新庄嘉章のレビュー一覧

  • 肉体の悪魔

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    早熟で完成されたラディゲの文体に対し、少年の稚拙な行動や発言にはどこか乖離があり、違和感は感じた。
    しかし、展開や結末はよく練られており独特な世界観を堪能できた。
    できるだけ情景描写と甘美な表現は抑えられていて読みやすく、女性にもお勧めです。

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    2020年10月27日
  • 女の一生

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    (01)
    ある女性の半生が14章に分けて描かれる。同時にレ・プープルと呼ばれるノルマンディー地方の家の物語(*02)でもあり、一人娘の彼女のために男爵が用意した屋敷がその半生を包み込み、放り出す。
    母、父、夫、子や叔母(*03)といった親族のほかにも、使用人や夫の愛人、友人、司祭、犬や馬といった人物や動物も登場するが、それほど多くはない。視点はいつも女主人公ジャンヌのまわりにあるが、いっとき、彼女のまわりを離れることがある。近隣に住むフールヴィル伯爵は、ジャンヌの夫ジュリヤンと自分の妻が不貞を働いている現場をのぞき、怒りに任せた蛮勇を奮う場面である。第10章のこの場面までの時の流れはややゆった

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    2020年07月09日
  • 女の一生

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    高校生の時に読んで、ここまで悲惨な人生ってある。。?て絶望的な気持ちになったのを覚えてる。てか主人公世間知らずすぎてだな。。あそこまで子どもに依存しちゃダメ。。夫も子どもも酷いんだけどさ。。でもさ、こういう人って現代にもいっぱいいるんだよなあ。モーパッサンの書く宗教性とか、私には理解しきれないところもあるんだけど、複雑で暗い人間味の部分の表現が、今も共感しやすいんだよね。フランス語でも読んだ最初の小説。

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    2019年03月02日
  • 椿姫

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    作中ある通りごくわずかな人物たちによる小さな恋愛物語で
    視点主観の一方のみから語られる情緒のみのお話
    いつでもどこにでもある話で
    小説としての展開も平凡で
    登場人物たちの行動も通り一遍そのまま
    父親作のような普遍の価値あるようには思えないが
    書かれた時代の単純さが上手く出ているのかもしれない

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    2018年10月20日
  • 未完の告白

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    先に『女の学校』『ロベール』を読んでおけばよかつた。
    ひとつの家族のそれぞれから描いた一連の作品の中でも、娘からの書簡といふ形式である。
    社会的には女性のどうこうといふもののやうであるが、それ以上にひとを愛するといふ彼が生涯通じて求め続けたひとつの形であつたに違ひない。
    ひとが愛しあふと結婚して家庭をもつ。それが彼には不思議で仕方なかつたのだ。さうでなくてもひとを愛し生きてゆける。
    誰かを愛することと、結婚して一緒に暮らすといふことは別のことなのだ。彼の描く文脈の中でボードレールを眺めると、『旅へのいざなひ』や『戀人の死』に描かれるたゆみない愛への渇望が呼び起される。
    与へ続けることでしか満た

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    2018年04月16日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    何か問題に出会ったとき、泣いたり悲しんだり、頼ったりするのではなく、ちゃんと逃げずに問題に立ち向かわなければダメだ。そうじゃなきゃ、惨めな事態に陥っても、何も解決しっこないのだ。ジャンヌは、夢みがちで、感情の振り幅が広く、純粋な女性だ。母性愛を深く持っていて、美点はある。ジュリアンとくっついてしまって、あいつがどーしょもないのは不運としか言いようがない。でも、子供の育て方はどうにも良くない。スポイルしている。台無しにしてしまっている。一方、ロザリは、最低な主に手込めにされ、妊娠し、あげく追い出されたにも関わらず、人情深く、優しく、賢く、器がでかい。ジャンヌが、屋敷の家具を売ったお金3600フラ

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    2018年01月02日
  • 肉体の悪魔

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    登場人物を全員張り倒してやりたい・・・この話をここまで高潔な文章で静謐に綴った著者が本当にすごい。
    しかも、内容がすべて主人公の少年の回想と独白というスタイルなので「相手が本当はどう思ってたのか」とか「本当のところはどうだったのか」とかが曖昧で何度も読んで色々考えるのも面白い。本当に主人公との子どもだったのか?それとも夫?彼女は最後に読んだのは主人公の名前?それとも子供の名前?
    それにしても、妊娠後期の女性を極寒の雨の中歩き回らせる主人公を本当に張り倒したい。それ以降彼女は体調を崩し、産後の肥立ちも悪くそのすぐ後に亡くなるので主人公のせいで彼女は亡くなっているのでは。だけどそれを、彼女は望んで

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    2017年09月23日
  • 椿姫

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    ネタバレ

    『三銃士』などの大デュマの私生児、小デュマの作品。オペラを観に行く前の予習。単なる若い男女の恋愛を描いた小説だけ、とは言い切れない。
    わたしを愛しているようでいて実は自分を愛しているだけ、という言葉に本質がある。
    古典であるが故に他の作品に色々な形で引用されているので、完全に新しい作品として受け取ることは無理だが、読者はその本質を抑えさえすればいい。

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    2017年05月20日
  • 椿姫

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    気合いを入れて読み始めたけど、意外にも読みやすくてすらすら進められた。
    アルマンが嫉妬の心を抑えて冷静でいられたら、状況は違ったんだろうか。ただ、冷静でいられるなら真剣に恋をしているとは言えないのかもしれないけど。
    武者小路実篤の「友情」を思い出した。
    それから、言葉遣いが好みだった。

