原リョウのレビュー一覧

  • それまでの明日

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    原りょうが亡くなったことを先日知って、そういえばまだ読んでない最後の一冊があったなと本棚の奥から引っ張り出してきた。学生の頃日本のハードボイルドはほとんど読まなかったのだが、それもつまらぬバイオレンスや無駄なアクション、カッコつけるだけのシーンやセリフ、私が読んだのはそんな話ばかりで日本人に期待するのは無理だと考えていたときに彗星の如く現れたのが原りょうだったのだ。
     そしてあまりの遅筆ぶりに最後の一冊を取っておいたのだ。それがこれ。私立探偵の沢崎に依頼してきたのは金融会社の支店長。融資先の料亭の女将の身辺調査を頼まれたのだが、女将は既に亡くなっていた。支店長に会いに行くと、そこに強盗が押入り…。更に依頼人は行方不明に。話はどんどん展開していく。原りょうの面白さは、ヒューマンドラマ的な一面にある。登場人物のやるせない人生に共感してしまうのはその文章力にある。沢崎も50歳を過ぎ、息子のような海津と出会い、謎の依頼人と語りあう。もうそのあたりまで行くとトリックや犯人は誰かなどどうでも良くなって、ただ登場人物たちの人生に共感し涙するのだ。そしてそんな素敵な小説を書いてくれて作者のご冥福を祈るのである。

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    2023年07月16日
  • さらば長き眠り

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    正統なレイモンド・チャンドラーの後継者と言えると思う。
    レイモンド・チャンドラー+ロス・マクドナルドだな。
    何とも言えないけど、読み応えが有り、素晴らしい作品だ。
    煙草が無性に吸いたくなる。今の時代は煙草の扱いが厳しいような。

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    2023年07月15日
  • さらば長き眠り

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    探偵沢崎シリーズで、「私が殺した少女」の次に書かれたものです。
    沢崎氏は渡辺探偵事務所の探偵なんですが、所属しているのは彼一人。
    なんで「渡辺」?なんですが、主宰者でありパートナーでもあった渡辺は
    元刑事なんですが、おとり捜査の最中に取引のブツと金の双方を持ち逃げして
    警察とヤクザの双方から追われている、という身の上。

    前作でも、その渡辺氏は絶妙に現れては消えて、深い印象を残していたんですが
    今作でついに、彼に関しては決着ついてしまいます。
    けっこうなエピソードだと思うのに、全くの傍流扱いで。

    そして本流の方も、圧巻というか息をもつかせぬ展開で。
    なかなかのアクションシーンが随所にあって、コレ、映画化されないかなって。
    沢崎シリーズの第一期完結となる渾身の大作だそうで。

    いや、全く。タイトル含めて非の打ちどころのない傑作だと思います。
    全く語られないのに、いやだからこそ、香るように、ゆらめくように
    沢崎の思いや感情が、行間から沁みだしてくるような気がします。

    オススメです。

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    2023年07月14日
  • 私が殺した少女

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    この2週間、ハードボイルド小説を立て続けに3冊読みました。
    本家チャンドラー「ロング・グッドバイ」、それに日本のチャンドラーと言われている
    原尞の「私が殺した少女」と「愚か者死すべし」です。
    3冊とも文章が簡潔で大変読みやすかった。
    個人的には「私が殺した少女」が一番面白かった。

    その中の一件を紹介しましょう。
    『私はパッケージを破ってタバコを一本抜き取ると、
      フィルターをちぎり取って火をつけた。
      二人は、それを不思議な儀式でも見物するかのよう目つきで見ていた。』

    これら小説はこのタバコを吸ったときのように、すうーと一気に文章が入ってくる。
    フィルターやパイプをつけて吸った時のように屈折して喉に入ってこない。
    ハードボイルドとは堅く茹でた卵のこと、でも続けざまに3冊も読むと
    私の頭の中は、「スクランブル・エッグ」になりそうです。

    彼は作品のほとんどを一人称で書いている。
    これは素晴らしい事だと思います。

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    2023年05月11日
  • 天使たちの探偵

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    ネタバレ

    目次
    ・少年の見た男
    ・子供を失った男
    ・二四〇号室の男
    ・イニシアル”M"の男
    ・歩道橋の男
    ・選ばれる男

    私立探偵沢崎シリーズの長編の既刊をすべて読んでしまったので、最後にとっておいた短編集を読んだ。
    長編と長編の間に起きた事件だけど、長編で出て来た人の初登場はここだったのか、と思うことしばしば。

    沢崎は子どもに対しても不愛想だし、必ずしもハッピーエンドではないけれど、やっぱり面白くて一気に読める。
    というか、長編はプロットが複雑で、登場人物も錯綜して一筋縄ではいかないけれど、短編は事件がひとつなのでとても読みやす野である。
    これは、短編の方が好きという人もいるかもしれない。
    私はどちらも好きだけど。

