【感想・ネタバレ】「反原発」の不都合な真実のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年07月28日

日本人みんな読んで欲しい。エネルギー資源に乏しいこの国でどうやって原子力と向かい合えばいいのかを提言してくれる本書。日本と国と原子力。技術と政治とコスト。あれやこれやが詰め込まれた名作。1度は読んでおこう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年05月16日

原発問題は原子力工学の専門家、放射線医学の専門家、エネルギー政策の専門家や原発設置地域の行政、住民などが関わっているが、全体を俯瞰する総合的な専門家はいない。(本来なら政治家や官僚がそうあるべきなのだろうが…)
その中で経済学やリスク分析の専門家であり、物理学の博士号を持つ科学者である著者がフラット...続きを読むな立場で原発問題についてデータに基づき評価した本。

こういったデータ分析的な話は個人的に好きなこともあり大変面白かった。発電のための人的犠牲を減らし、地球環境を守り、日本の財政を持続させるためにも原発の再稼働、増設がされることを期待します。(増設に関する合意形成の難しさは途方もないと思いますが)


以下抜粋

代表的な発電方法における1TWhあたりの死亡者は
化石燃料21人
ソーラー0.44人
原子力0.03人
となっている。これは大規模な採掘や造成、パネルの取り付け作業に伴う事故が起因する。
また、化石燃料は大気汚染により年間100万人の死者を出すため、その他の発電とは比べ物にならない犠牲のもとに成り立っている。(大気汚染は直接の死因ではないが)
さらに言うと化石燃料はCO2の排出量も多いため、地球温暖化によるリスクの将来世代への先送りも無視できない。

放射線被曝による健康被害は福島、チェルノブイリの事故で超低リスクなことが判明している。要は実際のリスクではなく感情論が先行している。チェルノブイリ原発事故があったウクライナは原発を推進。

クリーンエネルギーについて、そもそも太陽光や風力は化石燃料や原子力(放射性ウラン)のエネルギー密度に対して圧倒的に低い密度のため多少の技術革新などがあっても発電効率の悪さは変わらない。

日本のエネルギーポートフォリオの中で原子力を全て止めるとなると追加の化石燃料の購入のため約4兆円の出費が増える。(日本の税収が40兆円程度)

一度臨界に達した原発は連鎖的な核分裂反応が継続するために40年ほどは閉鎖できず、管理を続ける必要がある。どうせ管理するならエネルギーを取り出す方が得。

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Posted by ブクログ 2019年01月26日

前まではバカだったので、ニュースに印象を受け、原発は危険だと思っていたが、この本を読み、定量的に考えると、原発はもしかするとベストな発電方法なのでは、と思うようになった。
しっかりと、数字を見つめ、統計的に考えることができるようになることを当分の間の目標とする。

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購入済み

納得できた

2016年10月22日

反原発の問題点について、理路整然と書かれている。健康被害の話、代替電力のコスト的な問題点等、凄い納得できた。
当時(今もか)の反原発の空気の中、この本を出した関係者の勇気に敬意を表したい。
併せて反原発の本と読み比べてみると、エネルギー問題をより深く考察する助けになるかなと思った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年05月10日

 日本の発電は、火力、原子力、水力、太陽光、風力などがありますね。
本書には、各発電方法の比較、地球環境問題、放射線、原子力の仕組み、将来のエネルギー開発について書かれています。

 個人的には、地球環境や原子力の仕組み、次世代原子力発電に関して大変参考になりました。
地球環境問題に興味がある方にも...続きを読むオススメしたい1冊です。

 この本を読んで思ったことは、今まで東日本大震災時の原子力発電所の事故はテレビや新聞からの情報に対する第一印象で感情的に判断していた事に気づきました。

 大気汚染に関しては、やはりもっと問題視するべきだと思います。2015年末にフィリピンに行きましたが、首都マニラの大気汚染はひどかったです。交通量の多い道の歩道を30分ほど歩いただけで、ノドの調子がおかしくなり咳が止まりませんでした。

