鈴木健一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
古典を教えてほしいという中学生がいた。そんな子に出会ったこともあって、改めて古文を教えることの意義や価値について考え直そうと思って買った本の一冊。そんなことを考えるのは、思い返してみると、学生のとき以来である。
本の論旨は単純で、教科書に載っている有名な古典作品が、実は、近代的な意味でオリジナリティがあるわけではなく、様々な典拠に則りながら、独自性を加えることで成り立っているという話である。そして、新しく生まれた古典作品が、今度は典拠となって、様々な作品を生み出していく、その作品の歴史的なつながり過去と未来の両方に向かって紹介していく。
タイトルに「知らない魅力」とあるが、古典をちょっとかじったことのある人にとっては、割と「知ってた」という話も多いのではないかと思う。個人的に一番へぇと思ったのは、『平家物語』の俊寛の話から生まれた歌舞伎、人形浄瑠璃の「平家女護島」では、俊寛が女の身代わりになって島に残る決意をするという人情譚になっているという話だった。全然違う話になり過ぎていて、面白い。人情味の出し方に、どことなく江戸味も感じる。
現代人からしてみたらパクリだろとなってしまいそうな、こうした古典の「創作」のあり方を、この本では、「共同性」と「個性」という言葉で説明している。オリジナリティというものの捉え方が、近代とは根本的に違うのだ。
けれども、著者は、そうした古典的な感覚こそが、現代にも通じる個性のあり方なのではないかという。
真の個性とは、共同生に寄り添おうとする中でも、どうしても寄り添えずにいるものです。それがわかるのは、長い時間をかけて共同性に寄り添い、それが持つ豊穣な感覚が自己に浸透し、熟成していく過程を経た後だと思います。そういう意味では、共同性の中にこそ個性はありますし、個性の獲得とは、同時に共同性を持ち得たことでもあります。(p186)
このように古典を捉えるのであれば、古典から学べるのは、現代にも通じる個性のありようだということになるだろうか。
これを授業に落とし込むとしたら、ということを考えながら、難しさも感じる。『ハイデガー入門』という本の感想でも書いたのだが、作品同士の影響関係は、それこそファンにとっては堪らないものかもしれない一方、読んでない人たちにとってはどうでもいいことの一つでもある。古典の教材研究としての必要性は感じつつも、有名なテクストを前にして、「これの元ネタは、実はこれなんだよ」といったトリビア的な情報提供に終わってしまいそうな感もある。
当たり前のことだが、「古典をたくさん読む」ことで気がついてくる魅力の話と、「古典を点で読んでいく」ことの面白みとは、別問題として考える必要がある。この本の中で展開されるような古典世界の理解とは別に、やっぱり個々の作品を読むことの意義を別立てで考えていく必要があるような気がする。ただ、そうすると、この本の言っている「共同性を染み込ませていく」という話を完全に無視することにもなりそうだが。
まあ、簡単には答えは出ないものの、古典教育の意義を改めて考える端緒には、とてもよい本だった。 -
Posted by ブクログ
テクノベート=テクノロジー+イノベート、グロービスの造語?かな。
いまさら聞けないコンピュータの基礎知識、アルゴリズム、プログラミングって何?を簡潔に説明してくれていたり、VR・AR・MRなどの説明も今更ながら基本を押さえられて良かった。
データ活用においては、顧客属性などのカタログ的データよりも日々顧客や社員が生み出し続けている「行動」に関する情報であるべきとは、事業会社に転職してから感じているまさにそのとおり。調査会社時代は割とカタログ的データを重要視していたところがあるが、正直それで業務改善やマーケティングアクションにもつながりきれないと今は実感している。
データドリブンマーケティングにおける、現在のCRMの高度化も確かにその通りだと思いつつ、これをやることがとても難しいことであることも痛感している。この本の中にもデータ構造の話が出てくるが、どのようなデータ構造でデータを持つかによって、このCRMの実践しやすさも全然変わってくる。またデータを多面的に見るとともに現場に近い人の声、顧客その人や現場の社員の声も絡めて本質を理解することも大事なことである。
リーダーシップ・組織の章では、自ら変化を創り出すリーダーに、変えることを楽しもう、関わる人すべてがパートナー、グロースマインドセット、といった言葉は印象に残った。しかし、一番はフォロワーシップかな。リーダーの言うことを無批判に受け入れてむやみに従うことではなく、自らがしっかり考えて意見を持ち、積極的に動いて組織を支えること。正直、今は面倒くさいパワハラ気質の上司に従っているが、もっと自分の意見もぶつけないとな、と思った。(ちなみに非常に論理的で正論ではあるので変に反論するのもおかしな話になる、なのでその正論を超えるところや視点をズラした提言で自分の意見もぶつける必要はあるが。そのくらいでないと自分も楽しくないし、組織の広がりも生まれない、と改めて思った次第) -
Posted by ブクログ
分析の基礎的なところが学べる本。
割と分かりやすかったようには思いますが、
Excelの話がちょこちょこ出てくるのは
個人的には要らなかったんじゃないかなあとは思った。
【勉強になったこと】
・問題解決フレームワーク:PICO
P(問題 Problem):対象は何、誰?
I(原因 Intervention):何をすると?
C(比較 Comparison):何と比べて?
O(結果 Outcome):結果はどうなるのか?
・仮説の引き出し=
知識(経験や学習から得た知識)+情報
・仮説思考のステップ
ステップ0:目的(イシュー、問い)を押さえる
ステップ1:目的(問い)に対する仮説を立てる
ステップ2:実際にデータを集める
ステップ3:分析により仮説のとおりかどうか検証
・「使える」仮説、「アクションにつながる」仮説
とは、因果関係に関連するメッセージでなければ
ならない。
・やみくもに分析する前に、
本当に必要な分析なのか?
その分析がなければ意思決定が出来ないのか?
分析に使える時間やリソースはあるのか?
を一度考えてみること。
特に2点目の観点は重要。
・分析における5つの視点
インパクト(大きさ)
ギャップ(差異)
トレンド(変化)
ばらつき(分布)
パターン(法則)
・ヒストグラムの階級幅の取り方の目安を求める
公式:スタージェスの公式
サンプル数がnのとき、「適切」な階級数は、
2の累乗をとって、初めてサンプル数以上と
なる数にさらに1を足したもの
・時系列データに含まれる4要素
傾向変動:
長期的に需要が伸びている、伸びていないといった
トレンドを示す。
循環変動:
景気変動のように、数年から数十年単位の不規則な
周期で変動を繰り返す。
季節変動:
気候や制度などの影響で1年の中で周期を持ったり、
ピークを示したりする。
不規則変動:
上記のいずれにも当てはまらないランダム変動。
・回帰分析において、説明変数同士が独立している
ことが大事と言われているが、予測のみに使うので
あればそこまで意識する必要はない。
なお、関係性の強い(相関の強い)説明変数が存在する
ことを多重共線性(multicollinearity)と呼ぶ。
※略して、マルチコ
・因果関係が成立する条件
①原因は結果に時間的に先行する
②相関している
③相関関係は他の変数(第三因子)で説明されない
・「みんなの答えは意外と正しい」は、いつでも
成立するわけではない。
・それぞれの個人がそれなりに正しい答えを
持っている
・全員の答えに多様性がある
ほど、成立する。