あらすじ
椿の花を愛するゆえに“椿姫”と呼ばれる、貴婦人のように上品な、美貌の娼婦マルグリット・ゴーティエ。パリの社交界で、奔放な日々を送っていた彼女は、純情多感な青年アルマンによって、真実の愛に目覚め、純粋でひたむきな恋の悦びを知るが、彼を真に愛する道は別れることだと悟ってもとの生活に戻る……
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Posted by ブクログ
背景にある社会問題と絡めて読まなくとも、十分に恋愛小説として楽しめる一冊ではないでしようか。
もちろん、背景を探ることで深みが増すのは間違いありませんが。
生涯遊び人であった父親の息子が書いた小説と聞くと、納得もできますね。父親が「説教が多い」と言ったのも頷けます。
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相手のために関係を諦めるストーリー。
読んでいてもどかしくなる瞬間が何度もあった。マルグリットの愛は本当に深くて美しいし、切ないし、なんだか気高いものに感じた。
恋愛小説を選ぶ時だけは、純粋なハッピーエンドの話よりも、うまくいかない結末の方がなぜか惹かれてしまう。不思議。
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アルマンの直向きなアプローチが叶ってついに街1番の美女と恋仲に。
しだいにアルマンからの愛情によって奔放な暮らしを改め療養のためにも質素な2人の生活を望むようになるマルグリットの心の移り変わりもおもしろかった。
後に手紙の内容で明かされることになる、堅実なアルマンの父とマルグリットの掛け合いのシーンは涙が止まらなかった。
オペラ椿姫よりもずっと濃い内容でよりマルグリットという女性を知り、感情移入できたので原作を読めてよかった。
Posted by ブクログ
読書会をきっかけに読んでみました。タイトルしか知らなかったし、あまり興味もなかったのですが、読んでよかった一冊です。恋愛について忘れていたものを思い出しながら読んだり、時代背景を想像しながら読むのはとても楽しかったです。後から後からじわーっとくるものがあります。
お話の展開もすごくよいです。マルグリットの最初の登場はとても印象的でした。
読書会では、いろんな人の感想もまた面白くて、この読書がとても充実されたものとなりました。
また、「椿姫」のつながりで読みたい本が続々と出てきました。読んでいこうと思います。
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あなたが世間となって人を殺したりしませんように。
そして、愛情は必ずしも綺麗な丸いかたちをしてはいないのです。
娼婦のマルグリットと、その彼女の全てを愛したアルマン。二人はお互いで、愛を知りました。
しかしマルグリットの快く思われない身分のために想い合う二人は引き裂かれます。しかも、彼女が全ての罪を引き受けるようにして。
行うことに清浄も穢れもありますか?
何かを行動するとき、そこに想像はありますか?
そんな問いかけが静かに心に沈みます。
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青年と娼婦の身分違いの悲恋、と一言で片付けてしまわれがちだが、原作は非常に情感豊かで、マルグリットのひたむきな献身に涙が出る。作者のデュマ・フィス自身が文豪デュマの私生児だったから、社会的に立場の弱い人々に対する眼差しは、とても同情的。
(2015.5)
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マルグリットのようなことができる人って、どのくらいいるんだろう。
とにかく最後は胸がつまって泣きながら読みました。
人間として、彼女を誇りに思います。
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マルグリットがだんだんアルマンを本気で愛してしまうたびに悲恋が重なっていくのが切ない。途中アルマンがクソみたいに思えたけどマルグリットのおかげで美化された…最後の手紙のところで泣きそうになった
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『三銃士』などの大デュマの私生児、小デュマの作品。オペラを観に行く前の予習。単なる若い男女の恋愛を描いた小説だけ、とは言い切れない。
わたしを愛しているようでいて実は自分を愛しているだけ、という言葉に本質がある。
古典であるが故に他の作品に色々な形で引用されているので、完全に新しい作品として受け取ることは無理だが、読者はその本質を抑えさえすればいい。
