原リョウのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
新シリーズ第1弾。
と作者は言っているが、13年経った今も続編は出ていない。しかも、前作から6,7年経っている。それだけ間が空いても、無理に時間の流れを止めようとせず、時代背景もきちんと執筆している時代に合っている。
相棒の渡辺が亡くなって、第1期のシリーズが完結してから6年。沢崎は相変わらず「渡辺探偵事務所」を続けていた。
今回の依頼人は高校生らしい女の子。自首した父親に「自分に何かあったら、『渡辺』を頼れ」と言われて、探偵事務所を訪れていた。
神奈川の銀行で起きた射殺事件、依頼人の父親である伊吹が護送中に襲撃されたり、銀行の射殺事件のどさくさに紛れて行われていた誘拐事件…たくさんの事件が同時に進行していく。あまりにたくさんのことが起き過ぎて、今回は内容についていくのが困難だった。
それでも、こんなにたくさん張った伏線をきれいに回収するのはさすが。ただ、唐突に沢崎が事件の本質を見抜くのは、ちょっと不自然さを感じるところもある。
そして、来月14年ぶりに新作が発刊される。
今作では携帯の操作に戸惑っていた沢崎。どんなおじいさんになって帰ってくるのか?非常に楽しみ! -
Posted by ブクログ
前作「私が殺した少女」を読むのに苦労したので、今作も時間がかかることを意識して、週末に読み始めたが、意外にも2日で読み終わってしまった。
前作から6年経って発表されたが、舞台もきちんと6年経っており、400日間東京を離れていた沢崎が東京に戻ってくるところから始まる。
6年経っていても、時代設定は1993年ごろと思われるが、やはり古臭さは感じない。前作は警察とがっつり関わっていたが、今作は警察の登場も少なく、沢崎の探偵の腕が際立つ内容。
高校野球にまつわる八百長事件、能の宗家にまつわる跡継ぎ問題など、依頼にどう結びついて来るのか、読んでいて、全然先が読めない。その謎を簡単に沢崎が解いてしまうのが、王道の探偵小説と言うものなのか。
渡辺の事件も解決し、一部では今作を「沢崎シリーズ一部完結作」と言うが、この先、探偵業も規制が入り、その後どんな探偵になっているか、まだまだ先が楽しみなシリーズ。 -
Posted by ブクログ
原尞’(はら りょう)、という作家さんが居ます。
自他ともに認める、物凄く寡作なヒトで、しかも、基本的に「私立探偵・沢崎シリーズ」しか書きません。
というわけで、平たく言うと、かなり個性的でカワリモノな作家さん。
なんですが、探偵小説、とか、ハードボイルドと呼ばれるジャンル?とか、アメリカの小説家のレイモンド・チャンドラーさんが好きな人、ハヤカワミステリなどをよく読む人...
などにとっては、まず間違いなく支持される作家さんです。
言ってみれば、一部マニアに圧倒的なウケている。
その原さんの、エッセイ集です。
エッセイも、多種多様なテーマ内容について、常に器用に洒脱に書いている、訳ではまったくないようで。
・さまざまな探偵小説について。
・愛するハヤカワミステリについて。
・自作について。
・「地方の学生」→「東京で売れないジャズピアニスト」→「同時並行で映画テレビの助監督の仕事」→「帰郷、小説を書く」→「デビュー」という、人生行路について。
というあたりの話題をループします。
ぶっちゃけ、同じようなエッセイも多いです。
あとは、他の本で未収録の「沢崎シリーズ」の短編が数編。
コレがけっこう、ファンにはたまらないですね。やっぱり面白い。
原さんは、ほんっとに寡作なんですが、好きな人にとってはほんっとに外さない小説家さんです。
エッセイを読んでいて。
原さんは...
