原リョウのレビュー一覧
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デビュー作にしてこのクオリティ。
この原尞氏はまさにチャンドラーの正統なる後継者だ。
物語の導入部にある大富豪更科の邸への訪問は正にチャンドラーのマーロウシリーズ第1長編の『大いなる眠り』へのオマージュそのものだ。そして冒頭と終盤に現れるあの男は『長いお別れ』のテリー・レノックスだろう。
こういう舞台設定からして、チャンドラーを愛する者としては(自分のことをチャンドラリアンとまで評するほど、私はまだ判っていない)胸がくすぐられる思いがする。
さらに加えてプロットにはロスマク的家庭の悲劇も加味されている。権力に溺れゆく人々の狂った歯車がぎしぎしと音を立てて、沢崎によって一つ一つ解体されていく -
購入済み
探偵 沢崎シリーズ最後の作品
「愚か者死すべし」から約13年という歳月は私自身の環境や価値観に大きな変化を及ぼしてたようで、本巻が私が購入した沢崎シリーズ最初で最後の電子書籍となったこと、そして、本巻を読んでもなんら心が動かさることがなかったことは、私に少なからず驚きの感情を与えた。
本作が良作であることは疑いようもなく、これはもしかすると、私自身が沢崎と同年齢に達したことで良くも悪くも価値観が少しずつ変わってしまったからなのかもしれない。
いづれにせよ、一つの作品が終わったという事実を受け止めて残りの人生を見つめていきたい。
また、大変遅くなりましたが、
原先生のご冥福をお祈りいたします。 -
Posted by ブクログ
▼原りょうさん(りょうという漢字は変換できない・・・)のエッセイ集。原りょうさん、は、1988年に40代でデビューして、2018年に最後の作品を上梓された小説家です。2023年に他界。ハードボイルド・ミステリー、 あるいは ハードボイルド探偵小説、とでも言うべき「ジャンル作家」さん。
…というよりも、30年の活動歴で、
・沢崎、という名前の私立探偵が一人称で活躍する「探偵・沢崎シリーズ」。文庫本1冊程度の長編小説5冊、短編小説集1冊
しか、書いてないんです。寡作の人です。つまり、30年で文庫本6冊。
▼この6冊が、個人的には大大好きです。著者自身も認めている通り、アメリカの作家レイモン -
Posted by ブクログ
読み始めて以前に読んだ事が有るのを思い出した。
幸い読んだと言う記憶は有るが結末やストーリーは、殆ど覚えていなかった。
原りょうの小説を最初に読んだのも、この「愚か者死すべし」だった。この小説で原りょうを知り、他の作品も読み始めた。
読んだのは何年も前で、その時に読んだ本は無くしてしまい、読んだ事も忘れていた。
もう一つ思い出した事が、生前の母に、この小説を読むことを勧めて、母が面白かったと言っていた。
母が元気だった頃、よく本を読んでいた。
元気だった頃の母を思い出した。
原りょうの沢崎シリーズは、どれも傑作だ。もっと沢山、作品を書いて欲しかったな。合掌 -
Posted by ブクログ
原りょうが亡くなったことを先日知って、そういえばまだ読んでない最後の一冊があったなと本棚の奥から引っ張り出してきた。学生の頃日本のハードボイルドはほとんど読まなかったのだが、それもつまらぬバイオレンスや無駄なアクション、カッコつけるだけのシーンやセリフ、私が読んだのはそんな話ばかりで日本人に期待するのは無理だと考えていたときに彗星の如く現れたのが原りょうだったのだ。
そしてあまりの遅筆ぶりに最後の一冊を取っておいたのだ。それがこれ。私立探偵の沢崎に依頼してきたのは金融会社の支店長。融資先の料亭の女将の身辺調査を頼まれたのだが、女将は既に亡くなっていた。支店長に会いに行くと、そこに強盗が押入り -
Posted by ブクログ
探偵沢崎シリーズで、「私が殺した少女」の次に書かれたものです。
沢崎氏は渡辺探偵事務所の探偵なんですが、所属しているのは彼一人。
なんで「渡辺」?なんですが、主宰者でありパートナーでもあった渡辺は
元刑事なんですが、おとり捜査の最中に取引のブツと金の双方を持ち逃げして
警察とヤクザの双方から追われている、という身の上。
前作でも、その渡辺氏は絶妙に現れては消えて、深い印象を残していたんですが
今作でついに、彼に関しては決着ついてしまいます。
けっこうなエピソードだと思うのに、全くの傍流扱いで。
そして本流の方も、圧巻というか息をもつかせぬ展開で。
なかなかのアクションシーンが随所にあって、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・少年の見た男
・子供を失った男
・二四〇号室の男
・イニシアル”M"の男
・歩道橋の男
・選ばれる男
私立探偵沢崎シリーズの長編の既刊をすべて読んでしまったので、最後にとっておいた短編集を読んだ。
長編と長編の間に起きた事件だけど、長編で出て来た人の初登場はここだったのか、と思うことしばしば。
沢崎は子どもに対しても不愛想だし、必ずしもハッピーエンドではないけれど、やっぱり面白くて一気に読める。
というか、長編はプロットが複雑で、登場人物も錯綜して一筋縄ではいかないけれど、短編は事件がひとつなのでとても読みやす野である。
これは、短編の方が好きという人もいるかもしれない。 -
Posted by ブクログ
【大金を懐に入れるというのは、そういうことだ】(文中より引用)
ハードボイルド探偵・沢崎シリーズの長編第4弾。自首した父の冤罪を晴らしてほしいという依頼人と警察署に向かったところ、沢崎は思いも寄らない銃撃事件に出くわしてしまう。狙撃者を追う沢崎であったが、彼が直面したのは、幾重にも折り重なった思惑の数々であった・・・。著者は、超寡作の作家としても知られる原寮。
謎解きをはらむストーリーにのめり込んでいくことはもちろんなのですが、本書の魅力は、やはりニヒルな沢崎のキャラクターと散りばめらる乾いた語り口。時代に逆行するかのように自身の流儀を貫く沢崎の姿に、唸りたくなるような渋さを感じずにはいら