永井隆のレビュー一覧
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ネタバレ爆心地から700mの長崎医大で被爆した著者は、白血病を負いつつ戦後の6年を生きた。
原爆投下の直後、医師である彼は、重傷を負いつつも、猖獗きわまる被災者たちの救護活動に明け暮れた。
明くる10日、帰宅した彼は、廃墟となった台所跡に、骨片だけに変わり果てた妻を見つけ、埋葬する。
偶々、祖母宅へ行っていた二人の子ども、兄と妹は原爆を免れ無事だった。
敬虔なカトリシズムと、放射線物理療法の医師という二面を併せもつこの高貴な魂は、自身の死期迫りくるなかで、この世に残しゆく幼い兄妹の身をさまざまに案じつつも、揺るぎのない信仰に支えられ、あくまで沈着に父からの二人への遺言の書として、日々の思いを綴っている。
それは、精神の桎梏が激しさを増すほどに、かえって高みへと昇華していく運動を示し、なればこそ、幼な児たちへと綴られた言葉は、狂おしいほどの愛となって、読む者に伝わりくるのだ。
青空文庫で読んだ。 -
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鈴木修元会長(故人)についての本。鈴木家の人間だと思っていたが、婿養子として鈴木家を継ぎ社長となったそう。元は岐阜県下呂市の出で学校教師、銀行員を経てスズキに入社。本書を読んで感じたことは、鈴木修会長は、ハートトゥーハートの人情味あふれる一面と浜松市内の地味な本社に代表される徹底的なコスト削減、そしてアルトの導入による軽自動車市場の拡大や圧倒的なシェアを誇るインドへの進出等チャレンジングな姿勢など、様々な面を持ち合わせた経営者である。電気自動車の出現、中国の台頭等、自動車業界を巡る環境が目まぐるしく変わる中、日本の自動車メーカーで唯一営業利益黒字を保ち続けているスズキの経営史を振り返り、学べることはたくさんあると思った。
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ネタバレ鈴木修氏の人となりだけでなく自動車の歴史も分かってとても面白かったです。
軽自動車売り上げトップを長年続け、失敗もあるにせよ何カ国も海外進出し、軽自動車優遇税制維持のため政治家とも頼み事を言える関係を築くのはさすがカリスマ経営者です。
毎年売り上げの多い業販店のオーナーを集めて表彰し、個人的親交を深め、オーナーの子弟を跡継ぎを目的とする研修と称してスズキ本社に入社させるというやり方はどこかの訪問販売化粧品メーカーと似ています。
こういう泥臭い努力のせいでスズキの売り上げの半分以上を資本関係のない業販店が担っていたんですね。
印象的なのは鈴木修氏の視察の半年も前から工場や店舗を整え責任者が飛ばされないよう気を使う場面です。
自由にものが言えない状況では企業の発展は止まりそうで、鈴木修氏亡き後スズキがどうなるのか注目です。 -
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ネタバレ永井隆の自伝的私小説。主人公は林隆吉で妻は春野となっているものの、妻の言葉や主人公の生い立ちなど、他の随筆に出てくる話と重なる部分は多いので、事実に近いんだろうと思う。従軍中の話などは他にはあまり見ないけれどここでは詳しかった。白血病と余命を告げた時に、祈り終わった妻が「生きるも死ぬも、神様のご光栄のためにネ」と笑顔で言う場面が、他の作品でも読んだと思うけど印象的だった。春野と出会い、カトリックと出会って、全ては神の光栄を表すために、隣人を己の如く愛し、友のために命を捧げるために生きた主人公の一貫した生き方と、科学や学問への愛と、この世で愛した全てが灰になってもイエズスの言葉は生きるという、亡びぬものへの信仰。
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『軽自動車を作った男』…彼が発明した訳でもなく、技術者であった訳でもなく、それでもこのタイトルが説得力を持つのかなぜか?スズキという会社のオーナーであり去年の流行語大賞のように「働いて働いて働いて働いて働いて」そしてそのまま2024年94歳で亡くなった男の評伝です。表紙にある眉毛が飛び出し大きな口を開けて笑う写真、もう一枚、最初に出てくる新幹線の車内で背広に着替える写真、この2枚でその人となりが強烈に伝わってきます。生涯現役の経営者であろうとし、日経の『私の履歴書』を嫌っていた彼の『茂の履歴書』がこうやって世に出ることは非常に価値があることだと思います。それは日本の社会の変化と産業のグルーバル化の進展と税制を通した政治の移ろいを凝縮した物語になっているからです。それを「中小企業の親父」という自認でしたたかに乗り切っていく人生はまるで物語というより講談のよう。理屈じゃなく運命と勘所と人情で突き進む姿は、ある意味、21世紀の「昭和」でした。これがノスタルジーになるのか、新しい時代のヒントになるのか、次世代はきっともがき苦しむでしょう。
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ネタバレ永井隆が描く、長崎の信徒発見から浦上四番崩れに至る物語。弱い者ほど、神の助けを祈りながら神に強められて殉教していく姿が印象的だった。守山甚三郎の弟祐次郎の殉教時の遺言通りに、姉マツは子どもを保護する施設を作り、甚三郎は長男を司祭に育てた。その司祭と永井隆が繋がってるあたりも、それが史実としてあったんだという感じがして感慨深い。乙女峠の殉教者の話は他でも読んだけれど、この本と重なるエピソードばかりだったので、本当にそんなことがあったんだなと思う。浦上という小さな農村の迫害が、日本の不平等条約の改正の妨げになるほど欧米で非難轟々だったというのは、なんだか嬉しいというか、人権の重みや信仰の自由の重さを当時の日本政府に知らしめた感じがしてよい。
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これもタイトルが気になって、手に取った本。
ビール業界のガリバーだったキリン。しかしそんなキリンの現状に、不安を覚えた社員がいた。それが前田仁である。
ハートランドという、キリンとは似ても似つかないプライベートブランドを立ち上げ成功を収めていく。
そんな中、慢心のキリンはアサヒが放ったスーパードライに、足を取られる。
打倒スーパードライの本命として前田仁さんは一番搾りを立ち上げるも、社内抗争に敗れ子会社へ出向する。そしてキリンは、迷走を始める。トップシェアから陥落し、暗黒の時代に入る。
そこに救世主として出向先から呼び戻されたのが前田仁さんである。マーケティング部長として、次々にヒット商品を生み出していく。淡麗、淡麗グリーンラベル、氷結。 これらは、前田さんとその後輩によって生み出されたヒット作である。
組織内での立ち位置、役割をどのように見るか?客観的に見てその本質を見定め、言うべきことは言う。会社という組織で働いているものにとっては、耳が痛い言葉ではあるが。そういう個人が会社を立て直すのかもしれない。会社に勤める人であれば、必読の書である。