原リョウのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【密霧の先に】私立探偵として生計を立てる沢崎は、消えたルポライターの捜索依頼を受ける。佐伯と名乗るその男は、妻との離婚を目前に控えて忽然と姿を消してしまったのだが、沢崎は彼がある特ダネを追っていたことを知り......。著者は、本作で山本周五郎賞を受賞している原尞。
緻密なミステリーラインが魅力的なことはもちろんのこと、沢崎を中心に広がるこの世界観がたまらない作品。ジャンルに落とし込めばハードボイルドということになると思うのですが、この渋い小説世界にどっぷりと身を浸したくなる一冊でした。
〜彼らはいつも肝腎なことを見落とす。真実を伝えると言うが、所詮はその程度のことだった。〜
沢崎シリー -
Posted by ブクログ
渡辺探偵事務所に勤務する沢崎が主人公のシリーズ、長編3冊目。
今回も、沢崎探偵の事実を積み上げていく捜査を共に歩み、時に痛い目にあいながらも、持てる駒の中から次の一歩を踏み出す。
本書は今までの文庫本の中でも特に分厚いページ数があり、読み始める勇気を奮い起して読み始めたが、気が付くとあと数ページとなるほど時を忘れて読みふけてしまう作品になっている。
作者である原さんは、綿密な下調べを行うためか、作品の発表までに時間がかかる。本作は前作から5年後に発表されたものだとあとがきにある。新作として待ちわびるリアルタイムで過ごした人たちは、辛抱強く待ち続けるしかない。
『愚か者死すべし』が次に発表された -
Posted by ブクログ
"渡辺探偵事務所に所属?する沢崎という名の探偵を主人公としたシリーズもの第二譚。
この探偵との、腐れ縁である渡辺探偵事務所を立ち上げた渡辺氏と彼が起こした事件に大きくかかわった新宿西署の錦織刑事とのやり取りが、面白いと感じて、シリーズを読破しようとたくらんでいる。
この作品は直木賞を受賞しているらしい。
この文庫本の「あとがきに代えて」も粋な読み物になっている。
作者と登場人物が直接対峙する物語。
このシリーズ本は、「そして夜は甦る」が410ページ、本書が431ページあり、読み始めるのに気合を入れたくなるくらいの長編小説。
14年ぶりの新作が発表されている。文庫本を順番に購入して読 -
Posted by ブクログ
前作「天使たちの探偵」(短編集)から5年ぶりに上梓された本作!
いや~~よかった!!
もうウルウルして「沢崎、おかえり~」なんて思いながら読んでしまいましたよん。
本書の冒頭からもおわかりでしょうが、沢崎自身、400日ぶりに東京へ戻り、探偵業に復活します。
あいかわらずのチャンドラー口調、健在でした。
時々、推理小説ファンでトリックとかを重視する人だったら怒るかもしれない部分がありますが、それは~あなた!沢崎だから許されるんですよん。
その部分っていうのは突然、沢崎が何も前触れなしにピタリと本当のことを当ててしまうところなんですけど。
本書もなんともいえない暗い余韻がありました。
これまた素