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「19世紀パリ、高級娼婦マルグリットと青年アルマンの哀しくも美しい恋のかたち。物語はラストシーンにむかって収束し、その最後に綴られる感情の痛切なまでのひたむきさについて形容する言葉をわたしは知らない」との感想。ちなみに、読む前、父アレクサンドル・デュマの「倅の小説は説教くさい」とのレビューを先に読んでしまっていたため、「確かに~」ってほほえましい気持ちに。
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デュマ・フィスが1848年に書き上げた彼の実体験を基にした小説。父親は、"巌窟王"や"三銃士"で知られるアレクサンドル・デュマ。本書を原作にしたヴェルディのオペラが有名なので、そちらを知ってる人が多そうです。青年アルマン(デュマ・フィス)と高級娼婦マルグリット(マリー・デュプレシ)の恋愛模様を綴った悲しい物語です。アルマンの昔語りという体裁で話が進み、読者は結末を知った上で彼らに何が起こったのかを読み進めます。後半のマルグリットの手記は胸に響きます。何度か映画にもなっており、古い映画ですが、おすすめです。
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さすが名作と言われる作品である。
これを単に精神世界と物質世界を対立としてしてしまってはいけない。
実際には、あくどいお金儲けをする人間が、美しい心を持っていることもあるし、あさましい人間が素晴らしい芸術を生み出すことさえある。
それでいい。誰か(神?)が良識や道徳で天秤にはかることなんて、できやしない。
そこに人間の弱さと愚かさと親しみと尊さがあるんだ。
汚い路地裏の匂い立つ腐臭の中に捨てられた一片の詩に、金満家の心中に潜む良心に、道徳者が抱える歪んだ快楽の中に、そういうことの中に我々は人生の真髄を見出さなければいけない。
Posted by ブクログ
恋に夢中になる気持ち
周りの助言から耳が遠くなっていく気持ち
嫉妬で気が狂いそうになる気持ち
夜中相手の考えを想像して眠れない気持ち
プライドを守って相手を傷つけて満足しようとする気持ち
相手のために苦しみを受け入れる気持ち
恋にまつわるあらゆる感情をこんなに事細かに描いている小説は初めてでダイレクトに心に届いてくる感じだった。
頭で考えて固く誓ったつもりでも相手の前に立つと全部吹っ飛んじゃうような感覚、それこそが愛だと信じる感覚、めっちゃ共感
こんな昔の話なのに今も共感しちゃうって、恋をした人間の行動は昔から変わらないものなんだな。
また何年後かに読み返したい。
Posted by ブクログ
作中ある通りごくわずかな人物たちによる小さな恋愛物語で
視点主観の一方のみから語られる情緒のみのお話
いつでもどこにでもある話で
小説としての展開も平凡で
登場人物たちの行動も通り一遍そのまま
父親作のような普遍の価値あるようには思えないが
書かれた時代の単純さが上手く出ているのかもしれない
Posted by ブクログ
気合いを入れて読み始めたけど、意外にも読みやすくてすらすら進められた。
アルマンが嫉妬の心を抑えて冷静でいられたら、状況は違ったんだろうか。ただ、冷静でいられるなら真剣に恋をしているとは言えないのかもしれないけど。
武者小路実篤の「友情」を思い出した。
それから、言葉遣いが好みだった。
Posted by ブクログ
ほかの本、天国の本屋 恋火
という本で気になって読みました
読んだ当時は幼かったけれど、今こうして身を切られるようにどうか幸せを願って別れた人がいると、このマルグリットのようにアルマンに祈りと願いを一身にそそげるか
マルグリットは身を滅ぼしながらも、アルマンの幸せだけを望んでいる
どうか幸あれと願ってきえた人
崇高な想いが昔もあったんだなぁとじんわりします
Posted by ブクログ
「椿姫」はいくつか違う翻訳者の本が出ていて、一番評判が良さそうだった新庄さんのを選んだ。海外文学を読む時には、翻訳された日本語から受ける印象で物語のイメージがかなり変わると思うので、そこは重要ポイント。古典の場合は特に。
新庄さんの本はかなり読みやすい翻訳だった。
高級娼婦というブルジョアのお金持ちばかり相手にしているとやたら何でも「お」を付けるような丁寧な物言いになったり、まどろっこしい会話のやりとりも新訳だともうちょっと砕けた感じになるのだろうか?他の訳も読んでみたいという気持ちにさせられた。
ストーリーは、勿論良く知っていて読んだわけだけれど、それでもやはり最後の方はマルグリットの心情が迫ってくるのでとても切なかった。
読み継がれる恋愛小説の傑作という位置付けには納得。
若い時に読んだら、深くは理解出来なかったかもしれないなぁ、と思う。(もしかすると10代で一度読んでいるけれど、すっかり忘れているだけなのかも?)
