矢立肇・富野由悠季のレビュー一覧
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読み終わった後、何と言ってよいのかわからない感情に襲われる問題作。
中身は、機動戦士ガンダムを生身で再現する男、木戸銭寺淡泊(きどせんじたんぱく)が、同じく生身でMSそのほかにそっくりな登場人物たちと、本家ガンダムストーリを無理矢理再現していくギャグマンガ。だが、本家同様ララァの登場とともに物語は一気に核心へと迫る。明かされる某ハリウッド映画を思わせる設定と、それを踏まえたシニカルなラストには複雑な気持ちになる。
絵柄は癖が強く読み手は選ぶかもしれないけど、よくこんなデザイン考えたなあと感心。そしてララァのあの名場面再現カットは秀逸。まさにカルト的一作。 -
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『ラプラスの箱』解放から1年が経った宇宙世紀が舞台の物語ですか。あれだけの騒乱と覚悟と願いの果てに『箱』が開かれたというのに、大して世の中が変わらなかったというのは虚しいね…
ただ、本作の場合は単純に『箱』解放から1年が経った世の中を舞台とするだけでなく、むしろジオンが地球にコロニーを落としてきた悲劇をこそ源流としているのか
予知のような形で人々を悲劇から救った三人の子供達、『奇蹟の子供たち』こそ新たなる騒乱の始まりのようで
源流のズレは新たなる物語の開始を意味するわけだけど、それでもUCとNTを繋ぐ存在が居れば物語は繋がっていると感じさせる。その役はあのマーサに任せられた感じか
ユニコー -
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圧倒的な物量でユニコーンやバンシィを押し潰さんとするネオ・ジオング。おまけにフル・フロンタルが見せてくるのは刻の終わりですか
どれだけの奇跡によって可能性が示されても変わらずに争いを続けた人類が行き着く先。それこそがフル・フロンタルが見たニュータイプとしての絶望か…
未来への可能性を考えられなくなったフル・フロンタルにバナージが示すのは「それでも…」という人間の可能性と刻の終わりに至らない永遠の光
正直、この辺りの描写の意味は観念的過ぎて自分にはよく判らなかったりするのだけど、空っぽの器でしかなかったフル・フロンタルが本物のシャア・アズナブルと巡り会えた、その一点でフル・フロンタルが持ち得な -
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サイアム・ビストが語る宇宙世紀の始まりと、そこに秘められたささやかな善意。
これから果てしない世界へ送り出される宇宙棄民への贖罪の一文。最初は何の意味もなかったそれがジオン勃興とニュータイプ神話に拠って意味が様変わりし、憲章に関わる人々を呪い縛り、それが知られた時に何が起きるか判らないという恐怖を刻み込んだ
それこそが『ラプラスの箱』の正体だったわけだ
いわば『箱』は可能性そのものだね。憲章の一文も未来の可能性に言及しただけ、その憲章を今持ち出しても連邦が認める可能性は少ない。だが旗印にしたい者達が新たな闘争の御旗として掲げてしまう可能性がある
ユニコーンガンダムを巡る一連の旅もいわば可能性 -
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本作において、かなり異質なエピソードを含むこの13巻。けど同時にネェル・アーガマでの内紛を描くことで異なる立場の集団による信頼や許容の難しさをこれでもかと表現しているね
前巻ではユニコーンが発する虹の光に包まれた事で連邦とジオンの間に和解への道が開かれたのではないかと思われた。でも、その程度の奇跡で和解できるなら、それこそアクシズショックの時に和解できていたはず
それを思い知らされる内容だったね
ネェル・アーガマに拾われマリーダも救出できた状況。ジンネマン達としてはそれだけで充分と言えるかもしれないのに、戦争が終わったわけではない彼らはその程度で平和なんて享受できない
というよりも対策と監視 -
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マリーダやミネバだけでなく多くの人を助けたいバナージ、ミネバだけを助けたいリディ。そこにこそ大きな差が生じてしまった気がするよ
体制に抗い続ける人間、体制に呑まれてしまった人間。そういった両者を前にしてザビ家の生き残りとして藻掻き続けるミネバが手を取りたい相手なんて決まってる
だからってあの状況で瓦礫から手を離して自由落下を選択するのは度胸があるとかそんなレベルじゃないけど
バナージを信じていたから飛べる。バナージなら助けてくれると確信しているから待てる
人を傷つけ殺すしか出来なかったユニコーンでようやく大切な人を助けられたバナージは大きな分岐点を正しく乗り越えられたように思えるよ
ミネバを -
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バナージの意思で止められる筈のパラオでの戦闘。けれど、戦闘を止める為のマリーダとの会話が逆に戦闘を引き伸ばしてしまうという……
