あらすじ
父が亡くなって一年、茜とすみれの姉妹は、京都岡崎の月白邸で、天才日本画家の名をほしいままにしつつも人嫌いの若き主、久我青藍と、出入りの絵具屋で太陽のようにあたたかな人柄の紀伊陽時と、家族のような絆を感じながら暮らしていた。そんなある日、かつて月白邸と取引のあった扇骨屋の依頼で、青藍は岡崎の古い洋館に障壁画を納めたのだが、ある少年に「その絵はニセモノだ」と指摘されて……(「鳳凰館の夕暮れ」)他二編。冬から春へ想いの芽吹く季節に〈色々〉家族の、はんなりほっこり京都物語。
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Posted by ブクログ
今まで茜ちゃんは頑張り過ぎていたから、風邪で弱る姿に不謹慎ながら安堵してしまった。
体も心も休む時間が必要だし、甘える日があってもいい。
まだ高校生なのだから、一人で全て抱える必要はない。
今は支えてくれる大人も、お姉ちゃんのために頑張る妹もそばにいるのだから。
後は、学校の方でも安心できる居場所ができるといいのだけれど。
「正しい」と評される京都人らしい新キャラの登場。
月白さんと先代東院家当主との知られざる繋がり。
そして、青藍と珠貴のまさかの共同作業?(なお絵を描くことではない)
今回も印象的で魅力的な物語だった。
キャラの掘り下げが進み、より深みを増していく物語。
その分、青藍の桜の絵もさらに賑やかになっていく。
ただ完成する頃には、茜ちゃんたちの巣立ちになるやもという予感もあって、寂しさも覚えたり。
……月白さんとこの大人たちは、ちゃんと巣立ちのことを考えているみたいだし。
その割に、茜ちゃんの彼氏になるには、面接をパスしないとダメみたいだが。
過保護である。
保護者としてか、それとも……かは、妄想過多かな。
Posted by ブクログ
月白邸に茜とすみれ姉妹が住み始めて半年が経つ頃、かつて月白邸で取引のあった扇骨屋の依頼で「鳳凰館」に障壁画を納めると、とある少年に偽物と指摘され…
青藍が苦手とする海里。正論しか言わない為に心に棘が刺さる。それでも、心地よい言葉しか言わない人の言葉より刺さりました。欲しい言葉ではないけど、前向きになれる言葉をくれる人ですね。
先代の絵が発見され、「わが息子へ」と書いてある。青藍は兄の珠貴の事だと言い、珠貴は青藍だと言う。その絵によって、ある隠し部屋へと導かれ、蒼翠と春嵐の雅号の由来が実は父の命名だったと判った時、兄弟の確執が少し氷解したのがじんわりきました。