池宮彰一郎のレビュー一覧
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池宮さんの著書は初めてだったが、尊敬する人から勧められて手に取った。何となくこれまでの教養でイメージしていた平清盛に対する人物評がいい意味でガラッと変わるとともに、著者の知見と考察力に圧倒される。
物語序盤の平治の乱から物凄い数の人名が出てきて若干話がすっと入ってこなかった面もあったけど、特に後半、清盛が直面した、藤原摂関時代に根付いた官僚政治の弊害には物凄いリアリティがあって、あっという間に引き込まれた。「何となく悪役」という印象を持っていた平清盛のイメージは、この1巻だけを通じて、腐敗政治に救国という大志を掲げて挑む一人の英雄にすっかり変わった。本著の平清盛が何を考え行動していくのかを追 -
購入済み
戦国時代から明治維新までを扱った時代小説短編集。いずれも格調高い文体で、過去の資料や記録を丹念に
調査した上で書かれている。最初の「九思の剣」はあまりの展開にそこまでやるのか、と息をのんだ。最後
の「風塵」は考えさせられた。今まで栄えていた国や人が歴史の大きな流れに翻弄され、滅び去っていく
さまはコロナ禍に振り回される今の世の中そのもの。いつの世でも諸行無常というのは共通しているようだ。 -
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岐阜を得てからの信長さんのお話。
とてもコンパクトに淀みなくお話が進んでいきます。
歴史の流れもわかりやすかったです。
このお話の信長さんは優しさと厳しさをバランスよく併せ持っており、とても懐が深く、人間味がありました。
これは惚れちゃう!
朝倉&浅井父子の髑髏杯も生と死を見つめ武士として己が今やっていることへの使命感と決意を忘れないためだったし、比叡山や伊勢長島の一向一揆殲滅も腐敗した既得権を徹底的に打ち壊して少しでも早く多くの人の幸せをかなえるためとされていました。
キレイごとで社会は納まらない。
理想を夢想するのではなく現実にするために信長さんは戦い続けていたし、謀将を持たずにすべ -
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映画は観てないけど小説をと思い。
よくある忠臣蔵とはまた違う良さだったし、たぶん映画より小説の方がいいのでは?と思う内容。
ちゃんと描ききれたのかしら…?って。思う。
討入りに参加したけど参加してない人
もしくは途中で逃げた人、お家大事でじっと堪えた人
愛する人を待っていた人などなど
色んな人が出てくるけどそんな寺坂吉右衛門。
最初も途中も最後も泣けるやん…
まぁマニアな人が横から、いや史実云々言うかもしれんが
そんなのは百も承知。うるせぇよ!!と。
討入りした志士ももちろん壮絶だけど
残された家族や、参加していない300人の藩士達のこととかも含め
今後の活計まですべてお見通しな大石内蔵助。
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友人に勧められて一読。
本当に面白かった。虚実とりまぜた究極のエンターテインメント。歴史が疎い人であればノンフィクションとフィクションの境目も分からないでしょう。
なんといっても松岡洋右。史実上の松岡といえば国際連盟脱退から始まり、日独伊三国同盟・日ソ中立条約の締結、アメリカ国務長官コーデル・ハルとの日米交渉。よくも悪くも評価の別れる、日本外交の重要な局面に関与した外交官、外務大臣だ。
小説は、松岡の業績に於ける初期、満州事変から国際連盟脱退に至るまでの間を書いている。
国連退場を決意した時の松岡の心境を考えると胸がアツくなる。戦前の日本には、国際外交の謀略を理解し、大国相手 -
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面白かった
忠臣蔵ですが、どちらかというと抗争・戦闘エンターテイメント
単に仇討ちという展開ではなく、大石内蔵助Vs色部又四郎といった赤穂浪士と吉良家・上杉家との謀略・抗争劇です。
いよいよ下巻です
戦に先立ち、武器・食料の調達。さらに鎖帷子を装備することから、決行日は最も寒い冬の夜半から明け方と決めます
この智略がほんとすごい
一方の色部も内蔵助の動きを諜報
そして、二人は屋形船で対峙することに!
ここ緊張感あります。
決行日に向けて、いよいよ刺客たちが選りすぐられていきます。
一方吉良の新屋敷構築で守りを固めようとする色部
さらにその新屋敷構築の材料・構築様を探査・探索させる内蔵助。 -
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面白かった!
忠臣蔵ですが、どちらかというと抗争・戦闘エンターテイメント
単に仇討ちという展開ではなく、大石内蔵助Vs色部又四郎といった赤穂浪士と吉良家・上杉家との謀略・抗争劇です。
上巻では、
浅野内匠頭と吉良上野介の刃傷事件の後始末を色部がどのような経緯で行ったかが描かれています。
吉良家・上杉家をを守るため、十分な調べをせず、即日切腹、箝口令という手はずまで!
一方、その知らせを受けた内蔵助も動きます。
しかし、この時代、うちうちにお金をしっかり持っていたというのが強い(笑)
そして、これを戦ととらえて、準備を始めます
さらに諜報戦
吉良に賄賂疑惑を作り出し、金をかけて流言!面白い
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ネタバレ 購入済み
幕末の志士、高杉晋作の活躍
西洋列強の国々が日本の海に現れた時、長州は藩是を尊皇攘夷主義に統一した。幕府が、アメリカと通商条約を締結して鎖国から開国に政策を変更したことで、そのことを不服として長州藩の若き志士だった高杉晋作は、仲間の久坂玄瑞、桂小五郎らと倒幕を目指した。京都で「禁門の変」と呼ばれる戦さを引き起こしたが、薩摩藩と佐幕派の会津藩の同盟により失敗、敗北して長州は京から一掃されてしまった。
自ら髪を切り故郷に帰った高杉は野山獄に監禁された。この後、幕府の長州征伐が始まるのが当然予想される。
長州藩政はそれまで勤王派でまとまっていたものの、徳川幕府に従う佐幕派が優勢になり、藩内は内部分裂、内戦の状態に陥る。この