新庄嘉章のレビュー一覧

  • 女の一生

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    この作品好きすぎる…!モーパッサンの人生における現実を浮かび上がらせる残酷なまでの冷徹な観察眼と、直接そうとは表現せずとも登場人物の心情の奥底まで読者の心に突き刺してくる表現技術によって、長編とは思えないほどあっという間に引き込まれ一夜で貪るように読破してしまいました。

    はじめ完璧な男性に見えた夫ジュリヤンが、新婚旅行の最中から徐々にそのケチで小狡い性格を露呈していく描写のなんと面白いこと!それに対し、あれほど夢見がちにジュリヤンに恋していたジャンヌにその存在を「赤の他人」を言わしめるほど諦めに満ちた冷めた感情のなんとリアルなこと!

    劇的な展開に引き込まれる作品でありながら、母親に裏切られ

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    2025年02月17日
  • 肉体の悪魔

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    248P

    レーモン・ラディゲ Raymond Radiguet
    生年:1903年
    没年:1923年
    フランスの詩人・小説家。風刺画家を父として、パリ郊外に生まれる。幼少期は成績優秀な生徒だったが、長じて、文学に傾倒。14歳で『肉体の悪魔』のモデルといわれる年上の女性と恋愛関係となり、欠席が増えて退学処分となる。退学後、詩人のジャコブやコクトーと出会い、処女長編小説の本作で文壇デビュー。ベストセラーとなる。その後もコクトーと旅をしながら『ドルジェル伯の舞踏会』を執筆するが、1923年、腸チフスにより20歳の若さで死去。

    肉体の悪魔
    by ラディゲ、江口清
     ある人たちにとっては不幸なことが、

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    2024年10月29日
  • 女の一生

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    風景描写が素晴らしかった
    目の前にその光景が広がるようで、まるで見たことのある景色のように感じる。
    海がみたくなった。
    ジャンヌが夢見心地から現実を知る時が来た時はつらかった。
    結婚するような年までそういったことに全くの無知であることは、恐ろしい事だと思う。

    愛したひとからの裏切り、不信続きの人生だが、孫娘とロザリによってこの先は幸せに生きられるのか。
    叔母の最後の登場がいつか思い出せない。
    でも読み返してまでいつだったかを確認する気もおきない。 いつの間にか一読者である自分さえも叔母を軽んじている不思議

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    2024年01月15日
  • 椿姫

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    ネタバレ

    相手のために関係を諦めるストーリー。

    読んでいてもどかしくなる瞬間が何度もあった。マルグリットの愛は本当に深くて美しいし、切ないし、なんだか気高いものに感じた。

    恋愛小説を選ぶ時だけは、純粋なハッピーエンドの話よりも、うまくいかない結末の方がなぜか惹かれてしまう。不思議。

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    2022年12月22日
  • 女の一生

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    ネタバレ

     今となっては個々人が独立して自由に生きている印象が強いフランスにも、女性が自分の意志では何も決められない時代があったんだなあと、最初から最後までなかなかの衝撃を受けながら読んだ。一回では物足りなかったので読み終わってすぐ二周目に突入。さすがフランス人、事あるごとに接吻するなあと思って「接吻」というワードを最初から全部数えてみたら77回だった。言うほど多くなかったジャンヌ。
     思春期のほとんどを学校にも行かず家と修道院で過ごし、修道院を出た直後にほとんど何も知らない相手と結婚。最初感じた熱烈な恋に落ちたような感覚は所詮幻想で、度重なる夫の不貞で結婚生活は早々に破綻。一人息子は家族総出で甘やかし

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    2022年10月20日
  • 椿姫

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    背景にある社会問題と絡めて読まなくとも、十分に恋愛小説として楽しめる一冊ではないでしようか。
    もちろん、背景を探ることで深みが増すのは間違いありませんが。