 将来を見据えると、開発途上の国が発展するのに、必然的に大気汚染問題を向き合う事になると思います。日本は世界の船頭に立ち、安全かつスマートに地球環境汚染を対処・解決していってほしいです。

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Posted by ブクログ 2016年03月10日

経産省の前でテントを張っている人たちに言いたい。不法占拠している暇があったら、こういう本を書いてきてくださいと。
人類の将来を左右するほどのことを決めるのに感情論は不要であろう。

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Posted by ブクログ 2016年02月05日

 原発を止めろと言う人も、再稼働しろと言う人も、もしかして、ただただ放射能が怖いだけだったり、景気の沈滞が怖いだけだったり、要するに目先のことしかみていないんじゃないかと心配になる。タブーを作らず、反対意見も聞いて、冷静に考えねばならないときが来ていると思うのだが、これでいいのか。ちょっと冷静さを欠...続きを読むくタイトルではあるが、「日本の反原発の風潮に一石を投じよう」という本書を読む。記述には、感情的にならずに、引用文献を示しつつ、事実に即していこうという姿勢が感じられる。

 原発を止めて、これまでよりも少ない電力で生活していくというのはひとつの見識ではある。田舎に引っ越して、再生可能エネルギーを最大限利用した新たな生活の仕方を模索する人たちがテレビで紹介されたりする。簡単にまねはできないが美しい生き方だとは思う。しかし現実的に多少の節電をするくらいしかできない大多数の市民にとって、原発廃止論は、原発でまかなわれていた電力の大部分を火力発電でまかなうことを意味する。
 原発の危険性は飛行機の危険性に似ている。飛行機事故は多数の死者が出て凄惨ではあるが、単位移動距離あたりの死者数は自動車のほうが多い。いわゆる自然エネルギーで健康被害を受けている人も現にいるのに(例えば風力)それはあまり報道されない。本書に示された推計では、1TWhを発電するのに、火力発電で年間21人の死者、原子力発電で0.03人の死者が出る。火力発電による死者は主として大気汚染、原発はチェルノブイリで癌になって死ぬと推計された(その後20年の調査ではほとんど死んでいないというデータもある)人数である。かくて、原発全廃すると、火力発電の大気汚染で年間3000人以上の死者が出るという推計。しかもダメージを受けやすいのは老人と幼児である。ちなみに太陽光発電による死者は0.44人で、太陽光パネル設置時の転落死者である。
 また、こんな数字のあげ方もある。タバコによる死者は日本で年間20万人、大気汚染3〜5万人、自殺3万人、交通事故死5000人(後遺症入れたら7万人)、熱中症による死者2000人、殺人事件による死者1000人、エイズ数百人、福島第一原発の放射能による死者0人。これをみて本書の著者は次のように述べる。年間の死者数が0から数十人の死因はメディアでセンセーショナルに取り上げられる。数十人から数百人は社会問題として扱われる。数千人から数万人以上が死亡するとそれは珍しくも何ともなくなり話題に上らなくなる。たとえれば、常に餓死者が出ている社会では、食べ過ぎで死んだ人がニュースになるというようなものか。

 評者は原発の最大の難点は、事故の危険でも、採算性の問題でもなく、核廃棄物だと思っていた。もんじゅもうまくいっていないし、当初、国が想定した核燃サイクルは破綻していると思われるのだが、本書の著者は楽観的だ。とりあえず中間貯蔵施設に収めておけば、将来の資源となる可能性もあるという。
 もっとも、原発に廃棄物問題があるとしても、これまで核廃棄物は年間1000トンほどだったが、それに対して化石燃焼を燃やして生ずる二酸化炭素は年間12億トンというように、化石燃料にも問題は多いし、第一、いずれ枯渇するという点を踏まえると、核廃棄物処理問題も絶対的な難点にはならないかもしれない。
 