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    2023年03月28日
  • そして夜は甦る

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    とりあえず沢崎さんがかっこよかった。探偵なのに襲われたらすごい闘うし、犯人を確信した後の本人への詰め方が興奮する。最後、諏訪が撃った弾が「幸いなことにそれて人差し指を失った」こと、彼らはいつも肝心なことを見落とす。と言っているのもかっこいい

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    2022年12月30日
  • 愚か者死すべし

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    【大金を懐に入れるというのは、そういうことだ】(文中より引用)

    ハードボイルド探偵・沢崎シリーズの長編第4弾。自首した父の冤罪を晴らしてほしいという依頼人と警察署に向かったところ、沢崎は思いも寄らない銃撃事件に出くわしてしまう。狙撃者を追う沢崎であったが、彼が直面したのは、幾重にも折り重なった思惑の数々であった・・・。著者は、超寡作の作家としても知られる原寮。

    謎解きをはらむストーリーにのめり込んでいくことはもちろんなのですが、本書の魅力は、やはりニヒルな沢崎のキャラクターと散りばめらる乾いた語り口。時代に逆行するかのように自身の流儀を貫く沢崎の姿に、唸りたくなるような渋さを感じずにはいられなくなるかと。

    こういう小説作品を読む時間がたまらなく愛おしい☆5つ

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    2022年03月24日
  • そして夜は甦る

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    行方不明になったルポライターの調査に乗り出した私立探偵沢崎。事件はかつての都知事狙撃事件へと繋がっていく。歯切れのいい文章、洒落た会話、手に汗握るプロット。アメリカの本格ハードボイルドの翻訳を読むような、日本のハードボイルドではかなり質が高い正統派のデビュー作だ。これで十分なのだが、今後本家を超える作家の登場を期待させる記念碑的名作。

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    2021年04月29日
  • それまでの明日

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    2018年、私立探偵沢崎シリーズが14年のブランクを経てまさかの復活。そして文庫になるのを待っていた一冊。もう嬉しさのあまりの涙モンです。
    沢山の登場人物に、複雑に絡み合うプロット、それを繋ぎ止めるのが、我が道を行く沢崎、相変わらずのセリフまわし、一癖も二癖もある警察にヤクザのお仲間(?)たちがワキを固める。原りょうの描くハードボイルドは健在です。堪能。

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    2020年11月08日
  • 天使たちの探偵

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    沢崎の人を突き放すような物言いが好きだ。各編ともおしまいの文章が秀逸。ひょっとしたら、短編の方が良いかもしれないとも思う。

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    2020年10月26日
  • それまでの明日

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    渡辺探偵事務所の沢崎探偵の活躍を描くシリーズ第5作。新宿署の警部錦織さんや警部補の田島さん、ヤクザの橋爪さん、相良さんといった馴染みの人物も活躍?する。今回は、ある場所に居合わせたばっかりに事件に巻き込まれていく沢崎探偵。依頼人からの仕事は完遂できるのか?巻き込まれた事件の真相は?
    本作も最後のページまで楽しませてくれる。次回作も気長に待つことになるかもしれないが、待ちます。

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    2020年10月23日
  • それまでの明日

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    原尞『それまでの明日』ハヤカワ文庫。

    私立探偵・沢崎シリーズの第6作。もはや続篇は無いだろうというくらい前作の刊行から長い年月が過ぎている。読み始めて、そうだ沢崎という探偵が主人公で元パートナーの渡辺から引き継ぐ形で探偵事務所を続けていたんだ、などと本筋から外れた些細なことを思い出した。

    今や古典とも言われるようなスタイルのハードボイルド小説。著者がこのスタイルを頑なに守っているのが嬉しい。複数の登場人物の思惑や欲望が複雑に絡み合い、単純な事件を一層複雑怪奇な事件に仕立て上げるのだが、探偵の沢崎はその一つ一つを解きほぐすように真実に迫る。久し振りにハードボイルド小説というスタイルで感情を揺さぶられるような素晴らしいストーリーを堪能した。

    或る日、興信所からの下請け調査中の私立探偵・沢崎の元を金融会社の支店長・望月皓一が訪れ、融資予定の料亭の女将の身辺調査を依頼する。しかし、沢崎が望月なる男と会うのはこれが最初で最後だった……

    という淡々としながらもリズミカルな滑り出しだけで、充分に事件を予感させる。

    その後のリーダビリティあふれるストーリーは読んでのお楽しみ。一つだけ明かすなら、この物語は2011年3月11日の14時46分で終わることだけを書き添えておきたい。

