原リョウのレビュー一覧
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探偵沢崎シリーズ第三弾。今回はシリーズでも随一の人間関係の複雑さ。このシリーズは相関図を付けて欲しいところ苦笑。今回は400日ぶりに探偵業に復帰するところから話は始まる。なぜ400日振りなのかというのも後々明かされることになるが、本流の事件とは別にこちらも衝撃的な事実が明らかとなる。その事実により本シリーズは転換点を迎えると言ってもいいだろう。肝心のストーリだが、今回は依頼人にたどり着くまでの話も長く、また依頼を受けてからの展開も少々冗長な印象。もう少しスピーディーな展開でも良かったのでは。しかし会話とストーリの妙を楽しむのがこのシリーズの持ち味でもあるから(あくまで個人的意見ですが)それを求めるのは野暮というものだろう。
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Posted by ブクログ
脱線が上手い。
とある過去の自殺が、「実は他殺なのか?」という疑惑が起こる。
かつての証言者を尋ねる主人公。それぞれが抱える闇。気まずさ。ちょっとした嘘。
じりじりと浮かび上がる、誰も知らなかった真実...。
だが。
結局は、自殺だった。
さらに。
重要な秘密を抱えていそうな依頼人が夜道で襲われる。重体。
「犯人の顔は見れなかった」。
果たして、誰が?なぜ?
依頼人の家族や周囲、過去をめぐるどろどろした人間模様が暴かれて行く...
そして...犯人は...誰だ...
だが。
結局は、「小銭欲しさの、通り魔の犯行だった」。
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要約して書くと、「おいおい!」と苦情を入れたくなる物語なんです。
だけれども、おもしろい。
つまり、結果ぢゃなくて、過程が全て。
論理的な整合性が全体世界をぎっちりと構成することなんて、小説を作る上で興味が無い。
いや、むしろ、それを突き崩すことのカタルシスの方が、おもしろい。
おもしろければ、それでええやん。と、いうえげつなさ。
ただ、オモシロイということに、作者なりの物差しや基準があって、そこは厳然とブレない。
辻褄とかはどうでもいいのです。
迷走も含めた、主人公の眼を通した「世界観」であり、それはつまり、「文章」なんですね。
僕は好きです。
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「さらば長き眠り」原りょうさん。1995年発表。ハヤカワ文庫。
原りょうさんの唯一の小説群である、「探偵・沢崎シリーズ」長編の第3作。
2017年現在、このシリーズは第4作「愚か者死すべし」(2004発表)で止まってしまっています。
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西新宿に小さなオフィスを構える「渡辺探偵事務所」。
そこのオーナーであり唯一の従業員である、中年探偵・沢崎。
かつて、「渡辺」という元刑事のパートナーがいた。渡辺に誘われて、探偵になった。
だが、その渡辺は家族を事故で失って以来、アル中に。
そして、暴力団の覚せい剤と現金を両方奪って蒸発してしまった。
残された相棒・沢崎は共犯とみなされて、警察と暴力団とに尋問され、痛めつけられた...
