沙野風結子のレビュー一覧
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心と躰の痛みが理解できない男、零飛のせいでとんでもない目にあっている蒼です。
零飛は愛情表現も歪んでいますね。愛人に3ヶ月で飽きるらしいのが、蒼とかれこれ8年も続いていると聞いただけで拍手。ひとえに蒼の忍耐の賜物なんじゃないかなと思います。アソコを噛まれても全然平気な零飛に、なんとか人間らしい痛みを取り戻させたい蒼ですが、どんどん深みにはまっている感じ。
蒼も大変ですが、今回もっとかわいそうなのがウーです。子供だったウーも、斎に片想いし続けたまま16歳に成長。斎を零飛のお遊びから助けるために、試練の連続。斎に触れたいけれど触れちゃいけないと、苦悩する姿がせつなすぎ…ちょっと、ウーには同情してしまいました。
上海と東京を股にかけ、中国マフィアや、あやしいビジネスの駆け引きをめぐり、かなりハードでスリリングなストーリーになってます。
そして、激しいエロ。お仕置きのSMシーンは濃厚。覚悟を決めている?蒼ですら、ちゃんとついていくのは大変そうな零飛のムチャブリがパワーアップしています。それに巻き込まれた鷹羽やウーはもっと迷惑だよね。
しかし、そんな零飛に女が出来たかもしれないと嫉妬して、悶々とする蒼はいじらしいです。「結婚して子供も」なんて強がりを言っちゃうあたり、好きな気持ちが丸見えで。
蒼の愛によって、痛みを感じることができそうな零飛ですが、そうなると黒社会でも、ビジネスでも、今までのようには生きていけない気がして、それはそれで心配です。
ウーのフォローは、今後また後日談があるみたいなので、ものすごく楽しみにしています。 -
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設定が大好物だったので、一気に読破。
沙野センセの作品の中では、薬物がらみだというのに、意外に毒も少なくさらりとした印象です。いつもの作品ではこういう設定だと、ドロドロと淫靡でダークな世界が広がるんですが、ちょっと残念だったかな?でも、サスペンスドラマみたいでストーリー自体は楽しめました。
フロント企業の加駕とマトリの忍の関係については、ちょっと甘過ぎだと思う部分もありますね。英田センセのこの手の作品なんかとどうしても比べてしまうので。ドラマとしては、「エス」の方が完成しすぎているので、とやかく言えませんが。
但し、Hシーンは相変らず秀逸です。クラブのVIPルームでのシーンは、素晴らしすぎ。マジックミラーとか、ウィスキーとか、その状況が目に浮かぶような描写。ここまで激しく淫らに描けるのは、沙野センセならではだと思い、溜息。
忍がドラッグに引き摺られてではあるけれど、次第に加駕との関係に深くのめりこんでゆく心理も、納得できるかできないか、意見が分かれるところだと思います。しかし、エロ目線から考えれば納得しないと…なにぶん、BLなので。
加駕は魅力的なオトコなので、もっと掘り下げて描いて欲しかったかな。他の顔をいろいろ見てみたかったです。
忍もHシーンではとても淫らで、お仕事している時との二面性がツボります。過去のトラウマとか、催淫作用のあるドラッグ絡みですが、そういうの置いといて小難しく考えずに読むといいかも。
聖人に拘束されて銃で凌辱されるシーンとか、加駕の嫉妬に燃えて激しく詰め寄るシーンとか、幻覚で触手もよかった。 -
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いつもチャレンジャーな沙野風結子センセです。今度はクライマーでリバ。ふつうに山岳小説は好きですが、まさか山登りで!…でも、男の世界だからBLもありなのね?と、目からウロコでした。
主人公の蒼一は高校時代進路に悩み、無難に生きるため登山をやめて医者としての人生を選んだのですが、弟の昇は果敢にクライマーとしての華やかな人生を選びました。そんな弟に密かに嫉妬したり憧憬したりする蒼一。そして彼が執着するのが、昇の登頂パートナーだった陸。
二人で登山中の事故で昇を死なせてしまった陸は、心に深い傷を負い抜け殻状態になってしまい、それを見かねた蒼一は、特別な思いを持ち続けていた彼を助けようとするんですが。
昇は死んでもなお、陸や蒼一の心を捉えて離さない魅力ある男です。そこから二人が現実世界に戻るまでの話。タイトルどおり、スケールが縦方向。登山情景や、最後の脱出状況は、突き抜けるような空の高さを感じられます。
リバは、ええっ?とかいう、驚きや拒絶感もなく、まさに男と男のHという感じでステキでした。ためらいのある方でも楽しめると思います。
「慎重・臆病・退屈」と弟に言われていた蒼一が、一皮向けて行動する男になっていくところは見ものです。 -
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沙野センセお得意の異形モノです。
私は天界が舞台で、清らかな天使が悪魔にレイプされるのかなーと、テンプレな話を考えていましたが、さすがにそんな単純なストーリーではありませんでした。
天使憑きとは?と疑問に思ったら、ぜひ読んでほしいと思います。
臨床心理士の幸成が天使憑きで、幼なじみの神父慎は彼が人間離れしていかないように秘密の儀式で救おうとします。
その儀式が淫靡です。普段まじめでお堅い感じがする慎が、儀式によって幸成を求める気持ちをかなり露わにします。でも、その行為に幸成への想いが深く感じられてせつない。
幸成の方は、人の心臓を貪りたくなると、制御不能。慎に「嫌わないで」と懇願するくらい淫らになって、それがまた普段とまったく異なるから、そのギャップ感に萌えます!
妖怪?天使憑きって…コワイ。悪魔憑きはこの分でいくと、さらに恐いんでしょうね。当然、さらにエロ度アップでしょう。
「悪魔憑きの男」叶枝×聖良スピンオフも期待してます。 -
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蛇蜘蛛シリーズ三部作の番外編ですが、これ単品で読めます。
というか私、これしか読んでないです。
沙野さんは独特なエロ描写で有名ですが、これもあまり見たことのないモチーフ(蜥蜴)がエロとストーリーに実にいい感じに絡み合ってます。
男同士の体のぶつかり合いを視覚的に訴えてくる文章っつーのは貴重。
BLで普通にスパンキングがプレイとして取り入れられてるのも珍しいかも。
そのイメージにぴったり合ったイラストでキャラクターに肉付けしてある奈良さんもすごい。奈良絵の凄さというものを初めて実感しました。
エリートがヤクザの若頭に脅迫されて無理矢理…という筋書きだけならよくあるパターンなんですが、引き込まれてぐいぐい読んでしまいました。
企業内の陰謀を巡るサスペンス要素があるのもですが、予想外にキャラクターが良かったせいでしょうか。
関西人で狂犬でヤクザな臣にもしっかりバックボーンがあって、うっかり感情移入してしまいました。光己もただのエリートじゃないし。この男、どんなに屈辱を味わわされても堕ちないんです、全く。
気骨のある受け大好きなんで、これは良かった。
ガタイがよくて男としても一流で…という受けはいい。実にいい。
陵辱ものに相応しく終始薄暗いトーンなのもポイント高いです。
この2人、もっと読んでみたいなぁ。