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1995年に刊行された著者初のエッセイ集『ミステリオーソ』を再編集したエッセイ集。本巻には、映画とジャズが好きな少年がハードボイルド作家としてデビューするまでの紆余曲折を豊かな感性で表わした「飛ばない紙ヒコーキ」を始めとして、おもに映画・ジャズ・自身に関するエッセイと対談を収録。
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Posted by ブクログ
▼原りょうさん(りょうという漢字は変換できない・・・)のエッセイ集。原りょうさん、は、1988年に40代でデビューして、2018年に最後の作品を上梓された小説家です。2023年に他界。ハードボイルド・ミステリー、 あるいは ハードボイルド探偵小説、とでも言うべき「ジャンル作家」さん。 …というより...続きを読むも、30年の活動歴で、 ・沢崎、という名前の私立探偵が一人称で活躍する「探偵・沢崎シリーズ」。文庫本1冊程度の長編小説5冊、短編小説集1冊 しか、書いてないんです。寡作の人です。つまり、30年で文庫本6冊。 ▼この6冊が、個人的には大大好きです。著者自身も認めている通り、アメリカの作家レイモンド・チャンドラーの書いた「私立探偵フィリップ・マーロウ・シリーズ」を強く意識した作りになっています。(チャンドラーも、ほとんどこのシリーズしか書いていない寡作の人でした) ▼平たく言えば真似をしている、とも言えるんですが、そんな浅いレベルでは無くて、つまりはオモシロいのです。「似ているかどうか」ぢゃなくて「面白いかどうか」です。 ▼そんな原さんが、唯一「沢崎シリーズ」以外に書籍として残しているのが、 「ハードボイルド」「ミステリオーソ」という2冊のエッセイ集。本書が何故か未読だったので、購入。 ▼この本は原さんが地方紙に連載したコラムみたいなもので、ネタはほぼ、自伝や自分の好みの、あるいはかつて好きだった、小説、音楽、映画についてでした。オモシロかった。 (原さんはどうやら北九州?福岡?あたりのご出身で、一時期は東京で過ごされていたのですが、作家デビュー前から地元で暮らしていて、その後もずっと地元で暮らされていたようです) ▼もともと、「僕の好きな小説家さんだなあ」というのは当然思っていたのですが(だからこのエッセイも読んだ)、読んでびっくり。もともと<作家になる前はプロのジャズ・ピアニスト>だということは知っていたのですが。 <ジャズ・映画・ちょっと落語・好きな小説たち>という原さんの語る内容が、実に気持ち悪いくらい、「あー、自分も好きだなあ」というものばかりで(笑)。まあそりゃ、この人が面白いと思って書いた小説は、自分は好きなはずだわ。と、納得。 近年読んでなかったので、再読しようかなあと思いました。 ▼巻末の方で付録的に、 <50代くらい?の原さんが、九州地方都市で、老若男女の地元の完全なるアマチュアの方々と、ジャズバンドを結成して練習に励む> という挑戦?の顛末記があります。 これが独立した読み物としても大変にオモシロかった。音を楽しむ、音楽というものの剥き身なヨロコビみたいなものを、プロの演奏家として酸いも甘いも知り抜いた著者が、慎重に愛情をもって書いておられる感じ。
1995年に単行本で刊行されたエッセイ集「ミステリオーソ」を 増補し2分冊で文庫化したもの。元本は刊行時に買って読んでるけど 同じ本を二度買わされたという気は全くしない。 巻末の「編集ノート」を見ても丁寧な作業をした上で 文庫化されてるのがよく判る。山之辺進のカバーイラストも良いし 新作「...続きを読む愚か者死すべし」が出るまでの10年間に書かれたエッセイや 対談をまとめて読めるのが嬉しい。 原?の私立探偵・沢崎シリーズは単行本で揃えているのだが 文庫化の際、全ての作品に短編が新たに付されており気になっていた。 それが全て再収録されているのも収穫でお遊びの要素が強い短編もあり、 原?の長編作品には無い洒落っ気がうかがえて興味深く読めた。 短編「死の淵より」は「愚か者死すべし」の予告編といった 内容でもあるので先に読んでおきたかったなあ。 文庫で初収録の「監視される女」も読み応えあったしね。 これで沢崎シリーズは全作読めたわけで後は新作に期待ってことだな。 今度は10年も待たされないことを祈るばかりである。
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