    生涯遊び人であった父親の息子が書いた小説と聞くと、納得もできますね。父親が「説教が多い」と言ったのも頷けます。

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    2022年08月10日
  • 椿姫

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    アルマンの直向きなアプローチが叶ってついに街1番の美女と恋仲に。
    しだいにアルマンからの愛情によって奔放な暮らしを改め療養のためにも質素な2人の生活を望むようになるマルグリットの心の移り変わりもおもしろかった。
    後に手紙の内容で明かされることになる、堅実なアルマンの父とマルグリットの掛け合いのシーンは涙が止まらなかった。
    オペラ椿姫よりもずっと濃い内容でよりマルグリットという女性を知り、感情移入できたので原作を読めてよかった。

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    2022年06月07日
  • モンテ=クリスト伯(5)

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    長編だったが、どんどん先が気になり、飽きずに完読。4巻から伏線を回収していき、いよいよ復讐完了の5巻は早く先が知りたくてすぐに読んでしまった。この本の主題はキリストの教え。モンテクリスト伯という題名である理由がわかった。

    何十年も前の訳なのに、全く古臭さを感じずに読むことができる新庄訳は素晴らしい。この翻訳本がもっと現代でも広まれば、外国文学読者の裾野が広がるのではないか。

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    2020年07月19日
  • 肉体の悪魔

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    一般的な恋愛物語ではないと思わせる様な文体。16歳とは思えないほどの思慮が成熟した主人公が歳上女性を愛していく様を描いている。勿論思慮が未熟であるとも取れるが、文体のみで主人公の気持ちを想像するのであれば、常識的な世間批判からも苦しめられ、非道徳と道徳を常に真面目に考えている主人公の葛藤が描かれている。それを読者が肉体に取り憑かれてしまっていたと結論付けて了えば其れ迄であるが、愛するが故にマルトに対する姿勢や言葉が冷徹になりエゴイズム化していく様は、人間誰しもが持っている愛情の裏返しである。
     愛しているが故にマルトに自己を投影させ類似性を探っている主人公の想いが何とも可愛くなってくるのは私だ

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    2020年04月05日
  • 椿姫

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    読書会をきっかけに読んでみました。タイトルしか知らなかったし、あまり興味もなかったのですが、読んでよかった一冊です。恋愛について忘れていたものを思い出しながら読んだり、時代背景を想像しながら読むのはとても楽しかったです。後から後からじわーっとくるものがあります。
    お話の展開もすごくよいです。マルグリットの最初の登場はとても印象的でした。

    読書会では、いろんな人の感想もまた面白くて、この読書がとても充実されたものとなりました。
    また、「椿姫」のつながりで読みたい本が続々と出てきました。読んでいこうと思います。

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    2019年12月04日
  • 女の一生

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    「朝ドラ」ことNHK『連続テレビ小説』題材によくある
    「波乱万丈な女性主人公の半生」もの
    小説分野でいうなら女性が主役の教養小説
    というものの古典
    フランスの田舎の田園に生きたある女性の半生
    書かれたのは1880年くらい
    なので「女性」というものの扱いが現在とはいろいろ違うと思われる
    題名の『女の一生』は大正二年に和訳されたとき付けられたらしいが
    現在だったらこの題名にはならないのでなかろうか
    「女性の生涯とはだいたいこのようなものであるとして、作者から客観的に外からながめられている」
    というように解説には書いてある
    ほほう

    「朝ドラ」のようなものは小説の分野でいうなら何にあたるのだろうか

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    2018年12月08日
  • 椿姫

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    あなたが世間となって人を殺したりしませんように。
    そして、愛情は必ずしも綺麗な丸いかたちをしてはいないのです。
    娼婦のマルグリットと、その彼女の全てを愛したアルマン。二人はお互いで、愛を知りました。
    しかしマルグリットの快く思われない身分のために想い合う二人は引き裂かれます。しかも、彼女が全ての罪を引き受けるようにして。
    行うことに清浄も穢れもありますか?
    何かを行動するとき、そこに想像はありますか?