 そもそも太陽光や風力は自然の状況によって発電量が大きく変わってしまうので、これだけで電力の安定供給は無理で、自然エネルギーで生活していくというのは甘い。太陽光発電のコストが高いことは言われているが、発電のコストを考えると、年間、福島第一級の事故を3回起こして賠償金を払うと想定して、ようやく原発の発電コストが太陽光のコストに並ぶというくらい割高なのだという。また、福島第一の賠償額は4兆5000万円ということだが、原発をすべて止めて火力に代替することで生ずるコストは年間4兆円だという。お金の問題だけでは済まないということはあるにしても、本書の面白いところはこうしたデータを淡々と示していくところである。
 それならば、自然から得られるエネルギーだけを使って、低エネルギー生活を模索したらどうだろうか。多くの人はそんな生活に耐えられないだろうという実態は無視したとしても、これに対しては本書第5章のタイトルを挙げておこう。「救える命の数は経済の豊かさに比例する」。具体的なことは本書ではあまり書かれていないが、例えば現在当たり前に受けられている高度な(高額な)医療が受けられなくなる、交通機関の安全対策が経済的理由でおろそかにせざるを得なくなる、など、これは発展途上国の状況をみればわかることだろう。いや、日本において経済格差で癌の新薬を継続できない人がいると報道されているし、高速道路のトンネル事故など犠牲者も出ているし、もはや発展途上国だけのことではない。

 地球温暖化問題や地球規模の格差問題を考えると、とりあえず原発で何とか持たせながら、新たなテクノロジーを待つしかないのではないか。原発自体も過酷事故を起こしにくい新型のものが開発されているし、地震対策についても原子力空母や原子力潜水艦が過酷な環境下で稼働していることを考えたら、地震国日本に原発は不適と決めつけるのは技術立国日本としてはいかがなものかと著者は述べる。

 結論的には、3.11前の「原発は絶対安全」という思考停止と、その後の「原発は絶対悪」という思考停止の間で知恵をめぐらせることなのだと思う。でないと振り子が反対に振れただけで、いずれわれわれはまた大変な目に遭うだろう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年03月22日

この著者、経済の本は読んでいて手応えがあったので、試しに別の分野も読んでみた。やはり文章が面白く、理系ということもありデータがしっかりしていて読んでいて安心。

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Posted by ブクログ 2013年01月14日

データに基づいて議論されているので非常に納得性が高い。オーダー(桁)の議論は原発みたいな非常に大きなエネルギーを生み出すことができるものに関しては無視できない。原発で何人死んだということは本来の議論の中心ではなく単位エネルギーあたりの死者数の議論にすることで論点を明らかにしている。データの信憑性も高...続きを読むいし、名著。いまの日本の脱原発はとても感情的にすぎないと思っていたので納得のいく内容だった。

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Posted by ブクログ 2013年01月04日

京大の小出さんの本と同時によんでみた。論理的な本なので脱原発から脱してしまいそうになる。たしかに温暖化や大気汚染の問題とも絡めてエネルギーは考える必要はある

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Posted by ブクログ 2024年02月26日

タイトルは「原発推進派」を思わせますが、「反「反原発」派」による本、と捉えた方が、より的確な気がしました(結果的に、原発推進派と捉えてよいとは思いますが)。

第1章(発電方法の違いによる死亡者数の違い)、第2章(放射線のリスク)、第3章(再生可能エネルギーの現状)あたりは、『ファクトフルネス』を思...続きを読むわせる内容で、的確な数値を用いて、「反原発」がいかに非現実的な考えであるかが、勢いよく述べられています。

しかし、地球温暖化の話である第4章あたりから、定量的な話が減り、定性的な話が増え、前半で見られた歯切れのよさ、それにともなう小気味よさが薄れているように思います。

また、第6章の「原子力」に関する説明は、わかる人にしかわからない内容だと思われ、この章だけ、文章の質が著しく低いように思います(対象となる読者の設定がおかしい印象。この章だけ、編集者が機能していないのかもしれません)。

