笹沢左保のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「木枯らし紋次郎ミステリー傑作選」と題してあるが、ミステリー色は薄め、サスペンスやハードボイルドの要素の方が濃いが、個人的に好みの作品ばかりで楽しめた。
紋次郎は貧しい農家に生まれ、生まれてすぐに間引きで殺されそうになったところを姉に救われるという過去を持つ。
つまり紋次郎は『生まれて来なくてもいい人間だったのだ』。今の時代なら生まれて来なくてもいい人間などいない、と言いたいところだが、彼は堅気の人間としての暮らしを許されず、渡世人として生きてきた。
紋次郎の決まり文句『あっしには関わりのないことでござんす』とは何も無責任に突き放しての意味ではない。
関わりを持つということは相手のことにも -
Posted by ブクログ
問題編となる「事件」と、推理編の「特別上申書」の二部構成になっている。前半のルポや事件のあらましは社会派という印象にも見受けられるが、暗号やアリバイ・トリック、凶器の消失など、中身はガチガチの本格である。後半に入ってからの刑事の追求が凄まじい。些細なきっかけからある人物が一気にクローズ・アップされる様は、鮎川哲也を彷彿とさせる。捜査の方向性もわかりやすく、ターゲットをひとつひとつ潰していくシーンは、地味ながら読み応えがあった。二部構成にしたことがストーリーに生かされており、全体のバランスも非常にいい。ただ、トリックを支えるネタに微妙な違和感を感じてしまったのが残念。