くじょうのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ前作のレビューに「彼が描き出したその絵に、またどんどん色が仲間が増えていってほしいと思う」と書いたが、それが現実になってくれた2巻。
表紙にもそれが描かれている。
読み終わってから改めて表紙を見ると意味が分かるものがあって感慨深い。
性格も立場もバラバラな4人のほっこり家族物語。
すみれちゃんを甘やかす大人二人は今回も健在。
特に青藍さんは他のものにも懐かれて、表紙のように不機嫌顔。
それでも突き放さないのは、やはり彼の生来の優しさだと再認識した。
前回登場した青藍さんの絵も感嘆ものの美しさだったが、今回も本当に美しい。
舞えば降る雪が見えるという扇が特に描写も巧みだったので、本当に本当に美しくて。
それを賛辞する語彙がこちらにないために上手く伝えられずに申し訳ないが、とにかく凄い。
それに纏わるエピソードは切ないものもあるけれども。
今回登場した新キャラたちは、特に朝日さんには穏やかな日常を送ってほしいと思う。
今まで男性に対して碌な目に遭っていないので。
今の彼女の周りには心優しい人たちが大勢いてくれるから大丈夫のはずだが、本当に報われて欲しいと思う。
そして、今回は茜ちゃんが一歩踏み出す話も。
前回はすみれちゃんが乗り越える話が大きなエピソードになったと思うが、今回は甘え下手な茜ちゃんが乗り越えるお話。
この話に出てくる青藍さんの絵も素晴らしくて、エピソードと相まって本当に泣けた。
文字でそれだけ表現できるって、作者さまの筆力が凄い。
何より安心したのは、不器用で甘え下手な茜ちゃんがちゃんと「泣けた」こと。
いつもどこか一歩引いていて、自分のことは二の次で、何でも一人で抱え込んじゃう。
今回も一人で動いてしまったから、青藍さんも動く大ごとに。
でも、そのお蔭で茜ちゃんは再び父と母を取り戻せた。
妹とも寂しいと思う気持ちを共有できた。
「泣けた」ということは、それだけ感情が動いたということ。
そしてその涙を受け止めてくれる人がいてくれて、泣いていても突き放さず見守ってくれる家族がいてくれることの何と幸福なことか。
彼女が一人で泣いたのではなくて本当によかった。
その場に、彼女の父母を分かってくれる人と、今の家族がいてくれて本当によかった。
例え死に別れても、血の繋がりはなくても、家族の絆がいかに偉大で大切だということを教えてもらえた、そんな心地がした2作目だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ確かに人嫌いではあるけれど、本来は面倒見のいい優しい人物なのだろう。
ただ彼の置かれていた環境や境遇が、それを素直に許してくれなかっただけで。
ここで舞台が「京都」ということが非常に活きてくるなと感じた。
偏見かもしれないが、京都の芸術系を嗜む旧家となると、それだけで血縁者がどのような境遇でいるのか、言われなくてもある程度想像できるのではないだろうか。
特に絵師の元に集う人々は、そんな旧家の出ながら彼らとは相容れない立場の人たちだったから。
実家から駆け落ちで飛び出した父に先立たれ、叔父の家で肩身を狭くして暮らしていた姉妹。
旧家から逃げ出そうとした従姉を救えなかった青年。
そして、その家で唯一絵の才能に恵まれながら、その家を出るしかなかった若き絵師。
そんな彼らが家族になれる場所、それが「月白さんとこ」だ。
勿論最初から上手く行ったわけではない。
姉はいつか家を出て行かなくてはいけないと分かっていて、月白の家でもずっと余所者として縮こまっていた。
妹は絵師に懐きながらも、秘密を抱えていた。
青年は様々な女性と仲良くしながらも、ずっと従姉のことを引きずっていた。
そして若き絵師は、亡き師匠との約束をまだ果たせずにいた。
そんな彼らが美味しいご飯を囲み、規則正しい生活をし、大の大人がこぞって妹を可愛がり(可愛がる気持ちは非常によく分かるが)姉にびしびし怒られている。
何と微笑ましい家族だろうかと。
決して彼らの周囲は優しい世界ではないけれど、笑える場所が安心できる場所があるということは、きっとこれから先の彼らの支えになる。
その結果、若き絵師は亡き師匠の課題にようやく筆を載せることができた。
その道はまだまだ長いものになりそう。
彼が描き出したその絵に、またどんどん色が仲間が増えていってほしいと思う。
それはきっと叶わない願いではないだろうから。
今の彼なら。