原リョウのレビュー一覧
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探偵沢崎シリーズ第三弾。今回はシリーズでも随一の人間関係の複雑さ。このシリーズは相関図を付けて欲しいところ苦笑。今回は400日ぶりに探偵業に復帰するところから話は始まる。なぜ400日振りなのかというのも後々明かされることになるが、本流の事件とは別にこちらも衝撃的な事実が明らかとなる。その事実により本シリーズは転換点を迎えると言ってもいいだろう。肝心のストーリだが、今回は依頼人にたどり着くまでの話も長く、また依頼を受けてからの展開も少々冗長な印象。もう少しスピーディーな展開でも良かったのでは。しかし会話とストーリの妙を楽しむのがこのシリーズの持ち味でもあるから(あくまで個人的意見ですが)それを求
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Posted by ブクログ
脱線が上手い。
とある過去の自殺が、「実は他殺なのか?」という疑惑が起こる。
かつての証言者を尋ねる主人公。それぞれが抱える闇。気まずさ。ちょっとした嘘。
じりじりと浮かび上がる、誰も知らなかった真実...。
だが。
結局は、自殺だった。
さらに。
重要な秘密を抱えていそうな依頼人が夜道で襲われる。重体。
「犯人の顔は見れなかった」。
果たして、誰が?なぜ?
依頼人の家族や周囲、過去をめぐるどろどろした人間模様が暴かれて行く...
そして...犯人は...誰だ...
だが。
結局は、「小銭欲しさの、通り魔の犯行だった」。
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要約して書くと、「おいおい!」と苦情を入れたくなる -
Posted by ブクログ
沢崎という探偵の 推理力、観察力が
なんとも言えないほどの
推進力があり 本質に 迫っていく。
不思議な 事件が つぎつぎに起こっていく。
ヤクザの組長と 足を洗った料理人と その兄弟関係。
フィクサーのような老人とそれに連れ添う美女。
フィクサーの寝言で、政治家が 恐れ戦く。
それに眼を付けて、金を奪おうとする
スズキイチロー、ノモヒデオ。
警察のウラを知りぬいて、駆け上っていく刑事。
それが複雑に絡み合って事件の真相が明らかになっていく。
人間が沢山でて来るので、
最初に 登場人物の紹介があって、わかりにくいものが
すこし、わかりやすくなっているのは、助かる。
でも、どうして と -
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すごーく久しぶりに、読み応えのある本だった。
じっくり練られてきちんと書かれた本。
当たり前のことなんだけど、わたしみたいな乱読してると、意外と貴重だったりする。
クールな探偵さんが今度は子どもたちを相手に、相変わらずの良い味を出してる。
最初は拒否反応のあったハードボイルドだけど、もうこの世界が居心地良くなってる。
探偵さんの推理の飛躍っぷりにびっくりするところもままあるけど、その理由を聞くと「なるほど」って納得。
そっか、題名の「天使」って、子どもたちのことだったんだ。
ハードボイルドに興味があったら、入門書としてぜひこれを。
これなら女性にも読みやすいと思う。 -
Posted by ブクログ
4+
後に沢崎ものは一作出ているが、本作はこれまで続いていた因縁にケリがつくと言う意味では集大成。過去作のキャラクター達がちょいちょい登場したりするのもオールスター的雰囲気で良い。故にこれまでの作品を事前に読んでいた方がより楽しめるだろう(と言っても数が少ないのだが)。 個人的には本作の沢崎が一番かっこよく感じた。マーロウ的ではない沢崎らしさのようなものが見え、一皮むけた感がある。まあ読み終えてみれば、そう感じたのももっともであるとわかるのだが。いずれシリーズまとめて読み返したい(何しろ数が少ないのだから)。
ところで冒頭の登場人物表に誤字がある。よりによってシリーズにとって重要なこの人 -
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私が日本人で一番好きなハードボイルド作家・原尞(はらりょう)の小説以外のお仕事をまとめた本。
もともと「ミステリオーソ」という単行本ででてたのを、増補分冊したうちの一冊。
もう一冊はそのまま「ミステリオーソ」というタイトルで音楽や映画関連をまとめてあって(未読)、こちらは海外小説の後書き・エッセイ・対談・未収録短編などを本にまつわるものをまとめたもの。
チャンドラーへの敬愛、他の作家達への尊敬、小説論などがかいま見えて非常に面白かった。
原尞はもともと我流のジャズピアニストをやっていて、映画の脚本などをやったあとに、思い立って探偵小説を書きだしたという、なかなか異色でかっちょええ経歴の持ち主 -
Posted by ブクログ
前作「天使たちの探偵」(短編集)から5年ぶりに上梓された本作! いや~~よかった!! もうウルウルして「沢崎、おかえり~」なんて思いながら読んでしまいましたよん。本書の冒頭からもおわかりでしょうが、沢崎自身、400日ぶりに東京へ戻り、探偵業に復活します。
あいかわらずのチャンドラー口調、健在でした。時々、推理小説ファンでトリックとかを重視する人だったら怒るかもしれない部分がありますが、それは~あなた!沢崎だから許されるんですよん。その部分っていうのは突然、沢崎が何も前触れなしにピタリと本当のことを当ててしまうところなんですけど。
本書もなんともいえない暗い余韻がありました。これまた素敵なところ