椎名優のレビュー一覧
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物語がクライマックスに向けて動いています。激動です。前回からの続きで、ケイと春埼の関係がどうなるのか不安だったのですが、思った以上にしあわせな関係になっていてすっごくしあわせな気持ちになりました。しかし、そのしあわせな展開からの、相麻との会話や、浦地の計画、春埼の時間が巻き戻ったりと…怒涛でした。絶望的な気持ちになりました。このあと1冊しかないのに、みんながしあわせになるのか、計画は阻止できるのか。記憶は無事に戻るのか、心配です。ケイがどこまで信念を元に行動できるのか。彼の素敵な能力と言葉と対話で世界が、桜田が救われることを望みます。そして相麻と浦地も救われますように。
河野先生は、やはり言葉がきれいです。切なくてでも暖かくて、気持ちがいい。哲学的なお話も新しい視界が開ける気がします。独特な考え方や独自の世界観が大好きです。 -
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三巻にしてようやくケイ、ハルキ、相麻の出会った二年前の話。ここでようやく張り巡らされていた伏線がすこし回収されてすっきりしました。ハルキとケイがどうしていまの信頼関係を築けたのかわかってよかったです。あと、やっと智樹の出番がきてうれしかった。ハルキが、そしてケイもとてもうつくしくて尊い人で、だれよりも善人である二人が、とても愛しい生き物に思えました。感動的な場面でもないのに、二人のあまりの澄み切ったうつくしさにある場面で泣きそうになりました。ハルキの涙はうつくしい。
そして、相麻が無事生き返ったことによる今後の展開が気になります。相麻の目的や意図が不明なのが、いいですね。どんどんおもしろくなっていて、物語に引き込まれます。作者の不思議な言い回しや比喩表現、哲学的な話が大好きです。自分にはない思考で、いつも考えさせられます。 -
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4つのお話からなる、連作短編集。
それぞれのお話で主人公がかわりますが、
必ず脇役に死神の少女が登場しており、誰かの死に方が語られています。
死ぬ前につくと決意した嘘、死ぬ前に自分がやるべきこと、
死ぬ前に諦めたくないこと、死ぬ前に守りたいもの。
書かれているのは死ぬ前から死の瞬間までですが、
それによって描かれているのは生き方なのだと思います。
綺麗な死に方、ひいては綺麗な生き方、
そういうものはどういう形をしているのか、思わず考えさせられました。
色々なライトノベルがあると思いますが、
個人的にはライトノベルの型だけには閉じ込めたくないと思える作品でした。
魂のリサイクルという人の死後の考え方や、
4つのお話の微妙なつながりも素敵です。
ちょっと澄ましたような文体も好みでした。
本の終わりには突然道が開けたかのような、
しばらく心に残る爽快感があります。
短編集なのでどこから読んでも間違いはありませんが、
1つめの物語から順に読み進めていくのがおすすめ。 -
Posted by ブクログ
ロンドンの寄宿学校に特別寄宿生としてやってきた富豪のクルー大尉の一人娘、セーラ・クルー。誰に対しても優しく、素敵な物語を作るのが得意な彼女は、まるでお姫様の様に贅沢に過ごしながらも決して高飛車になることなく、たちまち皆の人気者に。同級生のアーメンガルドに小さなロッティ、召使いのベッキーと仲良くなる彼女に、しかし悲劇は唐突に訪れる。クルー大尉が亡くなり、無一文で身寄りのない孤児となってしまった!? まさに天から地へ落ちるが如く一変し、まるで奴隷のような生活を強いられてしまうセーラ。しかし持ち前の想像力でどんな苦境も乗り越えていく彼女に、ある日信じられない奇跡が起こり――
世界的に名作なバーネットの一編がついにつばさ文庫に登場。以前は「秘密の花園」を読みましたが、「秘密の花園」以上にこの「小公女」は私の姉が大好きな作品で、前からちゃんと読みたいなと思っていました。姉と話がしたかったので。ダイジェスト版で何となくストーリーは知っていたり、あと09年に放送された志田未来ちゃん主演のドラマを見ていたりしたのですが、ちゃんとしたのを読んだのは初めてです。普通のつばさ文庫よりも文字がびっしりでひょっとすると完訳に近いかも?
最初はセーラが完璧超人過ぎて、読んでいるうちに自分が好きなのは、と言うよりもむしろ興味があって自分が描いてみたい、内面を掘り下げてみたいと言う人物は、ラヴィニアとかミンチンなど意地悪な方なんだなあ、と感じたり。セーラをついつい妬ましく思ってしまう、そういうのってすごく人間臭い、自然な心の動きですよね。だから自分は「人間臭い」キャラクターが好きなんだなって。セーラが(まるで八犬伝の八犬士が「仁義八行の化け物」と呼ばれたようにではないけど)まるで人間離れしてるとかそういうことを言っているのではなくて、他で言うと落語とか、自分の好きな文芸や芸能では私達に近い人物(卑小な人物)が主人公となっているから、そう言う小さい人物にある物語ってのを自分はより好むんだろうなと思いました。そちらの方がより説得力があると言いますか。
思わず落語が出たけど、セーラが自分の語る物語に自分でも熱中してしまうところはまるで噺家のようだ(笑)と思ったりw ああそう、さっきの文脈で言うとセーラよりも「秘密の花園」のメアリの方がどっちかと言うと好きです。でもセーラも好き。だけどセーラだってメアリみたくなる可能性はあったわけで、そうならなかったのはクルー大尉の育て方が良かったのか、それともセーラ自身持って生まれたもので何か違っていたのか、という。でもセーラだって全部素晴らしく出来た完璧超人と言うわけでなくて、ちゃんと怒ったり、ミンチン先生を嫌いだと思ったり、もう駄目だと思ったり、エミリーに当たったり、そういう負の面も書かれてて(当たり前なのかもしれないけど)よかったです。「プリンセスのように」とよく書かれるけど、それは人として誇り高くあれ、どんな過酷な状況においても希望を捨てるな、諦めるな、夢を見続けろ、そういうことなのだろうなと思いました。特に好きなのはアンにパンをあげるところ。じわっときました。あとドナルドからの6ペンスを貰ってしまうところとか。自分もこうだったのだ、とあさましく思うところ。セーラ以外ではアメリア先生がミンチン先生に最後ぶちぎれるところとかすごく好きです。それとラストシーンのパン屋でのアンとセーラもすごく。
「小公子」もその典型だけどこの「小公女」も一種の貴種流離譚で、でも最後には(勧善懲悪と言うわけじゃないけど)スカッと胸がすくわれる、報われる話なのできっと日本人ウケがいいんじゃないでしょうかこの話。私もセーラのようにどんな苦境においても相手を想える想像力や誇りや夢、希望を失わず生きていきたいな。