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中世、日本人はキレやすかった!大名から庶民まで刃傷沙汰は日常茶飯、人命は鴻毛のごとく軽かった。双方の言い分を足して二で割る「折中の法」、殺人者の身代わりに「死の代理人」を差しだす「解死人の制」、そして喧嘩両成敗法。荒ぶる中世が究極のトラブル解決法を生みだすまでのドラマ。
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Posted by ブクログ
現在、最高裁判所を頂点とする民事・刑事の法体系があり、何か有れば弁護士を通じて裁判所にということが当たり前に存在しているが、室町時代の昔は自力救済が基本の世界だった。しかも苛烈な名誉意識を持ち、集団の構成員が受けた痛みは集団全体のものとして内部化するという中世人の心性。 そうなると、室町時代におけ...続きを読むる紛争解決とは、放っておけば任侠の世界と同等で、抑止力を効かせつつどどで引くかという話になってしまう。時の支配者たる幕府が、これに権威ある仲裁を行おうとして四苦八苦、荒ぶる人々の公平意識に会う様に様々な制度が出てくる。 最終的に行き着くのが喧嘩両成敗だが、意図は喧嘩両成敗として喧嘩そのものを抑止しつつ、我慢して手を挙げなかった方が(法廷で)勝ちになるとの定めもあり、裁判へ誘導するものでもあった。 今の裁判制度を当たり前のものとして見てしまっているが、こういう裏面史があり、様々な経緯や議論を経て成り立っていることを知るのは大変面白い。
現代においても影響が残る喧嘩両成敗という法について、その成立に至る問題解決の試行錯誤の歴史を様々な事例を通して明らかにする内容。中世自力救済社会とその克服を目指す為政者たちとのせめぎ合いが面白い。
喧嘩両成敗、って喧嘩した両方を死なせるって意味だったんだね?というレベルの知識のない人間にもわかりやすく室町時代の人々の倫理観や価値観を伝えてくれる本。研究によると、室町時代を生きた人々の倫理観や正義感はだいぶ現代の個人主義的感覚からかけ離れたものだった…ということで、ある種のSFを読んでいるかのよ...続きを読むうな興味深い内容だった。 現代的感覚から見ると、警察や刑務所にあたる公権力がない分、問題が起きたときに自己責任で解決しなければいけない領域が大きい。だが基本的に一人では何もできないので、何かしらのグループに属してそのグループの威を借りたり、グループの連帯責任で生活していく必要があった…という部分が一番のギャップだ。 この部分は現代の素っ気ない人間関係に感謝しかない。
めっちゃ面白い。非武装の平和な国に慣れてしまって、完全に忘れてしまってるけど、昔の日本は、村や所属団体ごとに武装して、頼れる国や警察もなかったから、自分たちで落とし前をつけなければならなかった。喧嘩が始まり、2人殺されたら、同じ数だけ死んでもらわないと収まらず、エスカレートするほど好戦的なそんな時代...続きを読むに、最終的な決着をつける、みんなが同意できる法理論が、日本独自に育っいった。それがこの喧嘩両成敗であり、ハラキリだった。明治になって、欧米の法律を輸入していなかったら、どうなってたんだろう。今だに日本人のバランス感覚に根深く残ってる気がする。
「喧嘩両成敗」法は何故誕生したか、室町時代に遡って研究する本。随一面白かった!法も警察も裁判所もない時代の共同体ごとの自力救済を原則とするなか村八分さらには埒外(outlaw)に置かれることは何を意味するのか・「両成敗」を求めたのは民衆か権力者か・何故これ程まで「面子」が重要視されるのか・何故これ程...続きを読むまで「平等の損」に執着するのか・責任を(当事者ではない誰かが)取ることの意味と真実を突き止めることへの無頓着さ・「(結果はどうあれ)こんなに頑張ったんだから」が現代でもまかり通るそのルーツ・被害者落ち度による過失相殺が今も残る国。
「日本的風土に根づいた伝統」とされ、戦国時代において自力救済克服の画期となった法として日本史の教科書にも必ず登場する「喧嘩両成敗法」の室町時代における形成過程を概説。 本書は、喧嘩両成敗法を生み出した室町時代の社会の在り方、特に強烈な名誉意識や復讐意識、衡平感覚といった当時の人々の苛烈な心性にスポッ...続きを読むトを当てているところに特色があり、喧嘩両成敗法は、戦国大名主導の強圧的な秩序形成策として登場したのではなく、中世社会の中で形成された紛争解決の法慣習の蓄積であったと位置付けている。 本書は、喧嘩両成敗法の成立過程を題材としながら、現代社会と通じながらもかなり異なる室町時代の社会の在り方を生き生きと描いており、歴史学の面白さを感じさせてくれる一冊だった。特に、身分を問わず強烈な自尊心をもち、ちょっとしたことで殺し合いにまで発展してしまう室町時代の人々の現代日本人とは異なる「苛烈」な心性については、本書を読むまでほとんど知らなかったことであり、非常に興味深かった。 また、民法の「過失相殺制度」が世界的にかなり特異なものであり、こういうところにも「喧嘩両成敗」的な心性が息づいているという指摘も、目から鱗であった。 本書は、実証研究の成果をもとに、現代にも通じるテーマについて、研究史への批判も盛り込みつつ、現代を相対化させてくれるような過去の社会の在り方を明らかにし、知的好奇心を満たしてくれるという点で、歴史教養書のまさにお手本であると感じた。
