沢村凜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレミステリベースの短編集。
カタブツという話があるわけではなく、各話の主人公の頑なさを象徴している。
『バクのみた夢』
不倫カップルがこの不適切な関係を終わらせるためにはどちらかが死ぬしかない、と決意するところから始まる。
妙に生真面目な二人の出会いから暴走する愛の結末まで。
一歩引いた視点だなあ、と思って読んでいたら、最後になんともうまいオチがつけられていた。
物語としては一番好き。
『袋のカンガルー』
面倒見の良すぎる主人公が、失恋のたびに家に転がり込んでくる亜子に振り回される話。
主人公の成長物語か、と思わされたけど、これまた最後にひっくりかえった。
亜子は明らか -
Posted by ブクログ
象徴的な存在として敬われる紫姫。ただし子をなさねば殺され、なんの実権もなく、彼女の命を狙う暗殺組織さえ黙認される。他にも奴隷制、旧態依然のままを良しとする農耕制度、神の起こした奇跡の解釈などの複雑な社会システムによって危うい繁栄を維持する紫姫の国。
紫姫を守る為の組織に身を置いたソナン。神の戯れに抗うすべもないウミ。そして泥濘の中でもがき苦しむフームーの運命がやがて交錯する...
重厚な人物造形、予想外のストーリー展開に身を委ねつつも、気がつけば残り少ないページ数でどう決着をつけるのかと思いきや、まさかの急展開とサプライズで物語は幕を閉じる。
ボアセルやメダマの登場が何の伏線でもなかったのも -
Posted by ブクログ
船員として異国パロロイへ向かう青年ソナン。だが到着間際になって、パロロイに着いたら奴隷として売られてしまうことが判明する。決死の逃亡の末に絶壁の岩棚に流れ着いたものの、もはや死を待つばかり。そこに現れたひとりの娘とのわずか数日間の邂逅。彼女に再会する為に、なんとしてもこの国で生き延びなくてはならない...
流転の骨太大河ファンタジー「ソナンと空人」の姉妹編で、前作にも登場したもう一人のソナンの物語。前作では思わせぶりな割に出番が少なく、確かに不審には思っていたのだが、まさかこういう仕掛けだったとは。
とはいえ、細部はもうあまり覚えていないので、もしかしたらシリーズ通しての伏線、目配せなどある -
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Posted by ブクログ
『ソナンと空人』全4巻を読み終わった。
沢村界のヒーローは、思想が青臭くて強くて男にも女にも好かれ、崖に向かって突撃するかのような極端な行動に出易く、ついでにそうはならんやろ的な事件も起こって生き残るものの処刑されてしんみり偲ばれる。そんな傾向があるので、今回も処刑されたかと思ったら生きてた!最後唐突に打ち切り漫画みたいな後日譚になったから処刑されたかと思ったぞ。
祖国や親父について別に描きたいことはないから省略したらこうなっちゃったんだろうけど、本作が沢村界とのファーストコンタクトだった人はビビる…というか、キレるんじゃないか?
それはともかく、異世界転生しなくても生き直しはできるよ、過去は -
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