それからもう、数年...。個人で探偵を続ける沢崎だが、折々に「渡辺が戻っているのでは」「渡辺の居場所を知っているのでは」と疑う警察や暴力団が現れる...。
と、いうところから、このシリーズは始まっています。
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「新宿鮫」シリーズで言うと、
「過去に警察内で自殺不祥事があった。公安警察の恥部が絡んでいた。その秘密を自殺した友人から託された主人公・鮫島は、公安警察や上層部から常にマークされ、常に監視され、襲われる危険がある。本来はエリートなのに出世も有り得ない。その代り、警察は鮫島を解雇できない」
というベースのドラマがあります。
同じような、ベースとなるドラマ構造が「沢崎シリーズ」にもありますね。
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かなり、相当に深いところまで。
レイモンド・チャンドラーの文体や語り口、世界観を研究した、愛し抜いた末に、なるたけ選び抜いた文章とコトバで綴られる、沢崎シリーズ。
好みの問題ですが、僕は大好きです。
チャンドラーに精神的に師事している訳ですから、当然ながらその魅力は物語の段取りにある訳ではないのです。
ですが、以下、後年の自分のためだけの、一応の備忘録。
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今回は、「1年以上ぶりくらいに、東京に戻ってきた主人公。長い不在の理由は語られない」から始まります。
留守中に、仕事を依頼しようと事務所に来た人がいる。
その人物と会ったのは、ホームレスの中年男。そのホームレスが、沢崎に伝言してきた。
まずはその「謎の依頼人」を探すことになります。
依頼人が誰かをさぐるうちに、周辺で「事故死した男」の情報が入る。犯罪の匂い。だが、今回は、とにかく依頼人と会えないので、仕事が始まらない。
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ようやく探し当てた依頼人。
元・甲子園球児の青年。
10年以上前、「甲子園で八百長を行った」という疑惑をかけられた。
数日間の報道の渦、悪意の中で、姉が投身自殺した。
その後、潔白が証明された。
だが、青年は姉の自殺を「他殺ではないか」と疑っている。
「誰にも言ったことがないことが。実は、自分に八百長を電話で依頼したのは、姉だった。事情は分からない」
その真相の調査を依頼する。
だが、同時に彼は夜道で何者かに襲われて重傷を負う。
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調査が始まる。
なんと自殺した依頼者の姉は、妊娠していた。
家族関係や、「自殺」を証言したかつての3人の証言者を調査する。
どうも、どの証言も微妙な裏がありそうだ。本当に自殺なのか。
そして、依頼人を襲ったのは何者か...。
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10年以上前、自殺した姉の近辺に、「細身のオートバイ乗り」がちらほらしていたことが分かる。
そして、怪我直前の依頼人が、「能」の公演のチケットを持っていた。
そんな調査から、衝撃の事実が。
10数年前。
OLでひとり暮らしだった姉には、半同棲の同居人がいた。
能の名家の娘だった。ぐれて、同性愛者(というか、いわゆるバイ。両刀使い)になって、フーテン暮らし。
そして、姉と半同棲していた。
並行して、高校球児だった依頼人の父親は、密かに借金に苦しんでいた。
それに、暴力団と、暴力団に関係した親戚と、野球部の監督も絡んだ。
暴力団の野球賭博のために、依頼人に八百長をさせなくては、破滅。と、いう瀬戸際に追い込まれ。
父親も黙認共同して姉を監禁して脅し、弟に電話して依頼させた。
別線の話として、「能の名家の両刀娘」は、いろいろあって、どうでもいい相手の子を孕み、人生に絶望して、姉のマンションから身を投げる。自殺。
ただ、その遺体が顔の峻別がつかず。
その上うしろぐらい部分があるので、父親も「娘だ」と認めてしまう。人違い。
そして、姉は、父親の知らぬところで暴力団絡みの親戚に殺されてしまった。
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...と、言う驚愕の真相を暴く沢崎さんだった。
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そしてまた別線で、
かつて姿を消した、探偵の先輩・渡辺が、病んで死にそうだという情報があった。沢崎さんは跡を追って東京を離れていた。
片田舎で見つけ出して、かつてのパートナーの最期を看取っていたのだった。
という、「長き不在」の理由が明かされます。 -
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沢崎という探偵の 推理力、観察力が
なんとも言えないほどの
推進力があり 本質に 迫っていく。
不思議な 事件が つぎつぎに起こっていく。
ヤクザの組長と 足を洗った料理人と その兄弟関係。
フィクサーのような老人とそれに連れ添う美女。
フィクサーの寝言で、政治家が 恐れ戦く。
