原リョウのレビュー一覧
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愚か者死すべし
私立探偵沢崎シリーズの最新作。
謎は興味深い。沢崎の人生哲学は相変わらず。でも何か違和感が。
考えて見ると、この話の中心の1つを成す、日本の政治家の不祥事の人間データベースである3日男爵の息子の話がちょっと座りが悪い感じ。これが違和感の原因か?
うーん、途中で出てくる引きこもり青年や、男爵の息子の義理の娘になった女性にリアリティがないのが原因か?
ハードボイルドは、やはり主人公の人生哲学ととれを彩る登場人物のキャラクターや行動のぶつかり合いを楽しむもののような気がします。
そういった見方でこの小説を読むから違和感があるんだと、はたと気づきました。
ハードボイルドなんだから中途半端は良くないですねえ。
もう少し、気の利いた謎解きとクラッシックな設定でハードボイルドに浸らせて欲しかった竹蔵でした。
でも、レベルは高いので、その点誤解のないように。
頭が固くなってきた 竹蔵 -
Posted by ブクログ
久しぶりにじっくりとサスペンスを堪能しました。
ハードボイルドミステリーでしょうか。
感傷や恐怖の感情に流されない探偵・沢崎が誘拐殺人事件の犯人を追います。
将来を嘱望されたヴァイオリンの天才少女が誘拐される。要求された身代金は6千万円。
沢崎は、その身代金の受け渡しに 巻き込まれてしまう。
身代金受け渡しに失敗した彼は、彼女の生存に責任を感じながらも、冷静に犯人を絞り込む。多くの関係者が絡み、ストーリーが緻密で繊細。
結末には、違和感が残りますが、関わった人達の心情を描きながら核心に近づく魅力的な作品でした。
作家原尞氏も直木賞受賞の本作も 全くノーマークでした。本とコさんご紹介、的確で素敵なレビューありがとうございました。
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Posted by ブクログ
前から読んでみたかった探偵沢崎シリーズです。
登場人物のだーれも携帯を持っていない、そんな時代の話。
本作で沢崎氏は、誘拐事件に巻き込まれて右往左往させられるのですが、
電話で連絡をとる場面が多々あって、それが全部公衆電話で、沢崎氏は
テレカにすら、なんとなく拒否感を持ってて。
どうしても、今読むと陳腐なかんじは否めない。中途半端な時代ものみたいで。
今更ながら携帯電話の起こした変化の凄まじさを実感します。
そんで、ハードボイルドですよ。探偵っすよ。今読むと陳腐なところもあるけど、
文句なしにカッコいいんですよね。酒と煙草と車。
探偵って、警察からも依頼人からも、いいように利用されたり
スケープゴートにされたり、めっちゃ弱い立場なんだけど、沢崎氏は矜持を失わず
警察に脅されようがヤクザに邪魔されようが、殴られ蹴られされても自分の進むべき方向を見失わないんです。んで、彼の日常は一切、語られない。心情も、思いも。
タフでなければ生きていけない。
おすすめです。古いですけど。 -
Posted by ブクログ
今月4日、作家の原寮さんが逝去されました。2018年発表の『それまでの明日』しか読んだことがなく‥、えっ、これがまさかの遺作!
