藤沢数希のレビュー一覧
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著者の藤沢数希氏は欧米研究機関で計算科学、理論物理学の分野の博士号取得後、外資系投資銀行で経済分析をしていた方。
感想。別の方のレビューにも書いてあったが、反原発論にデータで反論している本。データに依り過ぎてる感じはするが、話はわかりやすい。
また、「原発の問題点は、経済性でも安全性でもなく、倫理性。原発の恩恵は都会の人が多く受けているのに、事故のリスクは地元住民が大きいこと。」は一番印象に残っている表現。そういうことなんだと思う。
備忘録。
•電気の出力数対比事故や公害による犠牲者数を比較すると、原子力は他の発電方法よりも安全。化石燃料は材料採掘時の事故や大気汚染で年間100万人以上が死 -
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株式は売り手と買い手がいて売買が成立します。
ということは片側は「高い」と判断している時、もう片側は「安い」と判断していることになります。
そして、それぞれ自分の判断が「正しい」と信じております。
ではなぜ、自分の判断‘だけ’正しいと思うのか?
それは多くの人々がもつ「オーバー・コンフィデンス・バイアス」と呼ばれる「自分は平均的な人々より少しだけ有能だ」という思い込みの心理作用に因るものだそうです。
人は知らず知らずのうちに自分の考えを正当化する情報‘のみ’に目を向け、否定的な、自身にとって不利な情報は見て見ぬふりをしてしまう傾向があります。
これを繰り返すと自身の有能感がどん -
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ネタバレちょっと言葉がきつく、金融の負の側面ばかりにスポットを当てているキライはあるけど、中身はその通りの事が多いです。
外資系投資銀行の一線で活躍するトレーダーの赤裸々な実態。同じ外資系バンカーの端くれとしてどれも非常に同意できる内容であった。特に斜陽の投資銀行業界は、人事面では同様の事が起きていると思うし、自分の周りも非常に似た状況である。リーマンショックを経て、投資銀行部門から人がたくさん溢れてきている。
著者の内容の通り、大半の外資系(日系も大して変わらないが)にとっては、顧客や経済への貢献とは無縁の世界で、カネや地位のために皆色々なものを犠牲にしており、外見とは裏腹に空しく儚い世界だと思 -
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・最大の大気汚染源は自動車の排ガスだが、火力発電所の大気汚染物質の排出は全体の15%程度。WHOの推計から日本で大気汚染によって死亡する人数は3万3000~5万2000人。平均の4万2000人だとして、その内15%=6300人が火力発電による大気汚染で死んでいる。脱原発で発電に占めていた火力の割合が6から9割に増えると、年間3000人ほど死者が増える。
・放射能が漏れるようなシビアアクシデントがあると、周辺の土地に近づけなくなるが、原発1基を太陽光発電に置き換えると、山手線の内側面積とほぼ同じ土地が常時必要になる。
・ビル・ゲイツも言うように、ソーラーや風力はキュートなテクノロジーであり、 -
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世の中は「脱原発で自然エネルギーへ」等というスローガンで溢れていると思っています。今度の総選挙でも、エネルギー関連が争点になるとすれば「原発賛成」ということを言える候補者は殆どいないと思います。かつて郵政選挙で反対の立場をとることが本当に難しかったように。
この本は、原子力を含めた理論物理学を究めた経歴をお持ちである藤沢士が、原子力が他の発電方法(石炭や石油火力、自然エネルギー等)と比較して、実際に比較できるデータを用いて解説しています。
特に、自動車の排ガスや石炭火力発電による大気汚染で115万にもの人が死亡している(p21)のには驚きました。
また、日下氏が以前に、現在のウラン型より -
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【日本】現状集められているデータから、未来の在り方について議論する力がこのテーマには特に必要である。脊髄反射的に原発を危険因子扱いにして終わらせるのではなく、既存のエネルギー事業と比較して何がダメで何がよいのか。同じ土俵にあげて議論をしないと話は何も始まらない。本書は、原発または他のエネルギー関連事項の先行研究をかなり丁寧に参考にしながら、慎重に議論を進めている。論理的に、誠実に今考えられる一つの案を掲示している。複雑な要素が関係しているこの分野の基本的事項をこの一冊を読めば学べてしまったのではないかと思うほど、読んでいて分かりやすい。おすすめ。
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投資について専門家が本当に身もフタもなく解説してくれています。
専業トレーダーにとっては余り聞きたくない話が雄弁に語られている(とは言え、著者の主張は特に目新しいものではないのですが)ので、(少なくとも僕は)非常に耳が痛かったです。
殆ど数式はできていませんし、出ている数式も必ず理解する必要はないらしい(と著者が書かれてましたので、僕はすっ飛ばして読みました)ので、割合とスラスラと読み進める事ができると思います。
本書はどちらかと言えば投資の初心者向けなのかなと思いますが、既に投資をされている方が読んでも得るところはあるのではないかと思います。(たぶん)
この手の本にしては珍しくかなり -
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ネタバレ世界中と繋がったグローバルな社会を生きていく人に是非読んで欲しい一冊。
日本には
「いいものを作れば必ず売れる」
「汗を流さずに得るお金はあぶく銭だ」
といった神話とも言える古い考えが未だに美化される傾向にあります。
本著では、著者が経済的に成熟した資本主義社会の日本で生きていくには金融のリテラシーがいかに必要かを説いています。
その中で、著者による効率的市場仮説について面白い解説がされていたので、紹介したいと思います。
経済学者は皆、効率的市場仮説を信じている。
一方で、株式などをトレードする市場の人達は
「自分だけはどうにか儲けることができるんじゃないか」
と信じている。
効率的市