    文庫版に「著者あとがき」を収録。

    本作のような、私立探偵と馴染みの警察に暴力団、同業の探偵が登場するという設定は、関川夏央と谷口ジローの傑作『事件屋稼業』にも似ている。探偵が軽口を叩きながらも事件を解決してしまう辺りも『事件屋稼業』を彷彿とさせる。いずれ、遠い昔となった昭和の時代を感じさせる設定である。

    本体価格900円
    ★★★★★

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    2020年09月25日
  • それまでの明日

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    ネタバレ

    2020/9/4 楽天ブックスより届く。
    2020/9/28〜10/6

    2年ぶりの原作品。沢崎シリーズとなると何年ぶりだろうか。そんなブランクを全く感じさせない、作品世界。いつものように多重に張り巡らされた謎が最後に解決されるカタルシス。1,2つは読んでいたが、そこもか!という感じはやっぱり素晴らしかった。海津くんという若い魅力的キャラクタ−も登場。次作は間を空けずに書いて欲しいなぁ。

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    2020年10月06日
  • さらば長き眠り

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    ネタバレ

    久しぶりの沢崎。皮肉っぽいきざなセリフは沢崎だから似合う。こんなセリフ現実には言えない。
    魚崎という青年の姉の11年前の自殺の真相を追う。
    少しづつ真相に近づきそうで、それを覆すように事件が起きる。最期は、意外な事実が判明する。
    ラストの真相は驚かされた。
    そして渡辺を巡る因縁も終わりを迎える。

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    2020年08月20日
  • 天使たちの探偵

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    非常に面白かった!これは当たりだった。
    毎話行われる謎解きは、注意して読んでいれば気付けたはず、と悔しくなってしまうが納得もできるものばかり。登場人物も魅力的。
    文章自体にもいつも皮肉まじりのユーモアがある。
    ただ、これがシリーズものであることを知らず読み始めてしまったので、早く前作までが読みたい。

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    2020年01月30日
  • 愚か者死すべし

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    主人公の探偵も依頼者も警官も犯罪者もヤクザも胡散臭いやつもみんなお喋りだ。本当によく喋る。何だあこれはと思っているうちに、そのお喋りがだんだんと快感になってくる。この長ったらしい会話が原尞の真骨頂なのだと合点した。ストーリーもよく練られているし、最後の二転三転もいつもどおりで楽しめる。文庫本の付けたしでのパリから帰った錦織警部補と沢崎との会話も最高だ。

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    2019年11月30日
  • そして夜は甦る

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    さすがに原尞、処女作から読み応えあり。推敲を重ねただけあって文章は練れていて、いかにもハードボイルドという味わいが漂う。古い本なので、今となってはユーモアのセンスは古めかしいかなとは思う。でも、それでいい。主人公の探偵の沢崎、錦織警部、ヤクザの橋爪という常連になる登場人物の造形も実にいい。事件自体も二転三転として飽きさせない。うーん、佐伯名緒子の心理だけは、ちょっと分かりにくいかな。

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    2019年11月17日
  • そして夜は甦る

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    探偵沢崎登場、伝説とも言えるシリーズの第1作である。しゃれた会話と意表を突くストーリーの大人のファンタジー。登場人物たちがやたらと煙草を喫うのが時代を感じる。しばし、ミステリーの世界に酔いしれる。

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    2019年07月04日
  • 愚か者死すべし

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    沢崎探偵シリーズ第五作。

    いよいよ携帯電話が登場した。
    作中にもあるように探偵に必須な携帯電話だが、
    探偵沢崎には似合わない気がして、
    時代が進むにつれどうするのだろうかと心配だった。
    相変わらず伝言サービスを使っていて、
    なんだかほっとした。

    渡辺探偵事務所の渡辺に相談しに来た若い女性。
    依頼を引き受けたわけではなく、警察署に女性を車で送っただけだったが、
    銀行強盗の容疑者が銃撃さたれたのに巻き込まれる。
    2つの誘拐事件を解決して、大金の運び役をすることになる。
    そして、銃撃事件の真実を突き止める。

    錦織警部がパリに行ったと聞いて、驚いた沢崎が面白かった。
    何を見ても驚いたことがなかったのに。
    おなじみの伝言サービスの女性が再婚してたり、
    ひきこもりの男性と話したりとちょこちょこ面白かった。

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    2019年06月18日
  • 愚か者死すべし

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    相変わらずの沢崎のハードボイルドっぷり。
    会話や行動が、とにかくハードボイルドです。
    言い回しも洒落ています。
    とにかくタフです。
    銀行強盗の身代わりに自首した男を救うため受けた依頼ですが、同時進行でいろいろな事件が起こってきます。
    ストーリーが進むにつれ、意外な事実が浮かび上がってきます。
    練り上げられたストーリーに、思わずうなります。
    面白かった。

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    2019年06月11日