本作は、1989年刊行の直木賞・ファルコン賞W受賞作品です。優れたハードボイルドという証なんでしょうね。
本書は、探偵の沢崎がシリーズ化された第2作とのことで、沢崎が「私」という一人称で語る、ヴァイオリンの天少女の誘拐事件を軸にした物語です。
なるほど、沢崎の特定の感情に流されず、強靭で時に冷酷な言動の描写や、天候、実在の街並み、家屋周辺や室内に至る詳細な表現から〝硬派〟という印象を受けます。
読み手は、探偵である沢崎視点で事件と様々なエピソードに触れ、緻密な新展開が続くスピード感があり、飽きさせません。
誘拐犯は誰? 事件の真相は? と最後のギリギリまで焦らされながら、突然解決に向かう終末の展開に‥。ん? (読み手の私は)沢崎に置いてかれた? と若干の「狐騙されモード」もありました。
タイトル『私が殺した少女』の「私」に、いろんな人を当てはめられる意味合いを感じ、そこにも著者のねらいがあったのかなと考えました。
巻末の(あとがきに代えてー敗者の文学)「ある男の身許調査」、原尞さんによる「私がはじめて原尞に会ったとき〜」で始まる文章は、寡作である著者の半生を語るもので興味深かったです。
心よりご冥福をお祈り致します。 合掌‥ -
Posted by ブクログ
ネタバレ既刊の長編すべてが、一気読み必至の面白さだった。
いくつかの事件が並行して起きるので、登場人物は膨大。
丁寧過ぎる描写は冗長一歩手前で踏みとどまって、そんなことより次のページへと読み進めずにはいられない。
今作も、やはりそう。
料亭の女将の身辺調査のはずが、強盗事件に巻き込まれ、ヤクザと警察の両方から目を付けられる。
強盗事件で知り合った青年の人懐こさがうさん臭いと思ったけれど、うさん臭いのはそっちでしたか。
前作で沢崎はアラフィフだったのだから、本来は還暦を過ぎているはずだけど、前作から沢崎たちは年をとらないことになったのだそうだ。
だよね。
じゃないと錦織警部は80歳くらいになってそうだもの。
さて、最終章を読み始めても、タイトルの『それまでの明日』のそれの意味が解らなかったけれど、残り10行ほどでそれの意味が明確になる。
年をとらない沢崎も、時代の中には存在しているわけだ。
既に『それからの昨日』の執筆を始めているそうなので、出版を気長に待つ。
私が生きてるうちに完成してね。お願い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ新シリーズということだったので、何かが変わったかと思ったけれど、沢崎自体は今までどおり。
時代が昭和から平成に代わったってことか?
携帯電話を使えず、灰皿がある限りタバコを吸うスタイルは、そろそろ無理があるかも。
もはや令和だしね。
新宿署の錦織やヤクザの橋爪が出ないことが新シリーズということなのか、とも思ったが、少なくとも錦織の出てこない意味はあったので、新シリーズということについてはおいおいわかってくるのだろう。
さて、肝心の事件の方だけど、いったいどれがメインの事件と言っていいのかわからないくらい、複数の事件が錯綜する。
無為な命が多数失われる。
そして自己中な論理を振りかざす犯人。
その構図は変わっていない。
だけど読後感は悪くない。
被害者が子どもではなく、そこそこ悪党の大人だったからだろうか。
必要以上の金はもらわないというスタイルも変わらず。
しかしこの仕事っぷりで、どうやって自宅の家賃と事務所の家賃と駐車場代を支払えているのか?
まあ税務署の署員に『探偵というご職業は、意外に不況に強くて、安定した、結構なお仕事なんですね」と言わせるだけの収入はあるようで、何より。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一年以上東京を離れていた沢崎が最初にしたことは、まず連絡の取れない依頼人を探すことだった。
浮浪者に事務所を見張るよう頼んでいた依頼者は、10年以上前、高校野球の選手として注目を浴びたあと八百長疑惑をかけられた。
疑惑が晴れる直前に自殺した姉の、死の真相を探ってくれと頼む依頼者・魚住は、その後何者かに襲われ重傷を負う。
唐突に出てくる能の世界。
『花よりも花の如く』を読んでいてよかったな。
なんとなく能の世界のイメージができる。
この事件には二組の父と娘が出てくるが、どちらの父親もある意味毒親。
娘を憎んでいるのならまだしも、かわいいと思っていると言いながら、最終的には保身に走るのだ。
タイトルの「長き眠り」の意味が分かった時、本当に長い間無為に眠りにつかされた娘たちを思って、怒りが込み上げた。
さて、シリーズ最初から沢崎の周辺に出没する「渡辺」について、ひとまず片が付いた。
作者はこれでシリーズを終了するつもりだったのだろうか。
それとも、「渡辺」については些細なことなのか。