とはいえ、原発推進派の本として、この本はかなり説得力のある、よい本だと思います。

ちなみに、少し前に読んだ『それでも原発が必要な理由(わけ)』も、おそらく、本書と同じ思いで、原発推進の主張をしたかったのだと思いますが、原発を推進する理由を述べた本としては、本書の方が圧倒的に優れていると思います(本書は、『それでも~』よりも5年も前に出ているにもかかわらず)。

今のところ、原発推進派の本としては本書、原発反対派の本としては『原子力の社会史』を読むのがよいと思っています。
原発に関する技術を理解する上でも、この2冊を読めば、基本的なところは押さえられるかと。

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Posted by ブクログ 2022年09月05日

この本は日本人の「正義」である「反原発」をアナドル極めてアクシツな言論である。
曰く「原子力をやめて化石燃料を使うと大気汚染で多くの人が死ぬ上、温暖化防止に寄与しない。しかも燃料費だけで年間4兆円余計にコスト負担が生じる。」
曰く「閾値なしモデルを使ったとしても、年間100ミリシーベルトの放射線を浴...続きを読むびると0.5%死亡率が上がることになるが、原爆で被爆しなくても日本人の半数は癌になり、日本人の3分の1は癌で死亡するので、統計上は検出が困難。従って100ミリシーベルト以下の被爆による人体への被害は無視できる。」
曰く「原発1基の電力を生み出すための太陽光発電には山手線の内側の面積が必要で、風力発電ではその3.7倍の面積が必要。それも天気まかせであり、安定供給のためには火力発電とセットでなければ使い物にならない。」
曰く「電気自動車はCO2を出さない原発とセットで考えるクリーンなシステムであり、化石燃料で作った電気を使うとなると、電気を作るためのロス、送電中のロスを考えたら自動車が直接ガソリンを燃やした方が効率がいい。」
等々と極めてケシカラヌ「真実」を例示しているので、マスコミが折角煽ってくれている「反原発」の風潮が崩れそうな勢いである。なんとかムシできぬものか。

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Posted by ブクログ 2022年01月27日

筆者独特のとても歯切れの良い文書で、原発の優位性がひたすら述べられている。

ただ優位性を主張しすぎて、都合の悪いデータや想定の考慮はあまり行われていなさそうな感じも否めない。

例えば、原発事故というものすごくレアで予測不能な事象について、過去の実績だけをもとに、他の電力とのコスト比較をするのもど...続きを読むうだかなぁと思う。

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Posted by ブクログ 2021年06月14日

原子力発電について理解しやすい内容になっていました。
化石燃料を使い続けることは問題だし、現在のテクノロジーで原発を使い続けるにもリスクはあるという状況で将来世界人口が増え続ける中、エネルギー問題をどう解決していくか、ベストマッチな方法を取らなきゃいけない。その一つとして今は原子力ではないかという感...続きを読むじでした。
原子力の可能性とともに、エネルギーについて考えさせられる内容で勉強になりました。

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Posted by ブクログ 2020年12月31日

原発に関して、経済合理性や被害の影響度合いの観点から有用性を指摘。原発の仕組みについても素人である私にも理解できるほどわかりやすく説明されている

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Posted by ブクログ 2019年08月05日

原発やめるか7000人殺すか
3.11からの原発不要論を受けて書かれた本.原発をやめることで化石燃料の費用が膨大に増え,火力発電による大気汚染で原発以上に危険な環境になる,など原発がいかに安全で経済的であるかを論文を示しながら記されている.
風力・太陽光の発電については貧弱すぎて使い物にならず,それ...続きを読むぞれの特性が書かれエネルギーのことがよくわかる1冊となっている.放射線に関しても科学的なファクトがまとめられているので,ぜひとも理解しておきたい.
CO2排出による地球温暖化にも触れられているが,それに関しては個人的に半信半疑.