「謎の独立国家ソマリランド」からの「世界の辺境とハードボイルド室町時代」、そこからの「喧嘩両成敗の誕生」です。高野秀行がソマリランドの平和を氏族主義によるトラブル回避にあるとして日本の戦国大名に見立てたことが、著者 清水克行独自の研究の室町時代の社会史研究に繋がりました。確かに似てる似てる。それにし...続きを読むても近代以前の日本人ってプッツンしやすかったんですね。笑われてキレる感じが、ツッパッているティーンみたい。そうならないように、というのではなく、そうなったらどう落とし前つけるか、の技術が法をつくっていく、社会の安定を作っていく、というお話だと読みました。ただ、ソマリランドは「男一人殺されたらラクダ百頭」というルールだけど、室町時代は「一人を討たば一人をきり、二人を討てば二人誅する」(あくまでルールのひとつだけど…)の違い。ソマリランドは経済的なバランスも含んでいるけど、日本の場合はあくまで名誉のバランスなのだな、と感じました。今、世界中でお互いにツッパッている緊張が多発していますが、例えば戦後最悪な日韓関係は名誉の問題で解決出来るのか、リアルなお金の問題で解決するのか…。アフリカ大陸や近代になる前の社会などの遠い世界の問題じゃなくて、実は今、日本で必要な技術もここにあるのでは、と感じました。
めちゃくちゃ日本特有過ぎる喧嘩両成敗。 喧嘩を売った方も買った方も等しく罰せられるところから いや、待てよ。どう考えても前者(もしくは後者)の方が悪どいんじゃないのか? それでそれでも等しく罰を受けることの方が不公平ではないのか? という歴史があったり。 もちろん現代は裁判所があるし、江戸時代はお白...続きを読む州があったり でももっとその前はどうしてたのか?っていうのを 分かりやすく書いてあった。 やはり室町時代頃のみんながみんな、オラオラしてた感。 第三者から「笑われる」ということ自体、侮辱行為で 笑われた!殺す!!みたいな。 どの地位であれ、みんながキレやすかったということだろう。 にしても。これは面白かった!
争いごとを好まない日本人は、「喧嘩をすれば、喧嘩に勝とうが負けようが、両者ともに罰せられる」のが必定で、そもそも喧嘩をすることがいけない、とする知恵があると考えるのが普通であろうか。著者清水氏はそのような考え方、法制度がどのようにして生起したのかを主として室町時代のもめ事、争いごとの顛末を仔細に解説...続きを読むしながら説明してくれる。喧嘩をしたものは両者とも死罪という厳しい裁決がなされるようになったのは著者によれば、どちらかに軍配をあげると片一方の不公平感が収まらないので、苦し紛れに両者を罰することになったらしい。確かに争いの詳細を調べることなく、一方的に死罪に処するというのは荒っぽい処分と言わざるを得ない。本書によるとこの「喧嘩両成敗」は世界的にも珍しい制度だそうで、また、その延長上にある交通事故などにおける過失相殺という判決も非常に珍しい制度であるそうだ。著者は総じてこの荒っぽい制度に批判的であり、色々な歴史上の事件とその処分を顧みると、白黒を明確にしない、というか明確にすると角が立つと考えて喧嘩両成敗するというのは、良い意味でも悪い意味でも実に日本的な考え方であることが分かったと、いうことであろうか。学術文献の引用も多く、日本法制史の書であるが、私のような歴史に疎い人間にも分かりやすく書いてくれており、非常に優れた作品であると思った。
[迷裁き、いや、名裁き]日本においては一般名詞化されるほど定着しているにもかかわらず、世界において類似の法を見つけることが極めて困難な「喧嘩両成敗」。改めて考えてみれば不思議に満ちたこの法は、どのような社会や考え方を背景として成り立ったものなのか......。異色の歴史読本です。著者は、NHKの歴史...続きを読む番組『タイムスクープハンター』の時代考証も務めた歴史学者、清水克行。 これは名著。喧嘩両成敗というパンチのあるテーマから、日本人の精神史、中世の社会状況、そして法概念の変化までを視野に入れた意欲作となっています。とにかく読んでいて抜群に面白い一冊でもありますので、タイトルに「おっ」と感じた方はその勢いで購入されることをオススメします。 喧嘩両成敗が成立する上で必須の役割を果たした室町期の社会の描写が本書の中でも白眉かと。笑われたことにブチ切れて人を一刀両断にした挙句、当事者が属する集団の全面抗争にまで至りそうになる話など、とにかく挿まれるエピソードの一つひとつに驚きと「本気かよ......」感が溢れた作品でした。 〜どうも洋の東西を問わず中世社会に生きる人々にとっては「真実」や「善悪」の究明などはどうでもよく、むしろ彼らは紛争によって失われてしまった社会秩序をもとの状態にもどすことに最大の価値を求めていたようなのである。〜 このテーマを「発見した」清水氏、そして清水氏を「発見した」選書部の山崎氏に拍手☆5つ
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喧嘩両成敗の誕生
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