新庄嘉章のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の少年は裕福かつ教育熱心な家庭で育ってきて言葉も早熟だから主体的に愛人・マルトを懐柔しているかのように表現がされているけど、実態はマルトが主人公からの自分への情熱をよく理解していて支配欲を満たさせているかのように見せながら思いのままに操縦しているのかと思った。
欲求不満と言うよりも承認欲求を満たしているかのような。
マルトが戦地に赴いている夫に手紙をしたためている場面は特に顕著。本心じゃ無い言葉は書きたくないと言いながらも主人公に言われるがままに夫への愛の言葉を連ねていくけど、気持ちの揺らぎを見せることで悲劇の妻を演じているのではという印象だったし。たぶん後ろめたいなんて思っていない。 -
Posted by ブクログ
恋に夢中になる気持ち
周りの助言から耳が遠くなっていく気持ち
嫉妬で気が狂いそうになる気持ち
夜中相手の考えを想像して眠れない気持ち
プライドを守って相手を傷つけて満足しようとする気持ち
相手のために苦しみを受け入れる気持ち
恋にまつわるあらゆる感情をこんなに事細かに描いている小説は初めてでダイレクトに心に届いてくる感じだった。
頭で考えて固く誓ったつもりでも相手の前に立つと全部吹っ飛んじゃうような感覚、それこそが愛だと信じる感覚、めっちゃ共感
こんな昔の話なのに今も共感しちゃうって、恋をした人間の行動は昔から変わらないものなんだな。
また何年後かに読み返したい。
-
Posted by ブクログ
大学のフランス文学講義の予習で読みました。
フランス文学は人間の内面を緻密に表象していくのが特徴的ですが、「肉体の悪魔」では感情をどこか俯瞰したような機械的な描写で内容が濃かったです。
マルトと僕のお互いのバランスの駆け引きが一文で記されたりしますが、何倍も時間をかけてじっくり読みました。
主人公「僕」もそんな語り方の癖を自覚しているかのように、このように語っているのが面白いです。
『父の首尾一貫しない行動の理由を知りたいという人のために、僕が3行で要約してあげよう。最初は僕を好き勝手に行動させておいた。次にそのことを恥じて、僕よりむしろ自分に腹が立ち、僕を脅した。だが結局、怒りに流さ -
Posted by ブクログ
先に『女の学校』『ロベール』を読んでおけばよかつた。
ひとつの家族のそれぞれから描いた一連の作品の中でも、娘からの書簡といふ形式である。
社会的には女性のどうこうといふもののやうであるが、それ以上にひとを愛するといふ彼が生涯通じて求め続けたひとつの形であつたに違ひない。
ひとが愛しあふと結婚して家庭をもつ。それが彼には不思議で仕方なかつたのだ。さうでなくてもひとを愛し生きてゆける。
誰かを愛することと、結婚して一緒に暮らすといふことは別のことなのだ。彼の描く文脈の中でボードレールを眺めると、『旅へのいざなひ』や『戀人の死』に描かれるたゆみない愛への渇望が呼び起される。
与へ続けることでしか満た -
Posted by ブクログ
登場人物を全員張り倒してやりたい・・・この話をここまで高潔な文章で静謐に綴った著者が本当にすごい。
しかも、内容がすべて主人公の少年の回想と独白というスタイルなので「相手が本当はどう思ってたのか」とか「本当のところはどうだったのか」とかが曖昧で何度も読んで色々考えるのも面白い。本当に主人公との子どもだったのか?それとも夫?彼女は最後に読んだのは主人公の名前?それとも子供の名前?
それにしても、妊娠後期の女性を極寒の雨の中歩き回らせる主人公を本当に張り倒したい。それ以降彼女は体調を崩し、産後の肥立ちも悪くそのすぐ後に亡くなるので主人公のせいで彼女は亡くなっているのでは。だけどそれを、彼女は望んで -
Posted by ブクログ
「椿姫」はいくつか違う翻訳者の本が出ていて、一番評判が良さそうだった新庄さんのを選んだ。海外文学を読む時には、翻訳された日本語から受ける印象で物語のイメージがかなり変わると思うので、そこは重要ポイント。古典の場合は特に。
新庄さんの本はかなり読みやすい翻訳だった。
高級娼婦というブルジョアのお金持ちばかり相手にしているとやたら何でも「お」を付けるような丁寧な物言いになったり、まどろっこしい会話のやりとりも新訳だともうちょっと砕けた感じになるのだろうか?他の訳も読んでみたいという気持ちにさせられた。
ストーリーは、勿論良く知っていて読んだわけだけれど、それでもやはり最後の方はマルグリットの心情が