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Posted by ブクログ 2019年05月21日

初心者向け分かりやすい、反原発ダメ論
再生可能エネルギーは世界的に総崩れで、経済的に成り立たないことが実証されつつある。
石炭は安いが、大気汚染の問題がある。
原発事故の被害は大したことはない。
事故の損害賠償金を考慮に入れても、火力のほうがコスト高。
ガスタービンコンバインドサイクルは有望。

...続きを読む陽光発電が経済的に引き合わないのは、うちのケースでは計算済み。
もともと独占企業が作っているわけではないので、今からコストが劇的に下がるなんて信じられないね。

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Posted by ブクログ 2019年01月06日

読んでよかった。 原発に対する考えが変わるし マスコミに対する考えも、 情報は自身で正しく判断が必要

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Posted by ブクログ 2014年06月08日

著者の藤沢数希氏は欧米研究機関で計算科学、理論物理学の分野の博士号取得後、外資系投資銀行で経済分析をしていた方。

感想。別の方のレビューにも書いてあったが、反原発論にデータで反論している本。データに依り過ぎてる感じはするが、話はわかりやすい。
また、「原発の問題点は、経済性でも安全性でもなく、倫理...続きを読む性。原発の恩恵は都会の人が多く受けているのに、事故のリスクは地元住民が大きいこと。」は一番印象に残っている表現。そういうことなんだと思う。

備忘録。
•電気の出力数対比事故や公害による犠牲者数を比較すると、原子力は他の発電方法よりも安全。化石燃料は材料採掘時の事故や大気汚染で年間100万人以上が死亡byWHO。
•メディアが恐怖を煽りすぎ。かつてのHIVやBSEとか。交通事故や自殺とかの方が死亡者数という点では多いのでは。メディア受けするかしないかの違い。
•原発一基=山手線の内側相当の太陽光発電。
•筋違いかもしれないが、原発リスクの議論もいいけど、タバコや自動車のリスクは議論要らないの?との主張あり。

とかとか。

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Posted by ブクログ 2014年04月24日

非常にわかりやすく。目から鱗が落ちる思い。やはりエネルギー保障問題から考えても、高い技術をほこり資源の無い国日本にとって原発はかかすことがないエネルギーだと思う。原発を無くして、火力発電を進めることで大気汚染が進む、資源枯渇に向かう世界において日本は弱い立場に立たされてしまう。今の世論のまま突き進む...続きを読むと5年後10年後には、優秀な原発技術者もいなくなってしまうかもしれない。

まさにダライラマの言葉のように、常に物事は全体を見るべき、一面だけ(今回の事故)のみを見て決めるべきではない。国民自ら国益が何なのかを考えるべきなのだろう。

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Posted by ブクログ 2014年02月03日

感情論に対抗するためにデータを用いて諭すように説明する反「反原発」本。読めば読むほど反原発なり脱原発が単なる感情論であることがよく分かる。まぁ本書が例にしているのが極端すぎるきらいがあったり、書き口が上から目線すぎるのブログでもお馴染みのことなので、慣れてないとそれだけでも反感を買うような気がしなく...続きを読むもないけど。
こういう正論が通じないからまったく議論にならないんだよねぇ。

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Posted by ブクログ 2014年01月18日

知らなかったこと、知りたかった事が一気に解決したと思う。正しいデータに基づいた合理的・論理的な意見展開は、私としては大いに賛同できるものが多く、正しい知識を得て、今後の判断に大いに役立つことになると思う良書といえる。
物理・原子力の難しい話は時々出てくるが、正直そこは読み飛ばしても十分わかりやすい内...続きを読む容であった。
原発は現状なくてはならないのだなという考えに至りました。

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Posted by ブクログ 2013年10月16日

本書に書かれていることを,
そのまま全部鵜呑みにすることはできない。
しかし,原発・放射能等に対して過度に不安になっている人が
本書を読めば,少しは安心できるかもしれない。

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Posted by ブクログ 2013年12月29日

・最大の大気汚染源は自動車の排ガスだが、火力発電所の大気汚染物質の排出は全体の15%程度。WHOの推計から日本で大気汚染によって死亡する人数は3万3000~5万2000人。平均の4万2000人だとして、その内15%=6300人が火力発電による大気汚染で死んでいる。脱原発で発電に占めていた火力の割合が...続きを読む6から9割に増えると、年間3000人ほど死者が増える。