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    2017年03月16日
  • 女の一生

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    モーパッサンの代表作。読んだことがない人も題名くらいは知っているほどの作品。恥ずかしながら初めて読んでみて、意外に読みやすいこと。情景や環境は違えど、描かれている内容そのものは、今でも受け入れられるストーリー性に驚いた。人の悩みは古今東西変わらぬものなのね。

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    2016年10月10日
  • 椿姫

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    「19世紀パリ、高級娼婦マルグリットと青年アルマンの哀しくも美しい恋のかたち。物語はラストシーンにむかって収束し、その最後に綴られる感情の痛切なまでのひたむきさについて形容する言葉をわたしは知らない」との感想。ちなみに、読む前、父アレクサンドル・デュマの「倅の小説は説教くさい」とのレビューを先に読んでしまっていたため、「確かに~」ってほほえましい気持ちに。

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    2016年03月02日
  • 椿姫

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    ほかの本、天国の本屋 恋火
    という本で気になって読みました

    読んだ当時は幼かったけれど、今こうして身を切られるようにどうか幸せを願って別れた人がいると、このマルグリットのようにアルマンに祈りと願いを一身にそそげるか

    マルグリットは身を滅ぼしながらも、アルマンの幸せだけを望んでいる

    どうか幸あれと願ってきえた人

    崇高な想いが昔もあったんだなぁとじんわりします

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    2015年04月20日
  • 肉体の悪魔

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    落ちてはならない恋に落ちてしまったことへの主人公の後悔がひしひしと伝わってくる。と同時に彼に嫌悪感を抱いてしまうのは、きっと作者の描写が優れているから。僕がこんな恋に落ちてしまったのは戦時中の不気味な雰囲気が影響しているのだ、と冒頭であるけれども、確かに作品全体に明るい雰囲気は漂っていない。薄暗い。
    いつの時代も人は背徳的な恋物語を読みたがるのでしょうか。

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    2014年05月10日
  • 椿姫

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    「椿姫」はいくつか違う翻訳者の本が出ていて、一番評判が良さそうだった新庄さんのを選んだ。海外文学を読む時には、翻訳された日本語から受ける印象で物語のイメージがかなり変わると思うので、そこは重要ポイント。古典の場合は特に。
    新庄さんの本はかなり読みやすい翻訳だった。
    高級娼婦というブルジョアのお金持ちばかり相手にしているとやたら何でも「お」を付けるような丁寧な物言いになったり、まどろっこしい会話のやりとりも新訳だともうちょっと砕けた感じになるのだろうか?他の訳も読んでみたいという気持ちにさせられた。
    ストーリーは、勿論良く知っていて読んだわけだけれど、それでもやはり最後の方はマルグリットの心情が

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    2014年04月28日
  • 椿姫

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    友人にミュージカル『マルグリット』のライブCDを借りたことがきっかけで、その作品の原作を手に取りました。もっと早く出会いたかったなー。
    読んだあとは切なさがのこります。

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    2014年03月24日
  • 椿姫

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    デュマ・フィスが1848年に書き上げた彼の実体験を基にした小説。父親は、"巌窟王"や"三銃士"で知られるアレクサンドル・デュマ。本書を原作にしたヴェルディのオペラが有名なので、そちらを知ってる人が多そうです。青年アルマン(デュマ・フィス)と高級娼婦マルグリット(マリー・デュプレシ)の恋愛模様を綴った悲しい物語です。アルマンの昔語りという体裁で話が進み、読者は結末を知った上で彼らに何が起こったのかを読み進めます。後半のマルグリットの手記は胸に響きます。何度か映画にもなっており、古い映画ですが、おすすめです。

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    2013年12月26日
  • 椿姫

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    著者デュマが実際の体験を基にして書いた長編小説。
    高級娼婦マルグリットは椿を愛し、常に身に付けていたことから「椿姫」と呼ばれていた。華やかな美貌を持ち、お金持ちのパトロン達に囲まれ、不自由ない生活を送っていた。友人の紹介で青年アルマンはマルグリットに出会い、一目惚れをする。アルマンの直球な愛の告白をあしらいつつ戸惑いも感じていたマルグリットだったが、その誠実さに惹かれ、2人は相思相愛になる。マルグリットは贅沢な生活も捨て、郊外でアルマンと2人きり穏やかな生活を始めるが、それは長くは続かなかった。

    奔放でプライドが高く、寂しがり屋。様々な表情を見せるマルグリットは読者目線でも魅力的です。特にア

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    2015年04月28日
  • 肉体の悪魔

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    良かった。
    表現が凄く好きだった。あとがきを見ると筆者は必ずしもそこに重きを置いていないようだが、やはり十代の若さでこういう文章や話を作るというのは素晴らしいと思う。
    写真とは違うが、古い版の新潮文庫の表紙は超おしゃれだった。

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    2013年08月27日
  • 椿姫

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    アルマンがマルグリットを愛するがあまり深い嫉妬をしてしまい、
    意地悪な手紙を寄越してしまう場面や、その返事が帰ってこないため
    後悔をしながらもマルグリットが謝ってくるのを待ち続けるところが
    とても共感できて、なんだか落ち着かない気分になりました。
    胸がチクチクするような恋愛小説を読みたい人にはオススメだと思います。

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    2012年06月05日
  • 肉体の悪魔

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    表題からは、もっとおどろおどろしい内容を想像していましたが、意外とあっさりとした平均的な心理小説。愛に対する節度は、中河与一の『天の夕顔』を思わせます。ただ、『肉体の悪魔』が16歳から18歳の間に書かれた作品であることは依然として驚異。ラディゲは神童扱いされることを嫌っていたようだけど。

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    2011年12月22日