清水克行のレビュー一覧
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本書元本は博士論文をもとにしたものであり、一般読者が読み通すには骨が折れるが、中世、特に室町時代の具体相を知りたいと思う読者にとっては、とても読み応えがある。
専門書であるので、歴史学にある程度の知見がないとそもそもの論点が十分には理解できないところもあるが、論文として著者の問題意識は明確に提示されるので、そういう点では分かりやすい、といっても良いかもしれない。
本書全体の問題関心は、序章に示されている。ひろい意味での〈文化史〉の試みであると。
文化と言っても普通連想する(狭義の)文化にとどまらず、人々の生活を律した法慣習や些細な日常の民間習俗といった側面をも重視しようとする。
以 -
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ソマリランドで知られるノンフィクション作家の高野さんと、日本中世史を専門とする歴史学者の清水さんの対談。異色の組み合わせではあるが、これが見事な化学反応を起こし、とても面白い内容となっている。
時間と空間の違いこそあれ、ソマリ社会も中世日本も、現代日本から見ればどちらも遠い異文化世界。むしろソマリ社会と中世日本のほうにこそ共通点が多いかも、という気づきから始まったこの対談。豊かな経験と強い好奇心で高野さんが打ってくれば、該博な知識で清水さんが当意即妙に返してくる。何といっても、お2人が楽しんで対話しているのが伝わってくるのがいい。
古米と新米の話などトリビア的な知識も得られるし、鎖国と現代 -
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面白い。ノンフィクション作家の高野氏が世間に発見されかけている?
世界の辺境に赴き、現代日本とは異なる感覚で生きている彼らを紹介してきた高野氏と、室町時代の学者が話す事で生まれるケミストリーが凄い。
高野氏には前々から目をつけて、いつかもっと良い仕事をしてくれると思っていた。高野氏の性格なのだろう、本書でも語っているように難しく、固く文章を書かないのだ。しかしその文章やおふざけの中に深い洞察や見識も感じられており、いつか日の目を見るはずだと思って応援してきた。系譜としては近年ではその名は地に落ちたが本田勝一氏のような作家だと思っている。
室町時代を想像する際に現代の日本人から彼らの生活を -
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ネタバレノンフィクション作家(高野氏)と日本中世史を専門にする歴史家(清水氏)が、課題図書をテーマに好き放題に対談、そのやり取りを本にするという、不思議な趣向の本。課題図書になっているのは、どれも普通に本屋の本棚を眺めていたら辿り着けないようなものばかり。どう考えたって、一冊で5,000円を超える翻訳ものとか、全8巻(しかも一冊あたり3,000円ぐらいする)の大旅行記なんぞ手に取ろうということにはならんだろう。
課題図書は流石に畑違いの科学や医療、国際政治とかにはいかないものの、文明論や歴史、民俗史、言語と人文系の主だったトピックが網羅されていて、文系のどこかにいた人なら楽しめる場所がいくつかあるハ -
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クレイジージャーニーにも出ていた、アヘンなどちょっとヤバ目のノンフィクションの多い作家、高野秀行さんと歴史家の清水克行さんが、オススメの本を紹介し合いながら語り合うという内容の本。
紹介されている本は専門的であったり、かなりの長編であったりしてなかなか読む機会はなさそうだが、お二人の対談を読むことでなんとなく概要がつかめるのでありがたい。
はじめに出てくる「ゾミア」という本では文明から離れ、辺境に住んでいる人たちが、文明から取り残されているのではなく、文明から意図的に離れたといった説を話されているが、なんか納得できる。
現代でも多数派であるサラリーマンなどの管理される生き方を嫌い、いろいろな -
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辺境作家の高野さんと、日本中世史研究者の清水さんによる、読書会対談。二人の対談はとても面白く、紹介されている本はどれも読んでみたくなります。対談中の用語の多くに脚注が付いているのですが、個人的にはところどころ脚注がツボにはまった。例えば「ピンポンダッシュ」に脚注が付いていたり。高野さんが「おわりに」に書いているのですが、辺境と歴史っていうのは、空間軸・時間軸として自分の立ち位置から離れたところを知ることで、逆に自分が今どこにいるのかを知るために重要な知識なんだということが分かった。それこそが教養。我々は何処から来て何処へ向かうのか、それを考えるために必要なことが教養なんだな。
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戦国時代の大名の中には、六角氏式目とか甲州法度之次第とか自国内の法律を作っているところがある。この法律を分国法と呼ぶが、本書では5つの即ち5家の分国法を詳しく読むことで、各家が当時おかれていた状況や課題、当主の悩みや統制上の問題点などを平易に解説してくれる。
条文とはいえ、単なる愚痴だったり何を言いたいのかわからず法律の体を成していない箇所も少なくないが、かえって当主がさまざまな雑事のような小問題にも悩まされていたことが判り、読んでいて殿様もいろいろたいへんだなあと思ってしまう。
今から見るとこの時代の分国法は稚拙ではあるが、慣習をも含んで成文化したわけだから歴史的に重要なステップである -
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本書はノンフィクション作家の高野秀行氏と中世史家の清水克行氏の読書対談第2弾。高野氏は以前に「間違う力」を手に取って以来、気になる作家ではあったが、まさかこれほどの教養をお持ちになっているとは思わなかった。高野氏の場合は、(あくまで想像だが)経験が先行しその後に読書によって知識を得ることで教養を身に付けていったと思われ、その経験から得られた教養が見事に歴史の事実と一致していることは驚きの一言に尽きる。本書で紹介されている作品は、お二人の対談を読んでいると、本書で紹介されているどの作品も読んでみたくなるが、どれも読みごたえがあって尻込みしてしまう。まずは手軽な「世界史のなかの戦国日本」あたりを読