・放射能が漏れるようなシビアアクシデントがあると、周辺の土地に近づけなくなるが、原発1基を太陽光発電に置き換えると、山手線の内側面積とほぼ同じ土地が常時必要になる。

・ビル・ゲイツも言うように、ソーラーや風力はキュートなテクノロジーであり、国民生活を支える基幹エネルギーにはならない。発展途上国は高価すぎて手が出せない。

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Posted by ブクログ 2012年11月26日

世の中は「脱原発で自然エネルギーへ」等というスローガンで溢れていると思っています。今度の総選挙でも、エネルギー関連が争点になるとすれば「原発賛成」ということを言える候補者は殆どいないと思います。かつて郵政選挙で反対の立場をとることが本当に難しかったように。

この本は、原子力を含めた理論物理学を究め...続きを読むた経歴をお持ちである藤沢士が、原子力が他の発電方法(石炭や石油火力、自然エネルギー等)と比較して、実際に比較できるデータを用いて解説しています。

特に、自動車の排ガスや石炭火力発電による大気汚染で115万にもの人が死亡している(p21)のには驚きました。

また、日下氏が以前に、現在のウラン型よりもトリウム型の原子炉を推奨していましたが、その具体的な理由(今まで普及しなかった理由も含めて)が明確になって(p197)私としては嬉しかったです。

このような考え方を本にして世に問うことができる日本は、まだ捨てたものではないと思いました。

以下は気になったポイントです。

・911事件後にテロを恐れるあまり飛行機を避けて自動車でアメリカ国内を移動した人達が、最初の1年間で1995人も路上で事故死している。(p13)

・単位エネルギー当たりの事故や公害による犠牲者の数を比べるべき、1テラ・ワット・アワー当たりの犠牲者数で比較する、原子力による発電は、化石燃料による発電より 1000倍程度安全ということになる(p14)

・1969-2000年の間に、世界で起こった莫大な数ののプラント事故を調査したら、原子力の数百倍の死亡者が出ている(p17)

・大気汚染による死亡者は年間115万人だが、半分は自動車の排ガス、発電所からの大気汚染物質は3割程度、これはWHOによる統計、中国では石炭火力で80%発電して毎年の40万人死亡、日本では3-5万人程度死亡、3割程度が火力発電所によるもの(p21、37、40)

・化石燃料において、石炭が特に危険、次いで石油、一番安全なのが天然ガス、石炭は危ないが、最も安価で経済効率が良い(p24)

・福島第一原発のメルトダウンでは未だに放射能による死者は出ていないが、決壊したダムでは既に数人の死者が出ている(p43)

・年間3万人を超える自殺者、5000人以上の死者、7万人以上の被害者がでる自動車事故、20万人を超えるタバコによる健康被害は大きすぎてニュースにならない(p46)

・原爆の生存者に関する調査では、200ミリシーベルト以上では癌とのリスク向上が明確になったが、100ミリシーベルト以下では全く見つからなかった、更に重要なポイントはこれらは一度に浴びたもの(p52,56)

・チェルノブイリ事故では、20年間の調査結果により、4000人の甲状腺がんが見つかり、現在までに15人死亡した(p62)

・事故直後は放射性ヨウ素の内部被ばくが最も危険、放射性ヨウ素は半減期が8日と短く、数か月するとほとんど消える、日本政府がすぐ出荷停止にしたのは良い対応といえる(p65)

・世界の高放射線地域(年間10ミリシーベルト)住民に健康被害は全く見つかっていない(p67)

・一時は100ユーロを超えていたQセルズの株価は、2011.12で 0.5ユーロ、スペインは財政破綻したので、太陽エネルギープロジェクトへの補助金がカットされたため(p75)

・自然エネルギーが世界で普及しない最大の理由は、太陽光・風力のエネルギー密度(同じ体積から絞り出せる電気エネルギー)が極めて小さいから(p79)

