原リョウのレビュー一覧

  • 天使たちの探偵
    私立探偵沢崎シリーズの短編集。長編だと、前二作のような【どんでん返し】を少し警戒してしまう自分がいるので、今回の短編集はリラックスして楽しめた。全編佳作揃いで、トータル三百頁弱とは思えない濃密度。昭和から平成にかけての前時代的なテイストは漂うものの、決して古臭さを感じさせない硬派な世界観は本作も健在...続きを読む
  • そして夜は甦る
    原尞 「そして夜は甦る 」ハードボイルド探偵小説。会話の中の比喩がとてもクールでいい感じ。暴力描写も少なく、お金、女性、お酒、権力との適度な距離も 現実に合っていて 自然な展開。唯一残念なのは 煙草シーンがものすごく 多くて、煙草=格好いい という演出の古さは感じた


    「勝負に負けた人間は嫌いでは...続きを読む
  • 私が殺した少女
    原尞 「 私が殺した少女 」 探偵 沢崎シリーズ2作目。自分のミスで 少女を死なせてしまった 主人公の自責の念が よく描かれている。前作のような ヤサグレ感、クールな会話は控えめ。警察、暴力団、被害者家族との距離感や 情報の引き出し方が上手い。犯人に驚く

    「まるで拾った宝くじが当たったように不運な...続きを読む
  • 天使たちの探偵
    原尞 「 天使たちの探偵 」ハードボイルド短編集。子供の純粋さ、大人のズルさにより起きた事件を 沢崎は クールに解決していく。純粋な子供は 沢崎のクールに隠された優しさを 理解している

    「自分の恐怖を自分ひとりで始末できなければ、いくつ年を重ねても 大人とは言えない」
  • 天使たちの探偵
    面白かったけど、読んでいてドキドキワクワクが少ない。長編だと色々考えながら読むから楽しめるのかな。次のさらば長き眠りは読みごたえありそうだから期待したい。
  • そして夜は甦る
    ストーリーの複雑さ、情報量の多さで思いの外疲れる。ハードボイルド作家のミステリー色濃厚なデビュー作。それにしても誰も彼もがヘビースモーカーで、それが普通…そんな時代もあったねと、懐かしく思った次第。
  • それまでの明日

    ドラマには表とウラがあるし。

    品評が高い作品ということから、2019年の最初の一冊として読み始めてみました。
    読みやすかったが、高いレベルの作品であるという思いが、あったから再三回りくどい表現だなぁと、厳しく点数(星3つ)にしました。
  • 私が殺した少女
    主人公である私立探偵「沢崎」が幼いバイオリニストの少女の誘拐事件の依頼を受け、登場する冒頭シーンから「おっ!」と思わせ、最後まで繊細に練られたハードボイルドミステリーだ。
    ヤクザが絡むサブストーリーは特に必要性も感じなかったが沢崎が登場するシリーズの2作目という事もあり、1作目にその詳細があるのか?...続きを読む
  • そして夜は甦る
    うーん、チャンドラー。東京が舞台というところがリアルと言えばリアル、その分泥臭いと言えば泥臭い。前半にくらべて後半は謎解きに終止していてダンディズムが今ひとつという気がした。
  • 私が殺した少女
    結末は全く読めなかったが、あまりワクワク感がなく読むのに時間がかかってしまった。
    やはり時代背景が今と違いすぎるからかな。
  • 私が殺した少女
    直木賞受賞作との事で期待して読んだが、少し物足らなさを感じた。
    でもハードボイルド調の独特の雰囲気があり読んでいて心地よい。細部に感心する様な伏線がもう少し欲しかった。
    後付けの様な部分も気になった。
    雰囲気を味わう作品として理解する。
  • そして夜は甦る
    1988年刊行なのに不思議と古さは感じなかった。チャンドラーを通っていない自分には新鮮でもあったし、全編探偵視点なのは複数視点挿入の作品より物語そのものに集中できるので好みだ。携帯もITもない時代、ひとつひとつの可能性を根気よく潰していく調査は地味だが実直で、沢崎×錦織の凸凹コンビの合同捜査も王道の...続きを読む
  • そして夜は甦る
    沢崎探偵シリーズ1作目。序盤から中盤まではグイグイきたが、少しずつ明らかになるにつれ違和感が出て、全体的にはまあ普通。個々のキャラクタのイメージがなあ。佐伯夫妻が何故結婚したのかピンとこないし、辰巳玲子を活かしきれてない感じがするし、海部雅美の描写が中途半端な気がするし。当時の世相はいいのだが、実際...続きを読む
  • そして夜は甦る
    文章のスタイルは好きだ。
    展開も面白かった。
    でも所々しっくりしない所があった。
    それぞれ事象に動機や理由が弱いんだと思う。それ故どうしてその事に至ったのかがしっくりこない。
    読み終わって少し物足らなさを感じた。
    これがデビュー作なので次の直木賞受賞作を読んでみたい。
  • そして夜は甦る
    内容(「BOOK」データベースより)

    ルポ・ライターの失踪、怪文書、東京都知事狙撃事件…。西新宿に探偵事務所を構える沢崎が立ち向かう難事件の背後には巨大な陰謀が隠され、鮮やかなラストシーンに向って物語はスピーディに展開してゆく。レイモンド・チャンドラーに心酔する、ジャズ・ピアニストの著者が2年の歳...続きを読む
  • 天使たちの探偵
    内容(「BOOK」データベースより)

    ある女のひとを守ってほしい―沢崎の事務所を訪れた十才の少年は、依頼の言葉と一万円札五枚を残して、雨の街に消えた。やむなく調査をはじめた沢崎は、やがて思いもかけぬ銀行強盗事件に巻き込まれることに…私立探偵沢崎の短篇初登場作「少年の見た男」ほか、未成年者がからむ六...続きを読む
  • 愚か者死すべし
    新シリーズ第1弾。
    と作者は言っているが、13年経った今も続編は出ていない。しかも、前作から6,7年経っている。それだけ間が空いても、無理に時間の流れを止めようとせず、時代背景もきちんと執筆している時代に合っている。
    相棒の渡辺が亡くなって、第1期のシリーズが完結してから6年。沢崎は相変わらず「渡辺...続きを読む
  • さらば長き眠り
    前作「私が殺した少女」を読むのに苦労したので、今作も時間がかかることを意識して、週末に読み始めたが、意外にも2日で読み終わってしまった。
    前作から6年経って発表されたが、舞台もきちんと6年経っており、400日間東京を離れていた沢崎が東京に戻ってくるところから始まる。
    6年経っていても、時代設定は19...続きを読む
  • そして夜は甦る
    チャンドラーっぽいな、と思ったら、後書き的な短編にまさにマーロウの話が出てきた。

    沢崎という主人公はどうにも友達になれそうにない男だけど、錦織警部とのコンビ(と呼ばれたらお互い嫌な顔をするだろうけど)もなかなか良いし、結局は真相にたどり着くところが凄い。
    全体のストーリーも重厚で、味方かと思ったの...続きを読む
  • そして夜は甦る
    ハードボイルドな探偵の物語。

    少しひつこいぐらいの回りくどい表現が、読み進めるスピードを遅めるのだが、
    全体的には良いストーリーだし、キャラもいい味付けができていると思う。

    最後まで読んで、やたら疑問が残った事が多く、
    不完全燃焼だった作品