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納得できた
反原発の問題点について、理路整然と書かれている。健康被害の話、代替電力のコスト的な問題点等、凄い納得できた。
当時(今もか)の反原発の空気の中、この本を出した関係者の勇気に敬意を表したい。
併せて反原発の本と読み比べてみると、エネルギー問題をより深く考察する助けになるかなと思った。
Posted by ブクログ
原発を止めろと言う人も、再稼働しろと言う人も、もしかして、ただただ放射能が怖いだけだったり、景気の沈滞が怖いだけだったり、要するに目先のことしかみていないんじゃないかと心配になる。タブーを作らず、反対意見も聞いて、冷静に考えねばならないときが来ていると思うのだが、これでいいのか。ちょっと冷静さを欠くタイトルではあるが、「日本の反原発の風潮に一石を投じよう」という本書を読む。記述には、感情的にならずに、引用文献を示しつつ、事実に即していこうという姿勢が感じられる。
原発を止めて、これまでよりも少ない電力で生活していくというのはひとつの見識ではある。田舎に引っ越して、再生可能エネルギーを最大限利用した新たな生活の仕方を模索する人たちがテレビで紹介されたりする。簡単にまねはできないが美しい生き方だとは思う。しかし現実的に多少の節電をするくらいしかできない大多数の市民にとって、原発廃止論は、原発でまかなわれていた電力の大部分を火力発電でまかなうことを意味する。
原発の危険性は飛行機の危険性に似ている。飛行機事故は多数の死者が出て凄惨ではあるが、単位移動距離あたりの死者数は自動車のほうが多い。いわゆる自然エネルギーで健康被害を受けている人も現にいるのに(例えば風力)それはあまり報道されない。本書に示された推計では、1TWhを発電するのに、火力発電で年間21人の死者、原子力発電で0.03人の死者が出る。火力発電による死者は主として大気汚染、原発はチェルノブイリで癌になって死ぬと推計された(その後20年の調査ではほとんど死んでいないというデータもある)人数である。かくて、原発全廃すると、火力発電の大気汚染で年間3000人以上の死者が出るという推計。しかもダメージを受けやすいのは老人と幼児である。ちなみに太陽光発電による死者は0.44人で、太陽光パネル設置時の転落死者である。
また、こんな数字のあげ方もある。タバコによる死者は日本で年間20万人、大気汚染3〜5万人、自殺3万人、交通事故死5000人(後遺症入れたら7万人)、熱中症による死者2000人、殺人事件による死者1000人、エイズ数百人、福島第一原発の放射能による死者0人。これをみて本書の著者は次のように述べる。年間の死者数が0から数十人の死因はメディアでセンセーショナルに取り上げられる。数十人から数百人は社会問題として扱われる。数千人から数万人以上が死亡するとそれは珍しくも何ともなくなり話題に上らなくなる。たとえれば、常に餓死者が出ている社会では、食べ過ぎで死んだ人がニュースになるというようなものか。
評者は原発の最大の難点は、事故の危険でも、採算性の問題でもなく、核廃棄物だと思っていた。もんじゅもうまくいっていないし、当初、国が想定した核燃サイクルは破綻していると思われるのだが、本書の著者は楽観的だ。とりあえず中間貯蔵施設に収めておけば、将来の資源となる可能性もあるという。
もっとも、原発に廃棄物問題があるとしても、これまで核廃棄物は年間1000トンほどだったが、それに対して化石燃焼を燃やして生ずる二酸化炭素は年間12億トンというように、化石燃料にも問題は多いし、第一、いずれ枯渇するという点を踏まえると、核廃棄物処理問題も絶対的な難点にはならないかもしれない。
そもそも太陽光や風力は自然の状況によって発電量が大きく変わってしまうので、これだけで電力の安定供給は無理で、自然エネルギーで生活していくというのは甘い。太陽光発電のコストが高いことは言われているが、発電のコストを考えると、年間、福島第一級の事故を3回起こして賠償金を払うと想定して、ようやく原発の発電コストが太陽光のコストに並ぶというくらい割高なのだという。また、福島第一の賠償額は4兆5000万円ということだが、原発をすべて止めて火力に代替することで生ずるコストは年間4兆円だという。お金の問題だけでは済まないということはあるにしても、本書の面白いところはこうしたデータを淡々と示していくところである。
