほどの教養をお持ちになっているとは思わなかった。高野氏の場合は、(あくまで想像だが)経験が先行しその後に読書によって知識を得ることで教養を身に付けていったと思われ、その経験から得られた教養が見事に歴史の事実と一致していることは驚きの一言に尽きる。本書で紹介されている作品は、お二人の対談を読んでいると、本書で紹介されているどの作品も読んでみたくなるが、どれも読みごたえがあって尻込みしてしまう。まずは手軽な「世界史のなかの戦国日本」あたりを読

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    2018年08月13日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    辺境と歴史がテーマの図書を提示しての対談。
    高野のあとがきが実に良かった。
    教養とはと云う事なのだが
    「今自分がいるところ」を把握するには「ここではない何処か」を時間(歴史)と空間(旅もしくは辺境)という二つの軸で追求することが有効な手段で、その体系的な知識と方法論を人は教養と呼ぶのではないか。
    全体的に楽しんで読めたが最後のこの文章にはグッと来るものがあった。

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    2018年07月29日
  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    先に「辺境の怪書 歴史の驚書 ハードボイルド読書合戦」という同じ著者同士の対談の本を読んで、それがあまりにも面白かったので第一弾のこの「世界の辺境とハードボイルド室町時代」を手に取った。そもそものきっかけは、ちょうど出版されたばかりの「辺境の怪書〜」が話題の本のランキングの中にあって装丁がその中で断トツにかっこよくて目を引いたからだった。それプラス高野秀行さんをTBSの「グレートジャーニー」で観て興味が湧いたので読むことにした。本文の中で場所や人種などは全く関係なく人間が進化?変化?する過程で多くの共通点があるというのはとても興味深かった。人間が自ら変わっていくのではなく自然にあるいは必然的に

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    2018年06月23日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    ネタバレ

    前著ほどの驚きはなかった
    日本史の話が多かったからか
    ゾミアは面白そう
    それとあとがきが素晴らしい

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    2018年06月11日
  • 辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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    とりあげられている本はどれも読んでいないし、もともと歴史苦手だし、で、けっこう難しかった。やっぱりとり上げられている本を読んでないとぴんとこないのかも。でも、「ギケイキ」(これ、なんとなくタイトルはきいたことあったけど、まさか「義経記」のことだとはぜんっぜん考えもしなかった)をすごく読んでみたくなった。(「ピダハン」もおもしろそうだけど、高いなあ……。)

    いやでも高野さん本当に頭よさそうだし、めちゃめちゃ本も読んでいて教養あると思うんだが。お相手の清水氏は教授だから当然だろうけど。
    高野さんのあとがきの、教養が大切なのだっていう話になんだか感動した。この本でふたり読書会のようなことをして、体

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    2018年05月06日
  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    多岐に渡る興味深い話題満載でとても面白かったです。清水氏の著作は読んだことがないので、今度読もうと思います。

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    2018年01月15日
  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル)

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    今までの常識をひっくり返すような興味深い話がドンドン出て来て一気に読んだ。外国人がイスラム過激派に襲われる本当の理由は、逃げ込んだ客人は誰であっても守るイスラム社会において、外国人は政府側の客で殺されたらメンツが潰れるから!刀と槍の関係はピストルと自動小銃のそれと同じ。比叡山延暦寺は今の東大、アカディズムの最高峰。中世は復讐が横行していて寺社がアジールだった。綱吉は実は名君で、生類憐みの令は平和な社会に未だ適応できない傾奇者対策だった。それを知ればその社会がよく理解できるエピソードに溢れている。

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    2017年08月13日