これを欲をかいたと表現すべきか、それとも戦闘を止める為に全力にならなかったと見るべきか…。また、バナージにとって不幸と言えるのはNT-Dの存在だね。ニュータイプを殲滅するシステムはバナージの意思に反して苛烈な戦闘を行ってしまう
常人には不可能な戦闘はバナージがユニコーンの処理装置となる事で成立してしまう。戦いを忌避するバナージの存在が戦いを継続させる構図はあまりに残酷
だからこそ、最後の最後に意思をねじ込んでユニコーンを止めてみせたバナージは変化の兆しを手にしたといえ -
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巻の前半はフル・フロンタルの襲撃後の話
面白いのはリディとバナージが似た構図を取り始めた事か
リディは敵方であるミネバから、バナージは敵方であるマリーダからそれぞれ異なる立場の話を聞いた。そして最終的に敵方を助けるため、もしくは敵方こそ自分を助けてくれる存在になる
よくガンダム作品は単純な勧善懲悪でも正義と悪が対峙する物語でも無いなんて言及されるけど、バナージとリディが異なる所属の人間と交流する様が描かれる事で、これまでただの敵と思われていた相手の事情が見えてきて、ガンダム作品らしくなってきたように感じられるよ
そんな中で描かれたバナージとフル・フロンタルの会談は意味深な部分が多いね
フ -
購入済み
ガンダム オリジン
TV版より性格が苛烈なセイラさん。コロニー内で逃げ遅れた人達を回収中、車を奪おうとした男たちに拳銃を発砲し威嚇。去り際に、「宇宙のチリになってしまえばいい」は言いすぎ。せめて「男なら自力で港まで行きなさい」くらいにしてもらいたかったな。
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デラーズ紛争後の地球圏で、台頭するティターンズ。紛争直後の混乱の中、巡洋艦アル・ギラに配属されたモンシアたち。任務で訪れた農業コロニー「アマテラス」で、ネオ・デラーズ・フリートを名乗るジオン残党との間に戦闘が発生します。ネオDFを率いるのは、死んだと思われていたガトー。彼が本物なのかもわからないまま、コロニー内での戦闘は続きます。
REBELLIONのモンシアは、バニングが戦死したショックを引きずり続けてしまい、復讐に囚われることを否定できず、感情の行き場をなくし燻り続けている有様。デラーズ紛争中は、ガトーという目的が感情を向ける先になっていたものの、生死不明となってしまったことで、自家中毒 -
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マフティー動乱からF91までの宇宙世紀の狭間に位置しているF90FFの物語。OMの予備知識があれば、もっとすんなり流れが把握できるのだろうか、というのは読み始めた当初から感じていることです。そこを知らないから楽しいのだけど、一方でファンサービスの小ネタを楽しみたいという感覚もある。
ディルたちFF隊に絡みついている陰謀のきざはしがちらほら見えてきている6巻。結局のところ、ニュータイプを待ち望む人々はいなくなることはなく、戦争の道具として使われてしまうという結果は、変わりはしないのかな。
巻末おまけのメカニック座談会が楽しい。
アメトーークの「〜芸人」が楽しいのと、同じです。いい大人が脇目も -
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「ポケットの中の戦争」のコミカライズ。
漫画の方では、OVAの前日譚から始まります。北極基地襲撃よりも前、サイクロプス隊が特殊部隊ということを見せつける開幕です。
「ポケットの中の戦争」というと、やはりラストシーンですよ。あの結末どうするのか。小説版だとバーニィ生き残っているのですが、どうするんだろう。
正直、バーニィの死を経験することによって、アルは戦争を体験し成長するので、死ななければいけないとは思うのですが、はてさて。
OPは名曲「いつか空に届いて」。まだ夢と希望だけを握りしめて走り続けていられる少年の歌。その日々の終わりはいずれ訪れるけども、アルの場合はバーニィとの別れでした。バー -
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ガンダムXコミカライズ3巻、最終巻。
ニュータイプは特別でなく、ただの幻と切って捨てたガンダムX。ボーイ・ミーツ・ガールの王道のガンダムX。そこに、新人類という不可思議な存在は必要なかったということなのでしょうか。新時代を生きるための存在としてのニュータイプ。その幻を捨て去ることができなければ、新時代を築くことはできないという皮肉。
ここは結構好きな演出です。
生まれつきの特殊な能力があるわけでもなく、戦いの中で何かの異能に目覚めるわけでもなく、ただただ好きな女の子のことを思って駆け抜けたガロード。
ガンダムシリーズにつきまとう悲壮感とは無縁だったのは、彼のカラーが大きいです。
そのせいで