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友人にミュージカル『マルグリット』のライブCDを借りたことがきっかけで、その作品の原作を手に取りました。もっと早く出会いたかったなー。
読んだあとは切なさがのこります。
Posted by ブクログ
著者デュマが実際の体験を基にして書いた長編小説。
高級娼婦マルグリットは椿を愛し、常に身に付けていたことから「椿姫」と呼ばれていた。華やかな美貌を持ち、お金持ちのパトロン達に囲まれ、不自由ない生活を送っていた。友人の紹介で青年アルマンはマルグリットに出会い、一目惚れをする。アルマンの直球な愛の告白をあしらいつつ戸惑いも感じていたマルグリットだったが、その誠実さに惹かれ、2人は相思相愛になる。マルグリットは贅沢な生活も捨て、郊外でアルマンと2人きり穏やかな生活を始めるが、それは長くは続かなかった。
奔放でプライドが高く、寂しがり屋。様々な表情を見せるマルグリットは読者目線でも魅力的です。特にアルマンの愛を試すように挑発的な言葉を投げ掛るマルグリット、それを冷静に受けつつ自身の情熱的な想いを彼女に伝えるアルマン、2人が言葉を掛け合うシーンは魅入るものがあります。
原題は『La traviata(ラ・トラヴィアータ)』(堕落した女、道を踏み外した女)。でも私はこの原題は相応しいとは思いません。その後悲運を辿る2人ですが、マルグリットは心からアルマンを愛し、彼とって最良の選択のために自分の気持ちに背きます。不器用だけど、自分の信じた道を突き進む潔く美しい女性に映りました。
純愛をテーマにした名作。
Posted by ブクログ
アルマンがマルグリットを愛するがあまり深い嫉妬をしてしまい、
意地悪な手紙を寄越してしまう場面や、その返事が帰ってこないため
後悔をしながらもマルグリットが謝ってくるのを待ち続けるところが
とても共感できて、なんだか落ち着かない気分になりました。
胸がチクチクするような恋愛小説を読みたい人にはオススメだと思います。
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慎み深くあれ
25年くらい前に新庄さん訳のこの文庫を読みました。25年分しっかり色あせた本になっています。少し前に、朝比奈さん訳の単行本を読んでみました。訳者によってずいぶん文章がちがって、今回の本はとてもわかりやすいです。
しかしながら、マノンレスコーへの書き込み、「頭を低くして」と「慎み深くあれ」。同じ文章の訳とは思えません。新庄さんの「慎み深くあれ」はやはり名文の風格があると思います。
後に見た、グレタスカッキの映画「椿姫」もとてもきれいでそしてとても悲しいよい映画でした。
Posted by ブクログ
高級娼婦である美しいマルグリットは馬車や宝石などの高級なものに囲まれた生活を送っていたが、それらは虚栄のもので、本当の愛情を前にしたら価値がないということを理解していた。
自分の本当の幸福が何で構成されているのかということを知り、その他のものは迷いなく手放すことができる勇気がかっこいい。
聡明な女性とは、愛情深く、勇気をもって優しさを体現することができる人かもしれない。
一方で、女性の心の素直さや優しさを信じきれなかった男が悲しい。男には到底想像のつかないような、何層も深い愛情を理解するのは難しく、結局は保身に走ったように見えた。
今と異なる時代背景、身分差などはあるけれど、愛や死というものは時代が変わっても永遠に私たちを悩ませる。時には幸福を与え、時には絶望に突き落とすけれど、人と生きていきたいのならば避けることができないテーマだなと改めて思った。
Posted by ブクログ
想像以上に魅力的な女性だった!
気高く賢い魅力的な女性だった!
可愛さ余って憎さ百倍なんてくそくらえだね
アルマンの幼稚で執拗な傷つけ方にしっかり怒りを覚えてしまったーーー
Posted by ブクログ
なんだかなぁ(;´д`)とモヤモヤしながら、ついつい先が気になり、読み進めてしまった感じ。古臭いような、でもいまだにこういうのあるよね、、っていう感じもしたり。読後スッキリではない。主人公のお二人ともに、イライラしちゃう。
Posted by ブクログ
真実の思いも、社会観念や偏見には敵わないんだなぁというのは改めて感じました。現在ではいくらやめていようと、過去おこなっていたことは残ってしまうということも含めて。未来の私が、過去の私に起因して諦めなければならないことがないように、そこはしっかり身をただしておかないとなと思いました。恋愛小説というよりは教訓本という印象でした。
Posted by ブクログ
ストーリーはベタで、展開も読めるんだけど、やっぱり胸に来るものがある。
女性はやっぱり一枚上手だな。
今でこそホストとか珍しくないけど、身体(春)を売るような商売は、女性にしかできないだろうな。
どれだけ自己弁護や正当化を重ねて、それでもこうして生きていくしかないという覚悟をすることができるのは、すごいことだと思う。
少し、自分に酔っているところもあるかもしれないけど、それもわかった上での覚悟かな、と。
男性は、そこのところが分かんないから、自分にされたことをそのまま受け取って、復讐したりするんだな。
単純すぎるから、逆手にとって思い通りにもできるんだけど。
結局、どれだけ愛の言葉を囁こうと、自分が与えた愛へ報いるだけの確固たるものがなければ、相手の愛情の深さなんて理解できないんだろうな。
ハッキリと、年にいくらムダ使いするだけの金が必要だと言い切る娼婦の方が、よっぽど正直で誠実だわ。