清水克行のレビュー一覧
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ネタバレ誤解されやすい古典の言葉。
・天は人の上に人を作らず
・健全な精神は健全な肉体に宿る
・初心忘るべからず
そこに僕の中でもう一つ、「喧嘩両成敗」が加わりました。
確かに「喧嘩したものは理由によらず両方成敗にする」という意味自体は合っているのですが、「成敗」とは「死刑」なのであって、積極的に運用するものではなく、諍いがこじれて解決の目処が立たない時の窮余の策という位置付け。
つまり「お前ら、争いが起こったらちゃんと法廷で解決しようとしろよ。私闘で解決しようとしたら両方死刑にするからな」という「見せ札」な法として生まれた、ということ。私闘、過剰な復讐を防ぐという観点で「目には目を」のハンムラビ法典 -
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高野秀行さんとの対談本「世界の辺境とハードボイルド室町時代」が非常に面白かったので、これも読んでみた。いやあ、面白いなあ。そうなのか!という指摘の連続で、実に興味深かった。対談での著者の言葉通り、内容がギッシリつまっていて、とっても濃い。一般向けにわかりやすく書かれているけれど、中味を咀嚼するにはゆっくり読む必要がある。当然ながら対談ではかいつまんで面白いところが話題になっているので、あっちを読んでからこっち、というのは正解であった。
対談で、この本が世に出た経緯や、ここに込めた著者の思いが語られていた。しみじみ心に残る話だった。「生涯で一冊一般向けの本が書ければいいな、これで研究活動は店じ -
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喧嘩両成敗法――紛争当事者の”理非を問題にせず”双方を処罰するという世界的に特異な法律が、なぜ近世日本に登場したのか。その源流を中世社会に求め、室町から戦国期の膨大な文献から紛争事案を引用しつつ、その時代の人々の心性、倫理観、法慣習を明らかにしていく。
読んで驚くのが中世の人々の異常な喧嘩っ早さと人の命の軽さ。下人同士のちょっとしたいざこざが大名同士の全面戦争に発展するとか、トラブルの報復のために無関係な周辺住人ごと焼き討ちとか、公道を歩く者(特に女)は誰のものでもないから拉致ってもOKとか、「修羅の国」どころの騒ぎではない。そしてそれらは決して社会規範からの逸脱的行動でも一部の階級独特の規 -
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ネタバレ[ 内容 ]
神仏に罪の有無や正邪を問う裁判―神判は、前近代の世界各地で広く見られ、日本では中世、湯起請や鉄火起請が犯罪の犯人捜しに、村落間の境界争いにと多用された。
熱湯の中に手を入れ、あるいは焼けた鉄片を握り、火傷の有無で判決が下される過酷な裁判を、なぜ人々は支持したのか。
為政者、被疑者、共同体各々の思惑をはかれば、神の名を借りた合理的精神すら見え隠れする―豊富な事例から当時の人々の心性を読み解く。
[ 目次 ]
第1章 参篭起請―鎌倉時代の神判
第2章 湯起請―室町時代の神判
第3章 ムラ社会のなかの湯起請
第4章 当事者にとっての湯起請
第5章 恐怖政治のなかの湯起請
第6章 そこ -
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500年前の日本社会は、いまとまったく違っていた!しかし一方では・・・、ホームパーティーの費用はワリカン。新興宗教の教祖さまは有料でお悩み解決。人間、500年経っても、あまり変わっていなかった!ホームレスから豪商への大出世もあるような、ダイナミックな社会に生きる人々は、何を考え、どんな暮らしをしていたのか。
表紙とタイトル買いでした。室町時代がテーマなんだけど、江戸などに比べるとマイナーで私も学生ぶりのジャンル。でも全然硬くなくて全体的に読みやすい。結構今につながるシステムそのものがあったりして面白い。あとこれは学者さんあるあるなのかもしれないけど、事実と異なることをTV向けにねじまげて発言す -
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ネタバレ「世界の辺境とハードボイルド室町時代」という書籍で、著者の高野秀行と対談をされていた大学教授の清水克行さんの著書。
出典の古文書を明らかにした前書よりもアカデミックなアプローチで室町時代のやばさが紹介されていた。改めて室町時代は面白いと思ったし、本書に室町時代はドラマ化しやすいヒーローがいないため人気がないとあったか、きっとその分普通の人たちが面白かったのだろうと勝手に想像した。
特に面白かったのが、今アメリカで使われるMother Fuxxerなどの母親の性を愚弄した罵倒語が、室町時代に日本語として存在していたこと。母開(ははつび)というらしい。ぱっと見激しい印象はないが、その言葉が発せ -
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少し前に購入したのですが、読み終えるまで時間がかかりました。面白いんですが、1章読み終えるとなんとなく満足しちゃって次へ次へとならなかったので。
住んでいる場所や納める管轄によって枡の大きさが違うって面白い。とは言え一般庶民もなかなかしたたかに生きていたんだな、というのも垣間見えて面白かったり。寺院が個人を呪う制度ってのも昔からあったんだな、とか。
日本人が温厚でおとなしいというのは、コメ作りとか集団で行動しなくてはならない作業があり、そのための協調性なんだろうなぁと思いました。一方、集団になるとその集団の意向によっては暴力行為も辞さないという性質があるんだなぁとしみじみ思いました。集団に -
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文春の連載コラムのまとめか。
一つ一つのエピソードは短くて分かりやすい。のだが、それだけやなあ。
特段、室町がどれだけワンダーランドだったかってのが見えてくる内容でない。実際、何も残ってない。
歴史エピソードを、昔とは通説が違って来てるところもあるよって視点で軽く読めばいい本だと思う。
日本文化、伝統ってのが実は室町以降の近代までに出来上がって来てて、このところはむしろそれが失われているので、「近代までが室町時代」でそれを記録しないと的な一文には惹かれたが、そこはあまり効いてない。
最後の方にあった、歴史学者の分類、情熱と、史料と、研究の文脈にどう関わるかで、優れた歴史学者、歴史ファン -
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ネタバレこの本では、
「現代の辺境地域」と「日本の中世」に共通する
行動や習慣を面白がる所から
対談が繰り広げられていきます。
日本の中世と
アジア・アフリカ諸国の共通点で
興味深かったのが、
1.倫理観
日本の中世では複数の法秩序が重なっていたように、
現代のアジア・アフリカ諸国でも
近代的な法律と伝統的・土着的な法や掟が
ぶつかり合い、それが相反しながら社会で成立している。
2.未来の概念
日本語の【先日・後回し・先々・後をたどる】は、
「アト」「サキ」を使った言葉で
未来と過去を指す正反対の意味がある。
ソマリ語でも同じように使う「アト・サキ」に当たる言葉がある。
日本の中世 -
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喧嘩両成敗は他国では見られない。
最初に現れるのは駿河の今川氏親の分国法8条にある。
現代の喧嘩両成敗
田中真紀子外相と鈴木議員、
田中角栄の後の総理に大平、福田以外に三木、など。
室町殿とは将軍と同義ではない。前将軍が実権を握っている場合など室町殿と呼ばれる。
中世日本人は切れやすい。笑われて殺傷事件。強烈な自尊心を持っている。
江戸時代は、切腹は武士だけに許された自害方法。室町時代は、女性も僧侶も切腹している。
名誉意識を持ちつつも、怒りを深く隠している=仇討ちにつながる。突然殺害する、など。
復讐行為を法律によって克服する過程=法律進化論『復習と法律』
仇討ちは違法行為ではなか