フランスの小説家のジョルジュ・シムノンさんが好きで、
レイモンド・チャンドラーが好きで、
映画(しかも割と昔の映画)が好きで、
ジャズ(しかも基本的にモダンジャズ以降で、わけてもどうやらセロニアス・モンクなんか好きみたい)がまあ、好きというか、血肉になっている。
...ということが良く判ります。
別段、原さんがそうだから、という訳ではなく。
僕自身が、原さんの小説を読む以前から、
シムノンさん(「メグレ刑事」シリーズですね)は、日本語で読めるモノは舐めるように全部読んじゃったし。
レイモンド・チャンドラーも、清水さんの訳で全部読んだ上で、村上春樹さん訳も、出るたびにむしゃぶりつくように読んじゃったし。
映画(しかも割と昔の映画)は、文字通り、それを食べて大きくなったようなものだし。
ジャズ、それも基本的にいわゆるモダン・ジャズ。セロニアス・モンクさんも大好きだし。
そりゃ、原さんの描く小説は、肌身趣味的に、キライな訳はないよなあ、と、痛感。
どこまで一般性があるかサッパリわかりませんし、まして女性ウケはあんまりしないんだろうなあ、という作家さんですが、
ここまで自分と趣味的に重なっちゃう小説家さんが現在生きていることは、ちょっと嬉しいですね。
願わくば、あと2~3作くらいは、沢崎シリーズの長編新作を、生きてるうちに読めると、言うことないんですけどねえ。
第1作長編「そして夜は甦る」1989
第2作長編「私が殺した少女」1990 ※前作から1年後
第3作長編「さらば長き眠り」1995 ※前作から5年後
第4作長編「愚か者死すべし」2004 ※前作から9年後
そして...第5作長編...前作から12年後現在、まだのようですね...
(昔、友人がライターをしていて、確か原さんのインタビュー&特集記事を書いていました。チョット羨ましかったです) -
Posted by ブクログ
9年ぶりの沢崎シリーズ。前作まで全部読んでいるのだが、いったいどんな話だったのか、どんなシリーズだったのかはまったく記憶にない。
ので、まるっきり新規のような気持ちで読んで、普通に読めたので、シリーズを読んでいない人にも読めると思う。
チャンドラーに傾倒している作者ならではの、チャンドラー「風」の文体、主人公。
どこかマーロウよりも地味に感じるのは、やはり土地柄のせいなのか、それとも年をとってから読んでいるからなのか。
なんとなく、この独特の文体が鼻につく。
苦手な人は、まず読み終えられないだろうと思う。
ストーリーは特にひねりがあるわけでなく、時折こちらが混乱するような描写(もしくは描写の少なさ)があり、まあ、無難なラインか。
ハードボイルドというにはちょっと硬さと渋さが足りない。 -
Posted by ブクログ
初刊が出た1995年、新シリーズ一作目と銘打たれている「愚か者死すべし」は2007年(文庫)。12年の間に世相は特に技術面で様変わりしているのが面白い(主人公は取り残され型を目指すことにしたようで未だに携帯だめ、PCは出てこない)。
こういう主人公がひたすら格好いいのはとても嫌いなので、依頼に失敗したと思うことになる「私が殺した少女」とただ奔走されるだけの「さらば長き眠り」が気に入った。「天使たちの探偵」は短編集。人の名前の呼び方に対する主人公もしくは作者の考え方は大嫌いである。ちなみに私のファーストネームは英語では当然なじみがなく呼びづらいので、私はどう呼ばれようとあまり気にしないが、みんななるたけ正確に呼んでくれようとする。当然だよね。 -
Posted by ブクログ
1995年に単行本で刊行されたエッセイ集「ミステリオーソ」を
増補し2分冊で文庫化したもの。元本は刊行時に買って読んでるけど
同じ本を二度買わされたという気は全くしない。
巻末の「編集ノート」を見ても丁寧な作業をした上で
文庫化されてるのがよく判る。山之辺進のカバーイラストも良いし
新作「愚か者死すべし」が出るまでの10年間に書かれたエッセイや
対談をまとめて読めるのが嬉しい。
原?の私立探偵・沢崎シリーズは単行本で揃えているのだが
文庫化の際、全ての作品に短編が新たに付されており気になっていた。
それが全て再収録されているのも収穫でお遊びの要素が強い短編もあり、
原?の長編作品には無い洒落っ気がうかがえて興味深く読めた。
短編「死の淵より」は「愚か者死すべし」の予告編といった
内容でもあるので先に読んでおきたかったなあ。
文庫で初収録の「監視される女」も読み応えあったしね。
これで沢崎シリーズは全作読めたわけで後は新作に期待ってことだな。
今度は10年も待たされないことを祈るばかりである。