    そんな問いかけが静かに心に沈みます。

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    2017年11月27日
  • 女の一生

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    世間知らずのお嬢さんが、女という魔物(!)に成長していくまでを克明に美しく描いている。ジャンヌに、目も当てられない悲劇が次々降りかかって来ても、男どもがどんなに馬鹿で愚かしくっても、そんなのどうでもいいんですよ!女って強いってか底が知れないんです。泣いて打ちひしがれてそんなの抱えたまま達観しちゃってなんかうまく説明できない…。モーパッサンには身近な観察例がいたんだろうか。なんでこんなのかけたんだろう。そして最後に付け加えるのは、男と女ってどうしてこうも同じ方向見ていることが難しいんでしょう、ってことです。

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    2016年08月09日
  • 椿姫

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    青年と娼婦の身分違いの悲恋、と一言で片付けてしまわれがちだが、原作は非常に情感豊かで、マルグリットのひたむきな献身に涙が出る。作者のデュマ・フィス自身が文豪デュマの私生児だったから、社会的に立場の弱い人々に対する眼差しは、とても同情的。
    (2015.5)

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    2015年05月31日
  • 肉体の悪魔

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    某作家さんがオススメしていたので、ずっと気にはなっていたけれど、内容もラディゲという作家も知らず、今の今まで。もっと早くに読みたかった!という思いと、今でないと理解できなかったところが多数あるのではという思いが混在しています。
    恋愛心理をここまで冷静に書けること自体が、異様というか偉業というか。恋愛に陥っている人間の心理を描写すること自体はどこまで珍しくもないと思いますが、全編を通して感じる、どこか冷めた視線がおそろしい。
    好きだとか愛しているだとか、好きだから触れたいだとか愛しているから守りたいだとか、そういう単純な仕組みになっていない人間の心の構造をよくぞここまでという風に説明されて、正直

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    2013年12月26日
  • 肉体の悪魔

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    切ない幕切れに思わず声が漏れた。自分勝手に暴走する主人公は若さゆえって感じなのかもしれないけど、結局は人妻に遊ばれちゃったんじゃないかとも思ってしまう。夫は全てをわかってて妻を許し受け入れていたのかなーとも思ったり。しかし、この処女作を弱冠16歳で書き上げ病で20歳という若さで夭折したという事実に驚愕。2012/176

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    2013年11月15日
  • 肉体の悪魔

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    あとがき(訳者)新庄嘉章さん曰く『年上の女性との恋愛,その場合の男性のエゴイズム,そのエゴイズムの犠牲となる女性の死』のお話で『少年から青年になろうとする最も動揺定めない過渡期の魂を,冷徹な目で凝視して』るのがすんごいとのことですが,そう表現されているほどありきたりな感じではありません。
    私はこれは優等生のお話として読んだので,俗っぽい設定ではあるけどリアリティがあったしすごく共感して面白かったです。主人公とマルトが共鳴したのはお互い優等生だからだと思うんです。それは戦時中だからだとか,子どもだから女だからという押さえつけではなくて,気質としてのいい子ちゃんがお互いを引き合わせたのではないでし

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    2013年02月28日
  • 椿姫

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    すべての人が幸せになることはできない。

    それでも最後に信じられるものができたマルグリッドは幸せだと思う。

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    2012年08月15日
  • 椿姫

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    マルグリットのようなことができる人って、どのくらいいるんだろう。
    とにかく最後は胸がつまって泣きながら読みました。
    人間として、彼女を誇りに思います。

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    2012年06月07日
  • 肉体の悪魔

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    友人に熱烈に薦められて読んだ一冊

    ロマンチシズムに溺れずして利己主義に溺れる。

    16歳にしてこの倒錯した価値観が凄い、そりゃあ夭折もするわな。

    原文の華麗な文体で読める人はきっと幸せだろう。

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    2011年12月11日