原リョウのレビュー一覧
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ネタバレ目次
・少年の見た男
・子供を失った男
・二四〇号室の男
・イニシアル”M"の男
・歩道橋の男
・選ばれる男
私立探偵沢崎シリーズの長編の既刊をすべて読んでしまったので、最後にとっておいた短編集を読んだ。
長編と長編の間に起きた事件だけど、長編で出て来た人の初登場はここだったのか、と思うことしばしば。
沢崎は子どもに対しても不愛想だし、必ずしもハッピーエンドではないけれど、やっぱり面白くて一気に読める。
というか、長編はプロットが複雑で、登場人物も錯綜して一筋縄ではいかないけれど、短編は事件がひとつなのでとても読みやす野である。
これは、短編の方が好きという人もいるかもしれない。 -
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【大金を懐に入れるというのは、そういうことだ】(文中より引用)
ハードボイルド探偵・沢崎シリーズの長編第4弾。自首した父の冤罪を晴らしてほしいという依頼人と警察署に向かったところ、沢崎は思いも寄らない銃撃事件に出くわしてしまう。狙撃者を追う沢崎であったが、彼が直面したのは、幾重にも折り重なった思惑の数々であった・・・。著者は、超寡作の作家としても知られる原寮。
謎解きをはらむストーリーにのめり込んでいくことはもちろんなのですが、本書の魅力は、やはりニヒルな沢崎のキャラクターと散りばめらる乾いた語り口。時代に逆行するかのように自身の流儀を貫く沢崎の姿に、唸りたくなるような渋さを感じずにはいら -
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原尞『それまでの明日』ハヤカワ文庫。
私立探偵・沢崎シリーズの第6作。もはや続篇は無いだろうというくらい前作の刊行から長い年月が過ぎている。読み始めて、そうだ沢崎という探偵が主人公で元パートナーの渡辺から引き継ぐ形で探偵事務所を続けていたんだ、などと本筋から外れた些細なことを思い出した。
今や古典とも言われるようなスタイルのハードボイルド小説。著者がこのスタイルを頑なに守っているのが嬉しい。複数の登場人物の思惑や欲望が複雑に絡み合い、単純な事件を一層複雑怪奇な事件に仕立て上げるのだが、探偵の沢崎はその一つ一つを解きほぐすように真実に迫る。久し振りにハードボイルド小説というスタイルで感情を揺 -
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沢崎探偵シリーズ第五作。
いよいよ携帯電話が登場した。
作中にもあるように探偵に必須な携帯電話だが、
探偵沢崎には似合わない気がして、
時代が進むにつれどうするのだろうかと心配だった。
相変わらず伝言サービスを使っていて、
なんだかほっとした。
渡辺探偵事務所の渡辺に相談しに来た若い女性。
依頼を引き受けたわけではなく、警察署に女性を車で送っただけだったが、
銀行強盗の容疑者が銃撃さたれたのに巻き込まれる。
2つの誘拐事件を解決して、大金の運び役をすることになる。
そして、銃撃事件の真実を突き止める。
錦織警部がパリに行ったと聞いて、驚いた沢崎が面白かった。
何を見ても驚いたことがなかっ -
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ネタバレ沢崎探偵シリーズ第二作。
この作品は読んだことがある気がした。
シリーズものは最初から読むことにしているので、
なぜ1作目を読まずに2作目を読んだのかは全く覚えていない。
覚えていないと言えば、ほとんど内容も覚えていなかった。
幸運と言うべきか。
ハードボイルドに不可欠なもの、主人公の生き様、に加えるとすれば、
都会的雰囲気、としたい。
それは、LAでもNYでも東京でも良いはず。
ただ、新宿では鮫が泳いでいるらしいが、
東京は現実であるがゆえに、虚構の舞台にはなりにくい。
ただ、この作品の中の東京は、現実ではない。
ブルーバードが走り、喫茶店で呼び出しがかかり、第一勧業銀行がある東京。
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ネットで見かけて。
とくにハードボイルドが好きな訳ではないと思う。
暴力にも、カーチェイスにも、銃撃戦にも、ましてや美女にも
興味はない。
ただそれらを含んでいても含んでいなくても、
心魅かれるものがあるとすれば、
それは、多分、男の「強がり」なのだと思う。
「美学」とも「やせがまん」とか、
呼びたい人は呼べばいい。
誰にも、何にも囚われないおのれ一人の哲学だけで生き、
障害に対してそれを貫く強さ。
そういう意味では、
金も名も求めず自分の技だけを追求する「職人」に似ているのかもしれない。
謎解きも面白かったし、
どう見ても実在の政治家と俳優の兄弟をモデルとした登場人物は、
都知事とな -
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大晦日からの数日の出来事を描いた、沢崎さんという探偵が主人公のハードボイルドミステリー。いくつもの犯罪が交錯する中、真相に迫っていく。
この『愚か者死すべし』は前作から9年の歳月がたって発表されている。2004年11月に発売されている。長い間ファンは待ち続けないといけない。
でも、待ったかいがあった。面白い作品に仕上がっている。でも、長いなぁ~
本作品の続編、『それまでの明日』は2018年に発売された。14年ぶりになる。この作品を読み終わってしまうと、また10年待たねば新作を読めないと思うと、今から五年後に読んでみてた方が、次作を待つストレスは軽減されるかもしれない?