新庄嘉章のレビュー一覧
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「『あんただって僕を捨てて、ほかの男たちが好きになるだろうよ』すると彼女は、自分には、決してそんなことはしない自信があるとはっきり言った。」
「どうして彼女はそうしたすべてを耐え忍んでいたのであろう? 彼女があまりにもものを重大に考えすぎ、くだらないことを気にするのをひなんした僕の躾の結果だろうか? 彼女はこれまでよりも幸福そうだった。だが、それは、何か異様な幸福で、彼女はそれに気詰りを感じているようだった。」
「だが、と僕は考えた。すべての人間が、自分の自由を恋愛の手に引き渡すところをみると、恋愛にはよほど大きな利益があるのに違いない、と。僕は早く、恋愛なしですますことができるほど、した -
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予備知識なしで、「ドルジェル伯の舞踏会」を読んでみて、良かったんですよ!解説にラディゲの作品ならこの「肉体の悪魔」が一番だ、と書いてあったので、不穏なタイトルだけど読んでみた。
肉体のこともあったけど、ドルジェル並みに精神の揺らぎが緻密に描かれていました。ドルジェルと違うのは、思考がマイナスなこと!ドルジェルはプラスだったので、悩みつつも爽やかで青春ぽい煌めきが良かったのですが、まあ主人公のこじれっぷりったら!!
若い男性あるあるなのかもしれないですが、考えすぎ回り道しすぎ素直じゃないのに、根だけは真っ直ぐ。
タイトルらしく肉欲のほとばしりが強く感じられたのは、一緒に収録されている「ドニーズ -
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高級娼婦である美しいマルグリットは馬車や宝石などの高級なものに囲まれた生活を送っていたが、それらは虚栄のもので、本当の愛情を前にしたら価値がないということを理解していた。
自分の本当の幸福が何で構成されているのかということを知り、その他のものは迷いなく手放すことができる勇気がかっこいい。
聡明な女性とは、愛情深く、勇気をもって優しさを体現することができる人かもしれない。
一方で、女性の心の素直さや優しさを信じきれなかった男が悲しい。男には到底想像のつかないような、何層も深い愛情を理解するのは難しく、結局は保身に走ったように見えた。
今と異なる時代背景、身分差などはあるけれど、愛や死というもの -
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学校卒業からの、夢の人生の始まり、自分の人生の始まり、と思いきや、あっけなく出会い結婚、人生に翻弄される貴族女性の話。
原初のタイトルは Une vieということ。
本当にいろいろ起きて、場面によって喜劇であり悲劇。
主人公の女性の周りにもさまざまな登場人物がいて、その女性はそのうちの一つの生き方、そのような一つの人生についての視点として読めるのかなと思う。
多分楽しんでいるときもあるけど、割と一貫して悲劇が印象的。女性を翻弄する人間関係とは対照的に、自然や情景の描写は、読者にも少し安らぎを与える。
解釈によって人生は悲劇になり喜劇になり、重要なのはその人自身の解釈なのではないかと。 -
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この著作を端的に表すなら、独身の人が周りの人からなんで結婚しないの?って聞かれてうざいなと思ったら「結婚したって『女の一生』みたいになるだけだから。」と答えてもいいくらいの、暗い作品。最後のオチだって、一応絶望エンドではないけれども、いい方向に向かうのかこれ…?と疑問に思わざるを得ないような終わり方だ。
最初の段階で、両親(特に父親)に純粋純潔に育てられて修道院を出たお嬢様、という描写でもう悪い予感しか無いと思ったが事実そのとおりに。
だが皮肉にも、主人公の状況がひたすら暗いほうに転がっていくに従って話の内容としては面白くなっていくと個人的には思う。この当時では女の人生なんて生まれた家と配偶者