・日本は海外から燃料を年間20兆円程度輸入している、日本の税収が30-40兆円なので巨額、GDPの4%に相当する(p94)

・原発を減らした場合、火力発電所で作られた電気で走る電気自動車の魅力は無くなる、CO2を排出しながら作られた電気が、電力ロスしながら送電線を通って、蓄電池に充電される(p103)

・アメリカと韓国の電気代は安い、石炭比率が高いことと、原発稼働率が高いことが原因(p129)

・アメリカはスリーマイル島事故以来、50基分の新規建設に匹敵するパワーアップをしてきている、また稼働率も6→9割にこの30年間程度で上げてきている(p131)

・PWR(加圧水型炉)は、核燃料に触れる水系統、タービンを回す水系統を分離するので、メンテナンスは楽になるが、設計は複雑になる、今回福島で事故を起こしたのはBWR(沸騰水型)(p149)

・日本では中間貯蔵施設の建設が遅れたので、原子炉建屋内の使用済核燃料プールで、保管してきた(p161)

・原発をやめると、電気を生まない原発の維持費を払いながら、その分の電気を確保するための化石燃料を買う必要が生じる(p161)

・日本の発電量の3分の1を担う原発が排出する核燃料廃棄物は年間1000トン、化石燃料を燃やすことにより排出されるCO2は気体で年間12億トン、環境省によれば様々な産業廃棄物を年間4億トン処理する必要があるとしている(p165)

・日本中の蛍光灯や発熱電球を全てLEDに置き換えれば、原発13基分の節電効果あり(p175)

・シリコンは不純物の種類とその濃度をコントロールすることで、P型やn型半導体にもなる(p178)

・ダライラマも、脱原発に反対した、また自然エネルギーにも懐疑的な見方をした、高価なエネルギーは世界の多くの貧しい人々には利用できないから(p183)

・日本の電力が安定供給できたのは、日本の電力会社が、夏のたった数日間のために過剰な発電設備を持っていたから(p187)

・スマートグリッドは、欧州では、主に風力発電所の電力をうまく利用するための電力系統のことを指し、アメリカでは不足する電力供給力に対して、需要をうまくコントロールするための電力系統のことを指す(p190)

・2010年12月に、中部電力の四日市火力発電所の変電所で不具合が発生し、0.07秒程度電圧が低下したば、東芝のNAND型フラッシュメモリ工場が影響を受けて、月額100億円程度の損失が出た(p192)

・最新の軽水炉(第三代軽水炉:AP1000)は、あらゆる電源を喪失しても重力により原子炉上部に貯められている冷却水が自動的に循環するもので、福島の事故は起きない(p194)

・トリウム原子炉の最大の特徴は核燃料が液状なので、メルトダウンがおきない、空気と触れるとガラス状に固まるので、ウラン原子炉よりも安全、プルトニウムをトリウム液体燃料の核分裂を引き起こす際に使うので、ウラン型原子炉の核燃料廃棄物の処理にも役立つ、これが世界で採用されなかったのは、原爆に仕えるプルトニウムが生成されないので(p197)

・世界の原子力関係者が驚いていることに、福島第一原発の1-4号機について、原子炉への冷却水の循環を確立して、ロボットを駆使して内部燃料を取り出して、正常に廃炉しようという目途がたちつつある(p201)

・911の損失は合計で2兆円(260億ドル)、2993人であったが、その復讐として戦争を開始して、2011年9月11日までに、250兆円(3.3兆ドル=日本の総税収の6-8年分)の経済負担、米兵だけで 6000人以上死亡、民間人は22万人程度が死亡(p203)