それならば、自然から得られるエネルギーだけを使って、低エネルギー生活を模索したらどうだろうか。多くの人はそんな生活に耐えられないだろうという実態は無視したとしても、これに対しては本書第5章のタイトルを挙げておこう。「救える命の数は経済の豊かさに比例する」。具体的なことは本書ではあまり書かれていないが、例えば現在当たり前に受けられている高度な(高額な)医療が受けられなくなる、交通機関の安全対策が経済的理由でおろそかにせざるを得なくなる、など、これは発展途上国の状況をみればわかることだろう。いや、日本において経済格差で癌の新薬を継続できない人がいると報道されているし、高速道路のトンネル事故など犠牲者も出ているし、もはや発展途上国だけのことではない。
地球温暖化問題や地球規模の格差問題を考えると、とりあえず原発で何とか持たせながら、新たなテクノロジーを待つしかないのではないか。原発自体も過酷事故を起こしにくい新型のものが開発されているし、地震対策についても原子力空母や原子力潜水艦が過酷な環境下で稼働していることを考えたら、地震国日本に原発は不適と決めつけるのは技術立国日本としてはいかがなものかと著者は述べる。
結論的には、3.11前の「原発は絶対安全」という思考停止と、その後の「原発は絶対悪」という思考停止の間で知恵をめぐらせることなのだと思う。でないと振り子が反対に振れただけで、いずれわれわれはまた大変な目に遭うだろう。
Posted by ブクログ
タイトルは「原発推進派」を思わせますが、「反「反原発」派」による本、と捉えた方が、より的確な気がしました(結果的に、原発推進派と捉えてよいとは思いますが)。
第1章(発電方法の違いによる死亡者数の違い)、第2章(放射線のリスク)、第3章(再生可能エネルギーの現状)あたりは、『ファクトフルネス』を思わせる内容で、的確な数値を用いて、「反原発」がいかに非現実的な考えであるかが、勢いよく述べられています。
しかし、地球温暖化の話である第4章あたりから、定量的な話が減り、定性的な話が増え、前半で見られた歯切れのよさ、それにともなう小気味よさが薄れているように思います。
また、第6章の「原子力」に関する説明は、わかる人にしかわからない内容だと思われ、この章だけ、文章の質が著しく低いように思います(対象となる読者の設定がおかしい印象。この章だけ、編集者が機能していないのかもしれません)。
とはいえ、原発推進派の本として、この本はかなり説得力のある、よい本だと思います。
ちなみに、少し前に読んだ『それでも原発が必要な理由(わけ)』も、おそらく、本書と同じ思いで、原発推進の主張をしたかったのだと思いますが、原発を推進する理由を述べた本としては、本書の方が圧倒的に優れていると思います(本書は、『それでも~』よりも5年も前に出ているにもかかわらず)。
今のところ、原発推進派の本としては本書、原発反対派の本としては『原子力の社会史』を読むのがよいと思っています。
原発に関する技術を理解する上でも、この2冊を読めば、基本的なところは押さえられるかと。
Posted by ブクログ
この本は日本人の「正義」である「反原発」をアナドル極めてアクシツな言論である。
曰く「原子力をやめて化石燃料を使うと大気汚染で多くの人が死ぬ上、温暖化防止に寄与しない。しかも燃料費だけで年間4兆円余計にコスト負担が生じる。」
曰く「閾値なしモデルを使ったとしても、年間100ミリシーベルトの放射線を浴びると0.5%死亡率が上がることになるが、原爆で被爆しなくても日本人の半数は癌になり、日本人の3分の1は癌で死亡するので、統計上は検出が困難。従って100ミリシーベルト以下の被爆による人体への被害は無視できる。」
曰く「原発1基の電力を生み出すための太陽光発電には山手線の内側の面積が必要で、風力発電ではその3.7倍の面積が必要。それも天気まかせであり、安定供給のためには火力発電とセットでなければ使い物にならない。」
曰く「電気自動車はCO2を出さない原発とセットで考えるクリーンなシステムであり、化石燃料で作った電気を使うとなると、電気を作るためのロス、送電中のロスを考えたら自動車が直接ガソリンを燃やした方が効率がいい。」
等々と極めてケシカラヌ「真実」を例示しているので、マスコミが折角煽ってくれている「反原発」の風潮が崩れそうな勢いである。なんとかムシできぬものか。
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