月子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文士を本人とはかけ離れた姿形、人格で描かれるコミックにはもう辟易していた。
勿論彼等は生身の人間であり尚、私にとっては神様である。
文学史や文壇四方山話なんかは、毎度神々の戯れの様、古事記の様に読んでいる傾向があった。
そんな訳で、自分にとっての神々を無理矢理、人の形をした妄想の道具に貶められるのは御免だ。
だがそう言った面で本作は、本人と乖離した物語、全くのフィクションとして楽しむ事が出来る。
それはやたらめったらラメを塗りたくる様に、彼等をきらきらと輝かせる所業が見受けられないからである。
そして中原中也、小林秀雄等の繰り広げた愛憎劇が、実際に崇高なストーリー性を持つからだ。
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