2012年11月26日作成

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Posted by ブクログ 2012年10月23日

【日本】現状集められているデータから、未来の在り方について議論する力がこのテーマには特に必要である。脊髄反射的に原発を危険因子扱いにして終わらせるのではなく、既存のエネルギー事業と比較して何がダメで何がよいのか。同じ土俵にあげて議論をしないと話は何も始まらない。本書は、原発または他のエネルギー関連事...続きを読む項の先行研究をかなり丁寧に参考にしながら、慎重に議論を進めている。論理的に、誠実に今考えられる一つの案を掲示している。複雑な要素が関係しているこの分野の基本的事項をこの一冊を読めば学べてしまったのではないかと思うほど、読んでいて分かりやすい。おすすめ。

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Posted by ブクログ 2014年01月15日

知りたいことがうまくまとまっていて、原発に関わるさまざまな事象を把握することができる。ただ、原発のリスクが全て挙げられているとは思えず、他の発電との比較にはもう少し詳細な議論が必要だと感じる。

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Posted by ブクログ 2024年03月24日

3.11の東日本大震災後、反原発が正義となり、原発推進派はそれだけで邪悪な存在となってしまった。
マスコミでは、反原発のデモが繰り返し垂れ流され、科学的知識を持ち合わせた専門家の意見は一切取り上げられなくなった。
こんな風潮に警鐘を鳴らす一冊となっている。

そもそもの前提として、絶対安全、人間社会...続きを読むに全く害のないエネルギーというのは存在しない。また、現代社会において、私たちの生活にエネルギーは必要不可欠な存在となっている。
この前提をはき違えた感情論が先走りしているのが昨今の反原発論調である。

全く無害のエネルギーが存在しない以上、どのエネルギーがよりましなのかという議論にならざるを得ない。
今の日本では、火力発電が主力で、石炭・石油を燃やしてエネルギーを作り出している。
しかし、火力発電というのは、大気汚染の影響が凄まじい。火力発電・車の排気ガスによる大気汚染が原因で亡くなっている人の数は全世界で、年間100万人もいるというから驚きである。

翻って、東日本大震災の原発事故による死亡者はゼロである。
非科学的な風評被害が深刻なだけであって、実は科学的に危険なレベルの放射能漏れは起きていない。
しかし、当時の民主党政権が原発の稼働をストップさせてしまったために、原発や電力会社への風当たりは一層強くなってしまった。
原発を稼働できないことにより、電力会社は古い火力発電所を稼働せざるを得ない。

しかし、火力発電というのは深刻な大気汚染を発生させるため、原発を稼働させていれば亡くならずに済んだ人が、年間で推定5千人ほど出ると言われている。

環境、人体への影響はもちろん、経済的に最も合理的なエネルギーの選択肢は原発なのである。
電力会社も国もそれを理解しているから、原発を推進してきた。
惜しむらくは、国民の反発を恐れて絶対安全という神話を作り出してしまったこと。
リスクとリターンを当初からきちんと発信するべきであった。

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Posted by ブクログ 2016年05月07日

得られるエネルギーあたりの死者は原子力が最小。大気汚染やCO2による地球温暖化を考慮すると、原子力の方がベター。フクシマの失敗を貴重な教訓とすれば世界に日本の技術を示せるチャンスでもある。

原子力と化石燃料、冷静に科学的経済的に見れば原子力に分があるのがわかる。感情的政治的不信感で、化石燃料は空気...続きを読むのごとし、になってるからでは。

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Posted by ブクログ 2015年11月14日

第一章
原子力発電を廃止して火力発電に頼ると単純計算で大気汚染で死ぬ人が3000人増えますよ
第二章
メディアの報道に影響を受けすぎない。喫煙や交通事故による死にくらべたら放射線による死の発生率は圧倒的に低い。
第三章
自然エネルギーによる発電は全体の1%。太陽光に焦点をあてカドミウム系の公害への不...続きを読む安や設置面積等の問題を挙げて非現実性を述べる。
脱原発反対の意見を固めた本なので参考になるが極論的なところが少し気になったかな。

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Posted by ブクログ 2015年01月04日

反原発・脱原発に対する一通りの反論をした本。原発について楽観的で,やや論理の甘さを感じるけれど,論点整理には役に立つし,感情論的な反原発・脱原発を封じて議論の土鯛を作るには十分な一冊。

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