それに眼を付けて、金を奪おうとする
スズキイチロー、ノモヒデオ。
警察のウラを知りぬいて、駆け上っていく刑事。
それが複雑に絡み合って事件の真相が明らかになっていく。
人間が沢山でて来るので、
最初に 登場人物の紹介があって、わかりにくいものが
すこし、わかりやすくなっているのは、助かる。
でも、どうして といういくつかの疑問が 残ったままに、
事件を 解決させてしまう 沢崎。
探偵という矜持とほこりと
その職分をよく知っているが故に、
カリスマ的な オーラがあって いい感じだ。 -
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すごーく久しぶりに、読み応えのある本だった。
じっくり練られてきちんと書かれた本。
当たり前のことなんだけど、わたしみたいな乱読してると、意外と貴重だったりする。
クールな探偵さんが今度は子どもたちを相手に、相変わらずの良い味を出してる。
最初は拒否反応のあったハードボイルドだけど、もうこの世界が居心地良くなってる。
探偵さんの推理の飛躍っぷりにびっくりするところもままあるけど、その理由を聞くと「なるほど」って納得。
そっか、題名の「天使」って、子どもたちのことだったんだ。
ハードボイルドに興味があったら、入門書としてぜひこれを。
これなら女性にも読みやすいと思う。 -
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4+
後に沢崎ものは一作出ているが、本作はこれまで続いていた因縁にケリがつくと言う意味では集大成。過去作のキャラクター達がちょいちょい登場したりするのもオールスター的雰囲気で良い。故にこれまでの作品を事前に読んでいた方がより楽しめるだろう(と言っても数が少ないのだが)。 個人的には本作の沢崎が一番かっこよく感じた。マーロウ的ではない沢崎らしさのようなものが見え、一皮むけた感がある。まあ読み終えてみれば、そう感じたのももっともであるとわかるのだが。いずれシリーズまとめて読み返したい(何しろ数が少ないのだから)。
ところで冒頭の登場人物表に誤字がある。よりによってシリーズにとって重要なこの人物の姓を間違えるなんてと呆れてしまうやら萎えるやら。 -
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私が日本人で一番好きなハードボイルド作家・原尞(はらりょう)の小説以外のお仕事をまとめた本。
もともと「ミステリオーソ」という単行本ででてたのを、増補分冊したうちの一冊。
もう一冊はそのまま「ミステリオーソ」というタイトルで音楽や映画関連をまとめてあって(未読)、こちらは海外小説の後書き・エッセイ・対談・未収録短編などを本にまつわるものをまとめたもの。
チャンドラーへの敬愛、他の作家達への尊敬、小説論などがかいま見えて非常に面白かった。
原尞はもともと我流のジャズピアニストをやっていて、映画の脚本などをやったあとに、思い立って探偵小説を書きだしたという、なかなか異色でかっちょええ経歴の持ち主。
さらに、探偵小説を中心とした読書歴もすごいものがあるんですが、そういう人にありがちな「俺様すごいだろ」感が臭ってこないのが、実にいいですな。
チャンドラーはほぼほぼ読んだことあるけど、他に作者が愛した作家・シリーズを読みたくなってきましたよ。
備忘メモ
- キャビン・ライアス マクシム少佐シリーズ
- ロス・マクドナルド
- 結城昌治
- ロバート・B・パーカー
- トニィ・ヒラーマン
- マクケル・Z・リューイン
- デイヴィット・グーデス
- コーネル・ウールリッチ
- ロス・トーマス
- ジョルジュ・シムノン メグレ警視シリーズ -
Posted by ブクログ
前作「天使たちの探偵」(短編集)から5年ぶりに上梓された本作! いや~~よかった!! もうウルウルして「沢崎、おかえり~」なんて思いながら読んでしまいましたよん。本書の冒頭からもおわかりでしょうが、沢崎自身、400日ぶりに東京へ戻り、探偵業に復活します。
あいかわらずのチャンドラー口調、健在でした。時々、推理小説ファンでトリックとかを重視する人だったら怒るかもしれない部分がありますが、それは~あなた!沢崎だから許されるんですよん。その部分っていうのは突然、沢崎が何も前触れなしにピタリと本当のことを当ててしまうところなんですけど。
本書もなんともいえない暗い余韻がありました。これまた素敵なところでもあるんですけどね。沢崎も言っておりますが、「何故」と思い、答えをみつけたら、もっと「何故」がでてくるものなんでしょうね~、人生って。よく、ハードボイルドはちょっと・・・っていう御仁をお見かけしますが、原氏作品はハードボイルド入門者にもぴったりだと思います。もちろんできれば最初の「そして夜は甦る」から読んでください。絶対、お気に入りの1冊になるはず! おまけの文庫化にあたりの書下ろしが後書きの後ろにでているのですが、これがまたいいんですよん。もう原氏って素敵すぎ!!(笑)
沢崎ファンとして、本書の最後の部分にはまたまた感動してしまいました。「そして夜は甦る」から続いている謎な部分の解答がでております。だから「沢崎シリーズ第一期完結」と言われるのでしょう。あ~~新・沢崎シリーズ第一弾「愚か者死すべし」が文庫化にならないかしらん。待ち遠しい~~~。